2015/02/25(水) - 11:33
プロの実機を徹底解析する好評企画プロバイク。今回はシクロクロス東京を走ったプロバイクの中から6台をピックアップして、前編と後編の2回に分けてお届け。前編ではティム・ジョンソンのキャノンデール、ザック・マクドナルドのフォーカス、パナソニックのプロトタイプを紹介します。
ティム・ジョンソン(アメリカ、キャノンデールp/bシクロクロスワールド.com)
キャノンデール SUPERX HI-MOD DISC
会場内で1、2を争う人気を集めたアメリカCX界のレジェンドことティム・ジョンソンのバイクは、キャノンデール SUPERX HI-MOD DISC。バリステックカーボンや振動吸収性を狙ったシートステーなど、SUPERSIX EVOと共通のテクノロジーが投入されたディスクブレーキ仕様の軽量マシンである。
アッセンブリーはチーム契約外メーカーのパーツを使わない標準的な仕様だ。今季よりコンポーネントにはワールドカップでも使用率が高まっているフロントシングルのスラム FORCE CX1を採用。ギア歯数はF42T×R11-28Tにセット。従来通りブレーキはディスクだが、FORCE CX1の使用にあわせて油圧式としている。ローター径は前後とも140mm。ペダルは従来より愛用しているシマノSPDで、プロに多く使用されているXTRやXTでもなく、ベーシックモデルのPD-M540を選択している点が興味深い。
ホイールはジップ303FIRECREST Disc。タイヤは昨季まで使用していたデュガスからチャレンジのTEAM EDITIONにスイッチしており、今大会にはオールラウンドモデル「GRIFO」とノブの高いマッド用モデル「LIMUS」の2種類を持ち込んだ。
ハンドル、ステム、シートポストはホイール同様にジップで、堅実性を重視して全てアルミ製としている。なお、ハンドルバーのシェイプがこれまでトラディショナルベンドだったのに対して、今季からは近年主流のエルゴノミックベンドに。この理由を本人に聞いてみると「アルミ製のトラディショナルベンドが生産中止になってしまったからなんだ。カーボン製で同形状のタイプのものをテストしてみたけど、あまり良い感触を得られなかった。だから仕方なく現在の仕様にしている」とのことだった。
サドルはキャノンデールを傘下に収めるサイクリングスポーツグループの新ブランド「ファブリック(Fabric)」の「SCOOP」というモデル。大きくカーブしたトラディショナルな座面形状がお気に入りとのことだ。
ザック・マクドナルド(アメリカ、シクロクロスプロジェクト2015)
フォーカス MARES CX
サンドセクションでの圧倒的なスピードで男子エリート2連覇を達成したザック・マクドナルド(アメリカ、シクロクロスプロジェクト2015)。バイクは昨年と同じく1世代前のフォーカス MARES CXで、現在はバイクメーカーからサポートを受けていないことから、昨シーズンまで所属していたラファ・フォーカスのチームカラーを使用している。
写真はサブバイク。コンポーネントはスラムRED22がメインで、ギア比はF46-34T×R11-26Tとリアのロー側がやや小さめなのが特徴的である。ブレーキはブルーのアルマイトが鮮やかなAvidのUltimate shortyで、シューはスイスストップの定番モデルYELLOW KING。ハンドル、ステム、シートポストはイーストンで、堅実性を重視してかアルミ製パーツで統一。ステムのみを最高峰グレードのEA90とした他、ハンドル及びシートポストはセカンドグレードEA70としている。
もともとハンドルを上向きにしたアップライトなポジションが好みとのことだが、今回のCX東京では更にハンドル位置を高くして、より操作性を重視したという。なお、砂で有名なワールドカップコースのベルギー・コクサイデでも同様のセッティングを行っているそうだ。
ホイールもハンドルなどと同様にイーストン製で、リアよりもフロントのほうがリムハイトが高いという風変わりな前後の組み合わせとしていた。タイヤはチューブレスチューブラー構造のクレメンで、砂地にも適するヤスリ目のLASを1.0barと低圧で使用。その他、ペダルはクランクブラザースの最高峰モデルCANDY 11、サドルはフィジークAntaresとしている。
パナソニックレディース
パナソニック チタンCX・Discプロトタイプ
