スポーツにおけるドーピング行為に対して刑罰を与える法案がドイツで検討されていることを受け、WADA(世界アンチドーピング機構)のクレイグ・リーディー会長は「ドーピング違反者はスポーツのルールで罰せられるべき」との立場を表明した。



ドーピング違反者が刑法によって裁かれる時代になる?ドーピング違反者が刑法によって裁かれる時代になる? 「長年にわたって継続してきたスポーツのルールに則ってドーピング違反者は罰せられるべき。刑法によって処罰されるべきではない」。WADAのリーディー会長はそのように反対の立場を示した(ESPNより)。

リーディー会長の発言はドイツにおけるドーピング違反の厳罰化を受けてのもの。ドイツのハンデルスブラット紙によると、サイクリングに限らず、禁止薬物に指定されているパフォーマンス向上物質(PEDs)を摂取もしくは所有したスポーツ選手に対して3年以下の懲役刑を与える法案が現在検討されている。

法案が成立すれば、ドーピング違反者には出場停止処分だけでなく懲役刑が科せられる。対象者はドイツアンチドーピング機構に登録された約7,000人のプロ選手で、アマチュア選手は含まれない。

2011年、ドーピングに対する風当たりが強いドイツではツール・ド・フランスのレース中継をキャンセル。近年はマルセル・キッテル(ドイツ、ジャイアント・シマノ)ら若手の活躍によってロードレースに関心が再び集まりつつあると言われる。「『ドーピングすれば牢屋に入れられる』なんて状況は居心地が悪い。そんなことは起こるべきではない」とリーディー会長は締めくくっている。

text:Kei Tsuji