2009年2月17日に行なわれたツアー・オブ・カリフォルニア(UCI2.HC)第3ステージ。冷たい雨が降り続く中、トル・フースホフト(ノルウェー、サーヴェロ)が今大会最初の本格スプリント勝負を制した。リーヴァイ・ライプハイマー(アメリカ、アスタナ)は中盤に落車するも、総合首位は守っている。

路上にはアームストロングの復帰を歓迎するペイントが路上にはアームストロングの復帰を歓迎するペイントが photo:CorVos2月のカリフォルニアらしく、雨はレース4日目も降り続いた。サンホセからモデストまでの167kmで行なわれる予定だった第3ステージは、悪天候のため、ゴール地点の4.5km周回コースが2周回から1周回に短縮。コースは前半に1級山岳シエラ・ロードと4級山岳パターソン・パスを通過するが、後半にかけてはフラットだ。

レインジャケットを着込んでスタートした選手たちを待ち構えたのが、3年連続の登場となる1級山岳シエラ・ロード。スタート後7km地点から上りが始まり、5.8kmで高低差540mを上り切る。単純計算でも10%近い平均勾配を有するこの上りで、早速レースは動いた。

補給ポイントを通過していく選手たち補給ポイントを通過していく選手たち photo:CorVos集団から飛び出したのはバウク・モレマ(オランダ、ラボバンク)、ブリアン・ヴァントボルグ(デンマーク、リクイガス)、ジェフリー・ラウダー(アメリカ、BMCレーシング)、ブラドレー・ホワイト(アメリカ、OUCHマキシス)の4名。これに追いついたのは山岳賞ジャージを着るフランシスコ・マンセーボ(スペイン、ロックレーシング)だ。

2度目の逃げ切りではなく山岳ポイント獲得を狙って動いたマンセーボは、雨のシエラ・ロードを独走で登頂。10ポイントを獲得すると、メイン集団に戻った。これで先頭グループは再び4名。この中で総合トップはモレマで、2分14秒遅れの総合18位。

周回コースに入ってなおも逃げ続けるジェフリー・ラウダー(アメリカ、BMCレーシング)とバウク・モレマ(オランダ、ラボバンク)周回コースに入ってなおも逃げ続けるジェフリー・ラウダー(アメリカ、BMCレーシング)とバウク・モレマ(オランダ、ラボバンク) photo:CorVosメイン集団はアスタナが先頭を固め、リーダージャージ(実際はその上にレインジャケット)を着るリーヴァイ・ライプハイマー(アメリカ)をエスコートした。50km地点でライプハイマーは前走のランス・アームストロング(アメリカ)の後輪と接触して落車したが、怪我を負うことなく集団に復帰している。

90km地点でタイム差が最大5分20秒まで広がると、マーク・カヴェンディッシュ(イギリス)擁するチームコロンビアがアスタナと協力して集団コントロールを開始する。これにクイックステップやサーヴェロ、サクソバンクが合流。スプリンターチームによるペースアップが始まった。

サーヴェロ先頭で周回コースに突入したメイン集団サーヴェロ先頭で周回コースに突入したメイン集団 photo:CorVos前日のステージで総合争いから脱落したアンディ・シュレク(ルクセンブルク、サクソバンク)も集団牽引に加わり、タイム差はラスト40kmで3分、ラスト30kmで2分、そしてラスト15kmで1分を切った。レース後半には時折太陽が顔を覗かせたが、路面はウェットなままだ。

スプリンターチームの猛烈なペースアップによってタイム差が30秒に迫ったラスト10km、諦めないラウダーが最後の力を振り絞ってアタックし、これにモレマが合流。この先頭2名は20秒のリードを保って周回コースに突入したが、ゴールまで3kmを残して吸収された。

今大会最初の本格的なスプリントを制したトル・フースホフト(ノルウェー、サーヴェロ)今大会最初の本格的なスプリントを制したトル・フースホフト(ノルウェー、サーヴェロ) photo:CorVosここからはチームコロンビアとクイックステップが主導権争いを繰り広げ、この攻防にサーヴェロもジョイン。ラスト1kmでサーヴェロが先頭に立つと、トム・ボーネン(ベルギー)を見失ったクイックステップは後退した。

最終ストレートでジョージ・ヒンカピー(アメリカ、チームコロンビア)がペースアップを図ったが、その後方にカヴェンディッシュの姿は無く、サーヴェロ先頭のままゴールへ。最後はブレット・ランカスター(オーストラリア)に発射されたフースホフトが、余裕を持ってゴールラインで両手を挙げた。

解散したクレディアグリコルから、スイス登録のプロコンチネンタルチーム、サーヴェロ・テストチームに移籍したフースホフトは今シーズン初勝利。サーヴェロはゼロからスタートした新チームにも関わらず、ツアー・オブ・カタールで総合トップ10に6名を送り込むなど、シーズン序盤から好調だ。ジロ・デ・イタリア出場権も獲得済みであり、その快進撃がどこまで続くのかに注目したい。

各賞ジャージ着用者に変更は無く、ライプハイマーがリーダージャージをキープしている。天気予報によると翌日から天候は回復。第4ステージは中盤に5つの難度の低い山岳ポイントを通過する。再びアタッカーとスプリンターチームの攻防が見られるハズだ。

レース公式サイトより

ツアー・オブ・カリフォルニア2009第3ステージ結果(暫定)
1位 トル・フースホフト(ノルウェー、サーヴェロ)4h28'13"
2位 オスカル・フレイレ(スペイン、ラボバンク)
3位 マーク・レンショー(オーストラリア、チームコロンビア)
4位 タイラー・ファラー(アメリカ、ガーミン)
5位 マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、チームコロンビア)
6位 ブレット・ランカスター(オーストラリア、サーヴェロ)
7位 ルーカスセバスティアン・アエド(アルゼンチン、コラヴィータ)
8位 フレッド・ロドリゲス(アメリカ、ロックレーシング)
9位 マルクス・ツベルグ(スイス、BMCレーシング)
10位 ペドロ・オリッリョ(スペイン、ラボバンク)

個人総合成績(暫定)
1位 リーヴァイ・ライプハイマー(アメリカ、アスタナ)13h51'14"
2位 マイケル・ロジャース(オーストラリア、チームコロンビア)+24"
3位 デーヴィット・ザブリスキー(アメリカ、ガーミン)+28"
4位 ランス・アームストロング(アメリカ、アスタナ)+30"
5位 クリストファー・ホーナー(アメリカ、アスタナ)+34"
6位 ヤネス・ブライコヴィッチ(スロベニア、アスタナ)+38"
7位 トーマス・ロヴクヴィスト(スウェーデン、チームコロンビア)
8位 ホセルイス・ルビエラ(スペイン、アスタナ)
9位 ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、リクイガス)
10位 ロバート・ヘーシンク(オランダ、ラボバンク)+39"

山岳賞
フランシスコ・マンセーボ(スペイン、ロックレーシング)

スプリント賞
フランシスコ・マンセーボ(スペイン、ロックレーシング)

新人賞
ロバート・ヘーシンク(オランダ、ラボバンク)

チーム総合成績
アスタナ