昨年12月に行われた全日本選手権で、豊岡英子が使用し話題となったパナソニックのディスクCXバイク。2015モデルよりディスクCXをラインナップに加えたパナソニックだが、写真のバイクは市販品と仕様の異なるプロトタイプであり、現在はチーム共用のサブバイクである。全日本の際も普段使用するカンチ仕様のみを使用する予定だったものの洗車が間に合わず、このディスクブレーキ仕様のプロトタイプが急遽実戦デビューとなったそうだ。
基本的なフレーム形状は豊岡らチームが普段使用するカンチ仕様と共通。フレーム素材はチタンで、「3Dオプティマム・Xバテッド」や「クロスオーバルダウンチューブ」など、素材本来のしなやかさを活かすための独自技術を用いて各チューブを成型している。
一方、リアエンドはロストワックス製法で作られる市販品のそれと大きく異なり、厚い板から切り出した、極めて頑丈そうな造りだ。また、ケーブルのルーティングも市販品と異なっている。リアブレーキケーブルはトップチューブに一旦内蔵されたあと外出しとなり、シートステーを這ってブレーキ本体へ。シフトは電動コンポの使用を前提としており、ダウンチューブの下側からフレーム内へと挿入されている。
アッセンブリーはほとんどが、サポートを受ける東京サンエスのオリジナルブランドDixnaとOne by ESUで固められている。先ず、 One by ESUのフロントフォークは近年としては珍しい上下1-1/8インチ仕様のフルカーボンモデル。普段使用するカンチ仕様ではブレード形状がストレートであるのに対して、ディスク仕様ではベンドタイプとしている。
ハンドルはOne by ESU定番モデル「J Carbon」で、サドルは細い座面形状が特徴的なOne by ESUのナロー30が装着されてる。その他、メインコンポーネントはシマノ7970系DURA-ACE Di2で、ブレーキはTRP SPYRE。その他、ホイールは練習用と思われるシマノ WH-RX31、タイヤはサポートを受けるチャレンジのGRIFO33オープンチューブラー、ペダルはタイムATTACK CARBONとしている。
※豊岡英子選手のバイクとして紹介しましたが、チーム共用のスペアバイクでした。お詫びして訂正いたします。
text&photo:Yuya.Yamamoto
ティム・ジョンソン(アメリカ、キャノンデールp/bシクロクロスワールド.com)
キャノンデール SUPERX HI-MOD DISC
会場内で1、2を争う人気を集めたアメリカCX界のレジェンドことティム・ジョンソンのバイクは、キャノンデール SUPERX HI-MOD DISC。バリステックカーボンや振動吸収性を狙ったシートステーなど、SUPERSIX EVOと共通のテクノロジーが投入されたディスクブレーキ仕様の軽量マシンである。
アッセンブリーはチーム契約外メーカーのパーツを使わない標準的な仕様だ。今季よりコンポーネントにはワールドカップでも使用率が高まっているフロントシングルのスラム FORCE CX1を採用。ギア歯数はF42T×R11-28Tにセット。従来通りブレーキはディスクだが、FORCE CX1の使用にあわせて油圧式としている。ローター径は前後とも140mm。ペダルは従来より愛用しているシマノSPDで、プロに多く使用されているXTRやXTでもなく、ベーシックモデルのPD-M540を選択している点が興味深い。
ホイールはジップ303FIRECREST Disc。タイヤは昨季まで使用していたデュガスからチャレンジのTEAM EDITIONにスイッチしており、今大会にはオールラウンドモデル「GRIFO」とノブの高いマッド用モデル「LIMUS」の2種類を持ち込んだ。
ハンドル、ステム、シートポストはホイール同様にジップで、堅実性を重視して全てアルミ製としている。なお、ハンドルバーのシェイプがこれまでトラディショナルベンドだったのに対して、今季からは近年主流のエルゴノミックベンドに。この理由を本人に聞いてみると「アルミ製のトラディショナルベンドが生産中止になってしまったからなんだ。カーボン製で同形状のタイプのものをテストしてみたけど、あまり良い感触を得られなかった。だから仕方なく現在の仕様にしている」とのことだった。
サドルはキャノンデールを傘下に収めるサイクリングスポーツグループの新ブランド「ファブリック(Fabric)」の「SCOOP」というモデル。大きくカーブしたトラディショナルな座面形状がお気に入りとのことだ。
