フィニッシュまで5kmを残して強力なアタックを仕掛けたスヴェンエリック・ビストロム(ノルウェー)が、迫り来る集団を7秒差で振り切った。10月にツール・ド・フランスさいたまクリテリウム出場予定の22歳がアルカンシェルを手にした。



ポンフェラーダの周回コースを走る選手たちポンフェラーダの周回コースを走る選手たち photo:Tim de Waele


独走でフィニッシュするスヴェンエリック・ビストロム(ノルウェー)独走でフィニッシュするスヴェンエリック・ビストロム(ノルウェー) photo:Tim de Waele18.2km周回コースを10周する全長182km/獲得標高差3,060mコースで行なわれたU23男子ロードレース。1周目にセバスティアン・ショーンベルガー(オーストリア)、ロマン・クスタディンチェフ(ロシア)、アディル・バルバリ(アルジェリア)が逃げグループを形成し、メイン集団に対して最大2分30秒リードで周回を重ねた。

集団先頭でスプリントするカレイブ・イワン(オーストラリア)集団先頭でスプリントするカレイブ・イワン(オーストラリア) photo:Tim de Waeleメイン集団をコントロールしたのは集団スプリントを狙うオーストラリア。残り4周に差し掛かるとルーベン・ツェプンケ(ドイツ)とレナール・ホフステード(オランダ)がカウンターアタックを仕掛けて先頭に追いついたものの、オーストラリアによるコントロール下から抜け出すことが出来ない。

2位カレイブ・イワン(オーストラリア)、優勝スヴェンエリック・ビストロム(ノルウェー)、3位クリストファー・スケルピング(ノルウェー)2位カレイブ・イワン(オーストラリア)、優勝スヴェンエリック・ビストロム(ノルウェー)、3位クリストファー・スケルピング(ノルウェー) photo:Tim de Waele続いて飛び出したブエルタ・ア・エスパーニャ総合55位完走のルイス・マインティーズ(南アフリカ)がそれまで逃げていた選手たちをパスしてエスケープ開始。ここにオランダやフランス、ドイツなどの強豪国を含む16名が追いついたものの、メイン集団とのタイム差は広がらなかった。

先頭ではケヴィン・ルダノワ(フランス)が独走して最終周回へ。オーストラリア率いる約50名のメイン集団がルダノワを捉えると、最終周回の2つの登りで断続的なアタックが繰り返される。先陣切ってアタックしたジョアキン・シルバ(ポルトガル)とミケル・セグロラ(スペイン)をブライアン・ラミレス(コロンビア)が抜き去って先頭へ。

ラミレスを追って下りを攻めたジャンニ・モスコン(イタリア)は落車し、最後の登りで先頭ラミレスも吸収。するとそこからビストロムが強力なアタック。フィニッシュまで5kmを残して飛び出したビストロムが10秒差を広げて頂上をクリアした。

ハイスピードな下りを攻め、そのまま平坦路を独走したビストロムが40名の集団を振り切る。後方から弾丸のように飛んでくるカレイブ・イワン(オーストラリア)らを尻目に、ビストロムが歓喜のガッツポーズでフィニッシュした。

「調子の良さを感じていたので、落ち着いて脚を貯めながら走っていた。それが正しいタイミングでの正しいアタックに繋がったよ。最後の登りに全てを懸けて全開でアタック。誰も追いつけないスピードで飛び出して、そこから超ハイスピードで下りをクリアし、そのまま踏んだんだ」と、U23のアルカンシェルを手にしたビストロムは語る。

ビストロムは現在スタジエール(研修生)としてカチューシャで走っており、2015年同チームでのプロ入りが決まっている。エリート男子ロードレースでも優勝候補に挙げられるアレクサンダー・クリストフ(ノルウェー)のフットステップを追う22歳ビストロムはツール・ド・フランスさいたまクリテリウムにカチューシャのメンバーとして来日予定だ。

ノルウェーによるU23ロードレース制覇は1997年のクルトアスル・アルヴェセン以来17年ぶり2度目。ノルウェーは2017年ロード世界選手権の開催地に決定している。この日はクリストファー・スケルピング(ノルウェー)が3位、ソンドル・ホルストエンゲル(ノルウェー)が5位に入り、ノルウェーがトップ5に3名を送り込む盤石ぶりだった。

選手コメントはUCI公式サイトより。






ロード世界選手権2014ロードレース U23男子結果
1位 スヴェンエリック・ビストロム(ノルウェー)    4h32'39"
2位 カレイブ・イワン(オーストラリア)          +07"
3位 クリストファー・スケルピング(ノルウェー)
4位 ティージ・ベノ(ベルギー)
5位 ソンドル・ホルストエンゲル(ノルウェー)
6位 ルーリ・フィロージ(イタリア)
7位 ボオルケス・サンチェス(コロンビア)
8位 イリア・ダヴィデノク(カザフスタン)
9位 シルヴィオ・ヘルクロッツ(ドイツ)
10位 マテュー・ファンデルポール(オランダ)

text:Kei Tsuji
photo:Tim de Waele