サンティアゴ・デ・コンポステーラで幕を下ろした第69回ブエルタ・ア・エスパーニャ。総合優勝を果たしたアルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ・サクソ)をはじめ、3週間の闘いを終えた選手たちのコメントをお届けします。



総合優勝を果たしたアルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ・サクソ)

夕陽を受けて走るアルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ・サクソ)夕陽を受けて走るアルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ・サクソ) photo:Tim de Waele「ブエルタには間に合わない」。ツール・ド・フランスでの落車リタイア後、専門医に言われたその言葉が頭から離れない。でもその言葉が間違っていることを証明したくて、復帰に向けて真剣に取り組んだ。落車の翌日には筋肉を動かすエクササイズを開始したんだ。ブエルタ出場は可能だと思っていたけど、総合争いに絡めるとは正直思っていなかった。でも3週間走り続けることで調子を戻すことが出来たんだ。

総合表彰台に登るブエルタ総合トップスリー総合表彰台に登るブエルタ総合トップスリー photo:Tim de Waele総合優勝に手が届くと思い始めたのは1級山岳バルデリナレスにフィニッシュした第9ステージ。それまではひたすら苦しみの日々で、チームメイトのサポートを受けて難局を乗り切っていた。そして第10ステージの個人TTで展望がガラッと変わったんだ。

3度のブエルタ総合優勝はどれもスペシャル。2008年の最初の優勝はトリプルクラウン(ジロ、ツール、ブエルタ制覇)に繋がったし、2012年のブエルタでは第17ステージの奇襲作戦で総合をひっくり返した。そして今回、ツールを落車リタイアして不完全な状態で挑み、勝利した。前半は耐え忍び、後半は攻撃の日々。トップライダーたちとの勝負に興奮を覚えたよ。今年は何と言っても出場選手が豪華で、全員が総合優勝に向けて走っていた。

まだ2015年シーズンについて話すには時期尚早だけど、3つのグランツールに出場したいという気持ちもある。いつの日かそれを実現したい。今日明日決めることじゃないけど、不可能ではないと思っている。

総合2位 クリス・フルーム(イギリス、チームスカイ)

総合2位クリス・フルーム(イギリス、チームスカイ)総合2位クリス・フルーム(イギリス、チームスカイ) photo:Unipublic第10ステージの個人TTでコンタドールからタイム(53秒)を失ったことが尾を引いてしまった。このハイレベルなブエルタに出場出来たことを嬉しく思う。総合2位という結果はチームワークの賜物だ。厳しい状況の中でもチームメイトたちは常に全力でサポートしてくれた。開幕時のコンディションを考えると総合2位の結果には満足。レース展開に悔いは全くない。能力を最大限引き出して、全力を尽くしたまでだ。

今大会におけるアルベルトは本当にインプレッシブだった。今回彼から学んだのは、絶対にリードを与えてはいけないということ。彼がリードを広げるともう取り返しがつかない。

来シーズン以降のツール・ド・フランスのコース発表が待ち遠しいよ。その前にオフシーズンを満喫したいと思う。

ポイント賞 ジョン・デゲンコルブ(ドイツ、ジャイアント・シマノ)

ジョン・デゲンコルブ(ドイツ、ジャイアント・シマノ)ジョン・デゲンコルブ(ドイツ、ジャイアント・シマノ) photo:Unipublic何と言っていいのか分からない。大満足だ。ウェットな状態ではマローリのタイムは更新出来ないと確信していたので、アルベルトがフィニッシュする前から安心して見ていられた。今日もポイント獲得のために全力で走ったけど、結果的にその必要はなかった。

グランツールでの初グリーンジャージ獲得を嬉しく思う。少し不思議な気分だ。3週間の闘いを楽しんだよ。今回のブエルタも美しかった。景色と天候のバリエーションが豊かなスペインが好きで、このサンティアゴで表彰を受けるなんて信じられない気持ち。この先のレースに向けて大きなモチベーションと大きなエネルギーを得たよ。

山岳賞 ルイスレオン・サンチェス(スペイン、カハルーラル)

ポルカドットジャージ獲得に一番驚いているのは自分だと思う。ステージ優勝を狙ってこのブエルタに出場したけど、蓋を開けてみると逃げ切りのチャンスは少なかった。ボーナスタイム導入の影響で総合上位の選手たちもステージ優勝に興味を示すようになったんだ。

展開のあやで山岳賞を狙うことになり、最初はチームメイトのルイス・マスボネのジャージキープのためにカテゴリー山岳でスプリント。それが山岳賞獲得に繋がった。キャリアの中で山岳賞が手元にやってくるとは夢にも思わなかった。チームとして成し遂げたことの大きさを誇りに思う。

ステージ優勝 アドリアーノ・マローリ(イタリア、モビスター)

ステージ優勝を飾ったアドリアーノ・マローリ(イタリア、モビスター)ステージ優勝を飾ったアドリアーノ・マローリ(イタリア、モビスター) photo:Unipublicカンチェラーラやマルティンがすでにリタイアしていたので勝ち目があると思っていた。このチャンスを逃すまいと果敢に攻めたんだ。世界選手権に向けての自信にも繋がる。マルティンには敵わないけど、世界選手権の個人TTで5位前後の成績を残せると思う。

3週間にわたってチームメイトのために働き、昨日だけはエネルギーをセーブする走りに徹した。でも獲得標高差4000mのステージでは身体が休まらなかったよ。走り始めてすぐ手応えを掴み、実際にワット数も出ていた。雨の前に走ったジェシー・サージェントをはじめとするスペシャリストを下すことが出来て本当に嬉しいよ。ラッキーなことに雨に降られずに済んだし、今日はキャリアの中で最高のタイムトライアルだった。

text:Kei Tsuji