ザック・マクドナルド(アメリカ、シクロクロスプロジェクト2015)
フォーカス MARES CX
サンドセクションでの圧倒的なスピードで男子エリート2連覇を達成したザック・マクドナルド(アメリカ、シクロクロスプロジェクト2015)。バイクは昨年と同じく1世代前のフォーカス MARES CXで、現在はバイクメーカーからサポートを受けていないことから、昨シーズンまで所属していたラファ・フォーカスのチームカラーを使用している。
写真はサブバイク。コンポーネントはスラムRED22がメインで、ギア比はF46-34T×R11-26Tとリアのロー側がやや小さめなのが特徴的である。ブレーキはブルーのアルマイトが鮮やかなAvidのUltimate shortyで、シューはスイスストップの定番モデルYELLOW KING。ハンドル、ステム、シートポストはイーストンで、堅実性を重視してかアルミ製パーツで統一。ステムのみを最高峰グレードのEA90とした他、ハンドル及びシートポストはセカンドグレードEA70としている。
もともとハンドルを上向きにしたアップライトなポジションが好みとのことだが、今回のCX東京では更にハンドル位置を高くして、より操作性を重視したという。なお、砂で有名なワールドカップコースのベルギー・コクサイデでも同様のセッティングを行っているそうだ。
ホイールもハンドルなどと同様にイーストン製で、リアよりもフロントのほうがリムハイトが高いという風変わりな前後の組み合わせとしていた。タイヤはチューブレスチューブラー構造のクレメンで、砂地にも適するヤスリ目のLASを1.0barと低圧で使用。その他、ペダルはクランクブラザースの最高峰モデルCANDY 11、サドルはフィジークAntaresとしている。
パナソニックレディース
パナソニック チタンCX・Discプロトタイプ
昨年12月に行われた全日本選手権で、豊岡英子が使用し話題となったパナソニックのディスクCXバイク。2015モデルよりディスクCXをラインナップに加えたパナソニックだが、写真のバイクは市販品と仕様の異なるプロトタイプであり、現在はチーム共用のサブバイクである。全日本の際も普段使用するカンチ仕様のみを使用する予定だったものの洗車が間に合わず、このディスクブレーキ仕様のプロトタイプが急遽実戦デビューとなったそうだ。
基本的なフレーム形状は豊岡らチームが普段使用するカンチ仕様と共通。フレーム素材はチタンで、「3Dオプティマム・Xバテッド」や「クロスオーバルダウンチューブ」など、素材本来のしなやかさを活かすための独自技術を用いて各チューブを成型している。
一方、リアエンドはロストワックス製法で作られる市販品のそれと大きく異なり、厚い板から切り出した、極めて頑丈そうな造りだ。また、ケーブルのルーティングも市販品と異なっている。リアブレーキケーブルはトップチューブに一旦内蔵されたあと外出しとなり、シートステーを這ってブレーキ本体へ。シフトは電動コンポの使用を前提としており、ダウンチューブの下側からフレーム内へと挿入されている。
アッセンブリーはほとんどが、サポートを受ける東京サンエスのオリジナルブランドDixnaとOne by ESUで固められている。先ず、 One by ESUのフロントフォークは近年としては珍しい上下1-1/8インチ仕様のフルカーボンモデル。普段使用するカンチ仕様ではブレード形状がストレートであるのに対して、ディスク仕様ではベンドタイプとしている。
ハンドルはOne by ESU定番モデル「J Carbon」で、サドルは細い座面形状が特徴的なOne by ESUのナロー30が装着されてる。その他、メインコンポーネントはシマノ7970系DURA-ACE Di2で、ブレーキはTRP SPYRE。その他、ホイールは練習用と思われるシマノ WH-RX31、タイヤはサポートを受けるチャレンジのGRIFO33オープンチューブラー、ペダルはタイムATTACK CARBONとしている。
※豊岡英子選手のバイクとして紹介しましたが、チーム共用のスペアバイクでした。お詫びして訂正いたします。
text&photo:Yuya.Yamamoto
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