ティレーノ~アドリアティコ第3ステージは、グレッグ・ファンアフェルマート(ベルギー、BMCレーシング)がペーター・サガン(チェコ、ティンコフ・サクソ)をスプリントで下し、ステージ優勝と総合首位の座を同時に獲得した。



並木通りを駆け抜けるプロトン。カーシナから一路内陸へと向けて東へと進んでいく並木通りを駆け抜けるプロトン。カーシナから一路内陸へと向けて東へと進んでいく photo:CorVos


スタートラインに並んだ新人賞ジャージのペーター・サガン(スロバキア、ティンコフ・サクソ)スタートラインに並んだ新人賞ジャージのペーター・サガン(スロバキア、ティンコフ・サクソ) photo:CorVosphoto:CorVosチームメイトに守られて走るヴィンツェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ)チームメイトに守られて走るヴィンツェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ) photo:CorVosカーシナから一路内陸へと向けて東へと進んでいくティレーノ~アドリアティコ第3ステージ。サンマルティーノとポッジオ・アラ・クローチェの2つのカテゴリー山岳を越え、アレッツォの街に設定された11kmの周回コースを5周する、203kmのレースだ。

集団内で走るアルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ・サクソ)集団内で走るアルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ・サクソ) photo:CorVosアレッツォの周回コースではゴール手前に平均勾配5%、最大勾配11%の石畳の登り坂が設定されており、ピュアスプリンターよりも、クラシックハンター向きのコースレイアウトとなっている。本格的なクラシックシーズンに入る前に、有力選手たちの調子を占うにふさわしいステージだ。

ティンコフ・サクソがペースを上げてゴールラインを通過ティンコフ・サクソがペースを上げてゴールラインを通過 photo:CorVosいち早くグレッグ・ファンアフェルマート(ベルギー、BMCレーシング)がスプリントを先頭に出るいち早くグレッグ・ファンアフェルマート(ベルギー、BMCレーシング)がスプリントを先頭に出る photo:CorVosさて、そんな第3ステージも、スタートとほぼ同時に逃げが決まる。逃げたのはニコラ・ボエム(イタリア、バルディアーニCSF)、ダニーロ・ウィス(スイス、BMCレーシング)、カルロス・キンテロ(コロンビア、チームコロンビア)、チャド・ハガ(アメリカ、ジャイアント・アルペシン)、リック・フレンス(オランダ、ロットNLユンボ)の5名。

このうち、ウィスとキンテロは第2ステージでも逃げに入った二人。それぞれ山岳ポイントを8ポイントずつ持っており、山岳賞ジャージを狙っての動きだ。

そして、逃げ集団は集団に対して最大14分のリードを築きあげ、快調に逃げ続けていく。サンマルティーノとポッジオ・アラ・クローチェの二つのカテゴリー山岳も、捕まることなく通過していく。KOMは二つとも山岳賞ジャージを着用するウィスが先頭通過し、キンテロを突き放すことに成功する。

総合リーダーを擁するモビスターは逃げ集団を積極的に追走することなく、その役割をティンコフ・サクソへと譲る。昨年大会の同じステージで勝利しているサガンの2勝目に向けて、イエローフルオのトレインが追走の主導権を握ると、タイムギャップは見る見るうちに縮まっていく。

アレッツォの周回コースに差しかかるころには集団とのタイム差は3分ほどに詰められる。そして、11kmの周回を終えるころには2分、2周目を終えると1分と、セオリーどおりに逃げ集団に迫るメイン集団をけん引するのはマッテーオ・トザット(イタリア、ティンコフ・サクソ)。そしてゴールまで1周半を残して逃げ集団を全て吸収。

一つになった集団は最終周回へと突入する。10kmを切って、ゼネク・スティバル(チェコ)ニキ・テルプストラ(オランダ)や、リゴベルト・ウラン(コロンビア)らエティックス・クイックステップ勢や、ファビアン・カンチェラーラ(スイス、トレックファクトリーレーシング)らが前方へと上がってくる。

