2014年10月12日、フランス中部の平野部で第108回パリ〜トゥール(UCI1.HC)が開催される。ヨーロッパシーズンを締めくくる秋のクラシックに別府史之(トレックファクトリーレーシング)が出場。逃げとスプリントのマッチレースに注目だ。



グラモン大通りで決する平坦レース 終盤のアップダウンが鍵

パリ〜トゥール2014コースマップパリ〜トゥール2014コースマップ image:A.S.O.10月12日、今年で107回目を迎える伝統のパリ〜トゥールがフランス中部の平野部で開催される。2008年にUCIプロツアー(現UCIワールドツアー)からHC(超級)クラスに格下げされたものの、その格式は依然として高い。主催者はツール・ド・フランスと同じA.S.O.(アモリ・スポル・オルガニザシオン)だ。

パリ〜トゥール2014 ラスト13km高低図パリ〜トゥール2014 ラスト13km高低図 image:A.S.O.ジロ・ディ・ロンバルディアの開催時期が早められたため、このパリ〜トゥールが実質的なヨーロッパ最終戦にあたる。このシーズン最後のクラシックを区切りとしてオフシーズンに入る選手は多い。

今年のスタート地点はパリの南西120kmに位置するボヌヴァル。そこから世界遺産ロワール渓谷を南に向かい、トゥール中心部のグラモン大通りでフィニッシュを迎える。平坦基調のため高速化しやすいのが特徴で、2010年には平均スピード47.730km/hをマークしている。

一見完全なるスプリンター向きのクラシックだが、過去には何度も逃げ切りが決まっている。近年の集団スプリントと逃げ切りの比率はおよそ半々。その秘密はラスト10kmを切ってから連続するアップダウンにある。

ラスト10km地点で「ボーソレイユ」の登りをクリアし、休む間もなくラスト7km地点で「レパン」が登場。いずれもスプリンターがパワーで乗り切れる短い登りだが、毎年ここで堰を切ったようにアタックが掛かる。

これらの短い登りでどれだけ集団を引き離したとしても、タイム差は20秒ほどまでしか広がらない。しかしトゥール郊外特有の曲がりくねった細いコースが少人数の逃げグループに味方する。大集団は縦に長く伸びてしまい、追撃モードに入りにくい。そのため少人数で逃げる選手にもチャンスがあるのだ。

「レース終盤に連続する上り」「細く曲がりくねったコース」「フィニッシュまでの距離」という3つの要素が絡み合い、逃げ切りと集団スプリントの闘いを絶妙なバランスで演出する。名物グラモン大通りでは今年も際どいマッチレースが繰り広げられるだろう。



パリ〜トゥール2014高低図パリ〜トゥール2014高低図 image:A.S.O.


デゲンコルブが連覇を狙う 新城幸也と別府史之出場

2013年大会表彰台 左から2位モルコフ、優勝デゲンコルブ、3位デマール2013年大会表彰台 左から2位モルコフ、優勝デゲンコルブ、3位デマール photo:Cor Vos出場するのは国内外の21チーム。内訳はUCIプロチームが11、UCIプロコンチネンタルチームが7、UCIコンチネンタルチームが3。

集団スプリントに持ち込まれた場合は、ディフェンディングチャンピオンのジョン・デゲンコルブ(ドイツ、ジャイアント・シマノ)を始めとするスプリンターたちの独壇場となる。デゲンコルブは直前のパリ〜ブールジュで優勝。シーズン終盤まで好調を維持して大会連覇に挑む。

スプリンターとしてはフランスチャンピオンのアルノー・デマール(フランス、FDJ.fr)やゲラルド・チオレック(ドイツ、MTNキュベカ)、サミュエル・ドゥムラン(フランス、AG2Rラモンディアール)、ハインリッヒ・ハウッスラー(オーストラリア、IAMサイクリング)らの名前が挙げられる。

2011年大会を制したフレフ・ファンアフェルマート(ベルギー、BMCレーシング)2011年大会を制したフレフ・ファンアフェルマート(ベルギー、BMCレーシング) photo:Cor Vos別府史之(トレックファクトリーレーシング)別府史之(トレックファクトリーレーシング) photo:Kei Tsuji

逆にトニー・ギャロパン(フランス、ロット・ベリソル)やニキ・テルプストラ(オランダ、オメガファーマ・クイックステップ)、フレフ・ファンアフェルマート(ベルギー、BMCレーシング)、ビョルン・ルークマンス(ベルギー、ワンティ・グループグベルト)らが終盤にかけてアタックを仕掛けてくるだろう。

日本からは別府史之(トレックファクトリーレーシング)が出場。ともに1週間後に迫ったジャパンカップにも出場予定であり、帰国前最後のヨーロッパレース出場となる。


text:Kei Tsuji

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