ドーピングを主導していたとされるミケーレ・フェラーリ医師とアスタナプロサイクリングが2013年11月に接触していた疑惑が浮上。イタリアのガゼッタ・デッロ・スポルト紙によって明らかにされた。フェラーリ医師はチームとの接触を否定している。



ドーピング指南役として、多くの選手をコーチングしたミケーレ・フェラーリ医師ドーピング指南役として、多くの選手をコーチングしたミケーレ・フェラーリ医師 photo:Cor Vosガゼッタ紙が報じたところによると、パドヴァを中心にした長期的なドーピング捜査を行なっていた捜査官が、2013年11月にモンテカティーニ・テルメのホテルでフェラーリ医師がトレーニングキャンプ中のアスタナチームと接触していたシーンを撮影した。

前途多難なアスタナプロサイクリング前途多難なアスタナプロサイクリング photo:Makoto AYANO現在61歳のフェラーリ医師は90年代からスポーツ界の裏で暗躍していた人物。EPOや血液ドーピング、禁止薬物の斡旋を行なうなどし、ランス・アームストロングを中心にしたUSポスタルドーピングスキャンダルでは中心的な人物として名前が浮上した。過去にはアスタナのアレクサンドル・ヴィノクロフ(カザフスタン)GMのコーチングを行なっていたことが知られており、同選手は2007年ツール・ド・フランス期間中のドーピング検査で血液ドーピング陽性となっている。

数々のドーピングを主導してきたフェラーリ医師に対し、CONI(イタリア五輪委員会)とUSADA(アメリカアンチドーピング機関)は永久資格停止処分を与えており、コーチとして選手と接触することが禁止された。2012年にはフェラーリ医師と接触していたとしてミケーレ・スカルポーニ(イタリア)に3ヶ月の出場停止処分が与えられている。

今回の報道を受けてフェラーリ医師は自身のウェブサイトに声明を掲載。アスタナとの接触を断固否定している。「昨年11月にアスタナのチームトレーニングキャンプに赴いたとされるふざけた報道を否定せねばならない。確かにその街には行ったことがある。1994年にワッフルを食べに行った時だ」。

仮にフェラーリ医師とアスタナの接触が事実であれば、相次ぐドーピング陽性によって現在保留中のUCIワールドツアーライセンスが危うくなるばかりか、チームの存続にも影響を与えかねない。ライセンスに関してUCI(国際自転車競技連合)は12月10日までに発表を行なうとしている。

今回フェラーリ医師と接触した人物が誰であったかは発表されていないが、その中に2014年のツール・ド・フランス覇者ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア)は含まれていなかったとガゼッタ紙は強調している。

text:Kei Tsuji

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