ラスト1kmから始まるパヴェの登りに先頭で突入したのは、ダニエル・オス(イタリア、BMCレーシング)。ファンアフェルマートをラスト200mまで引っ張り、満を持して発射する。番手につけていたカンチェラーラが失速し、ついていくので精一杯な様子のスティバルとフィリッポ・ポッツァート(イタリア、ランプレ・メリダ)をラスト50mから加速したサガンがまくるも、ファンアフェルマートには一歩届かず。


ペーター・サガン(スロバキア、ティンコフ・サクソ)らを抑えたグレッグ・ファンアフェルマート(ベルギー、BMCレーシング)が先着するペーター・サガン(スロバキア、ティンコフ・サクソ)らを抑えたグレッグ・ファンアフェルマート(ベルギー、BMCレーシング)が先着する photo:CorVos


リーダージャージを手にしたグレッグ・ファンアフェルマート(ベルギー、BMCレーシング)リーダージャージを手にしたグレッグ・ファンアフェルマート(ベルギー、BMCレーシング) photo:CorVos失敗に終わったストラーデビアンケでの雪辱を晴らしたファンアフェルマート。「ティレーノ開幕前から今日と明日に集中していた。」とコメントしている。ボーナスタイムによって、ステージ優勝と同時に総合リーダーの座も獲得し、大成功の一日となった。

新城幸也(ユーロップカー)は23秒差のステージ70位。最後までエースのピエール・ロラン(フランス)を守る仕事を果たした形だ。「ピエールを無事に先頭集団ゴールされることが今日の目的だった。皆でそのためだけに走ったので、ピエールが57位で集団ゴールしたことにより今日の目的はしっかりと達成。明日は長いステージなのでチームの誰かが逃げに乗る指示が出るだろう。逃げに乗って少し追い込みたい気分。笑」とコメントする。

明日の第4ステージは総合争いを左右する山岳ステージ。頂上ゴールではないものの、2つの標高1000m級の山岳を含む4つのカテゴリー山岳が登場し、総合成績をシャッフルするだろう。

選手コメントは各チーム公式リリースならびにTeamユキヤ通信より。



ティレーノ~アドリアティコ2015第3ステージ結果
1位 グレッグ・ファンアフェルマート(ベルギー、BMCレーシング)
2位 ペーター・サガン(スロバキア、ティンコフ・サクソ)
3位 ゼネク・スティバル(チェコ、エティックス・クイックステップ)
4位 フィリッポ・ポッツァート(イタリア、ランプレ・メリダ)
5位 ファビアン・カンチェラーラ(スイス、トレックファクトリーレーシング)
6位 サイモン・ゲシュケ(ドイツ、ジャイアント・アルペシン)
7位 ポール・マルテンス(ドイツ、ロットNLユンボ)
8位 アンドレー・グリブコ(ウクライナ、アスタナ)
9位 リゴベルト・ウラン(コロンビア、エティックス・クイックステップ)
10位 ワウト・ポエルス(オランダ、チームスカイ)
70位 新城幸也(ユーロップカー)
4h58'17"











個人総合成績
1位 グレッグ・ファンアフェルマート(ベルギー、BMCレーシング)
2位 ペーター・サガン(スロバキア、ティンコフ・サクソ)
3位 アドリアーノ・マローリ(イタリア、モビスター)
4位 ファビアン・カンチェラーラ(スイス、トレックファクトリーレーシング)
5位 マティアス・ブランドル(オーストリア、IAMサイクリング)
6位 ラムナス・ナヴァルダスカス(リトアニア、キャノンデール・ガーミン)
7位 スティーブ・クミングス(イギリス、MTNキュベカ)
8位 ヨナタン・カストロビエホ(スペイン、モビスター)
9位 エドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー、MTNキュベカ)
10位 アンドレー・グリブコ(ウクライナ、アスタナ)
78位 新城幸也(日本、ユーロップカー)
3h36'22"
+2"
+8"
+9"
+10"
+13"
+14"
+16"

+17"
+1’06"


山岳賞
ダニーロ・ウィス(スイス、BMCレーシング)

ポイント賞
ペーター・サガン(スロバキア、ティンコフ・サクソ)

ヤングライダー賞
ペーター・サガン(スロバキア、ティンコフ・サクソ)

text:Naoki.Yasuoka
photo:CorVos, RCSsport