3月22日に開催されるミラノ〜サンレモ(UCIワールドツアー)を前に、ペーター・サガン(スロバキア、ティンコフ・サクソ)やファビアン・カンチェラーラ(スイス、トレックファクトリーレーシング)ら、有力選手たちのコメントをお届けします。



ペーター・サガン(スロバキア、ティンコフ・サクソ)

雨のスプリントを制したペーター・サガン(スロバキア、ティンコフ・サクソ)雨のスプリントを制したペーター・サガン(スロバキア、ティンコフ・サクソ) photo:Tim de Waeleいつも通り、ミラノ〜サンレモでは最高の成績を目指す。出場するからには目標は優勝。でもロードレースでは不確定要素が多く、ライバルたちも当然優勝を狙っている。現実的にならなければならない。

優勝候補を言い当てるのは難しいよ。過去3年間は優勝候補ではなくアウトサイダーと呼ばれる選手たちが勝っている。レース距離(293km)や戦略などの要素が絡み合うので、複雑かつスペシャルなレース。モチベーションの高い強いチームメイトに支えられながら全力を尽くすよ。

ファビアン・カンチェラーラ(スイス、トレックファクトリーレーシング)

ファビアン・カンチェラーラ(スイス、トレックファクトリーレーシング)ファビアン・カンチェラーラ(スイス、トレックファクトリーレーシング) photo:CorVos雪が降れば当然厳しいレースになるし、雨が降っても厳しくなる。レ・マニエの有無よりも天候がレースに影響を及ぼす。レース後半の平坦区間でさえ何が起こるか分からない。優勝に絡むためには、勝負どころまで無駄なエネルギーを使わずに走る必要が有る。特に残り50kmを切ってからは少しのミスも許されない。

昨年まではポッジオの下りを終えてからシケイン(90度コーナー)が2つあって、そこから平坦路を1.5km走ってフィニッシュだった。今年はシケインからフィニッシュまで750mしかない。レース展開に影響するとは思うけど、じゃあどんな影響があるかは正直分からない。とにかく伝統的なレイアウトに戻されたことは歓迎すべき。でもルンゴマーレであれローマ通りであれ、独走で勝てればそんなに美しいものはない。

ベン・スウィフト(イギリス、チームスカイ)

2014年、クリストフを囲むファビアン・カンチェラーラ(スイス、トレックファクトリーレーシング)とベン・スウィフト(イギリス、チームスカイ)2014年、クリストフを囲むファビアン・カンチェラーラ(スイス、トレックファクトリーレーシング)とベン・スウィフト(イギリス、チームスカイ) photo:Cor.Vosパリ〜ニースでは日を追うごとに調子が上がった。好感触を掴んだ状態でパリ〜ニースを終えることが出来たので日曜日が楽しみだ。ミラノ〜サンレモは大きな目標であり、自分向きのレースだと思っている。レース直前に呼び出されて初出場した昨年は、プレッシャーを負うことなく挑んで、表彰台に上ることが出来た。今年は完全にミラノ〜サンレモに照準を合わせている。

目標と成績が繋がりにくいのがミラノ〜サンレモだけど、これ以上出来ないと思えるほど準備やトレーニングはしてきた。多くの選手にチャンスがあるのがミラノ〜サンレモの美しさであり、天候が崩れれば全く違う世界になる。様々な勝ちパターンが存在し、一つのミスがそれまでの努力を水の泡にしてしまう。完走自体は簡単だけど、結果を残すのは難しい。ローマ通りにコースが戻されたことは、自分やマイケル・マシューズ、ペーター・サガンに味方すると思う。

ジョン・デゲンコルブ(ドイツ、ジャイアント・アルペシン)

最後のコース試走とトレーニングライドを終えて、満足のいくコンディションであることを確認した。パリ〜ニースの後、少し風邪をひいてしまったけど、もうすっかり治っている。サイモン(ゲシュケ)とニキアス(アルント)がメンバーから外れてしまったものの、コンディションの良いメンバー揃いであることには変わりない。躊躇せずに結果を追い求め、サンレモの街で表彰台に登りたい。

ゲラルド・チオレック(ドイツ、MTNキュベカ)

ミラノ〜サンレモでは2年前に優勝し、昨年トップ10に入っている。今年は例年よりもずっと強いチームを引き連れての出場だ。スプリントに向けて幾つものカードを持っていることはティレーノ〜アドリアティコで証明出来た。良い成績を残したいと思う。同時に、1km毎にバイクを1台寄付するキュベカチャリティーに力を貸したい(MTNキュベカは295台のバイクをアフリカに寄付予定)。

ナセル・ブアニ(フランス、コフィディス)

ミラノ〜サンレモでは勝利以外眼中にない。それに向けて最大限の準備を行ってきた。集団スプリントに持ち込まれるならば、集団の人数は多くても20人ぐらいかな。スプリンターも登りをこなせなければ話にならない。

エティックス・クイックステップのロルフ・アルダグ監督

マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、エティックス・クイックステップ)マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、エティックス・クイックステップ) photo:CorVosミラノ〜サンレモはシーズン最初のビッグレース。モニュメントの一つに数えられ、偉大なる歴史と伝統をもつ。我々が最大の優勝候補を抱えているとは思わないが、今年は調子の良いタレント揃いだ。「(残り60kmを切ってから始まる)イ・カーピ」からローマ通りまで、どんなレースシチュエーションでも主役を担える才能が揃っている。例えばスティバルらはレースを活性化させる力の持ち主であり、パリ〜ニースで力を見せたクヴィアトコウスキーや、過去の優勝者カヴェンディッシュが揃う。

しかし誰もが言うようにミラノ〜サンレモは予想不可能なレースだ。だからこそ特別な格式を誇っていると言える。出走選手のうち、およそ100人がローマ通りでの勝利を夢見ている。そして気象条件が大きくレース展開を左右する。パリ〜ニースやティレーノ〜アドリアティコの疲れから最大限リカバリーする必要がある。カヴェンディッシュはウィルス性の胃腸のトラブルで100%の力を発揮出来ないままティレーノ〜アドリアティコを途中リタイアしたものの、この数日で回復した。チームの準備は出来ている。

オリカ・グリーンエッジのマシュー・ホワイト監督

マイケル・マシューズの勝利がチームの目標だ。彼はこの数ヶ月間良いトレーニングをこなし、シーズン初戦パリ〜ニースで準備万端であることを見せつけた。ミラノ〜サンレモが彼向きのレースであることに疑いの余地はない。ニュートラル区間を含めると走行距離は300kmを超える。スプリント勝負に持ち込まれるとは思うが、天候によって集団の人数は変動するだろう。雨が降れば集団は小さく、乾けば集団は大きくなる。

パオロ・ベッティーニ元イタリア代表監督

カンチェラーラは常に注目すべき選手。ポッジオ手前の平坦路で2分のリードがあればそのまま逃げ切る可能性もある。サガンは素晴らしい能力の持ち主ではあるが、300km近いレースで本領を発揮出来るかどうかは分からない。

1966、1967、1969、1971、1972、1975、1976年の優勝者エディ・メルクス

ミラノ〜サンレモの伝統はローマ通りとともにある。自分が7勝した当時はカーピ(メーレ、チェルヴォ、ベルタ)とポッジオを上った(チプレッサがなかった)。300kmを走ってからやってくる平坦なスプリントは完全に自分向きだった。線路の工事や観光への配慮からしばらく海側にフィニッシュ地点が移されたけど、それはミラノ〜サンレモとは呼べない代物だった。ローマ通りこそが格式高いミラノ〜サンレモのフィニッシュ地点だ。

300kmのレースを決めるのはスピードではなく耐久力。カンチェラーラが得意とする分野であり、カヴェンディッシュのようなピュアスプリンター向きではない。カヴェンディッシュが勝った時、彼は今よりもずっと良い波に乗っていた。

各チーム公式サイトやガゼッタ紙、レキップ紙より。

text:Kei Tsuji