8月16・17日、福井県大野市に位置する福井和泉MTB PARKにて開催されたDOWNHILL SERIES第2戦。第1戦、そして約1ヶ月前の全日本選手権と同様に雨によるマッドコンディションで転倒が相次ぐ中、男女共に全日本王者の安達靖と末政実緒が実力を示し、優勝を手にした。



ダウンヒルシリーズ第2戦の舞台となったのは福井県の福井和泉スキー場ダウンヒルシリーズ第2戦の舞台となったのは福井県の福井和泉スキー場 (c)DOWNHILL SERIES
大会期間中は雨が降り続き、開幕戦に続いてまたしてもマッドコンディションのレースとなった大会期間中は雨が降り続き、開幕戦に続いてまたしてもマッドコンディションのレースとなった (c)DOWNHILL SERIESマッドコンディションの路面で転倒者が続出したマッドコンディションの路面で転倒者が続出した (c)DOWNHILL SERIES




新旧トップライダーも参戦。左から永田隼也(AKI FACTORY TEAM)、黒沢大介(TRANSITION/FUST)、清水一輝(MADISON SARACEN FACTORY TEAM)、内嶋亮(Dynoco)新旧トップライダーも参戦。左から永田隼也(AKI FACTORY TEAM)、黒沢大介(TRANSITION/FUST)、清水一輝(MADISON SARACEN FACTORY TEAM)、内嶋亮(Dynoco) (c)DOWNHILL SERIESDOWNHILL SERIES第2戦の舞台となった福井和泉MTB PARKはオープンしてから5年目の比較的新しいMTBパーク。過去にスキージャム勝山でコースクリエイターとして活躍したMAD-MAX(マッドマックス)の2人によって造られた、“サンデーライダーが楽しく走れる”がコンセプトのコースである。今回はお盆時期の開催にも関わらず、西は島根県から東は東京都までの82人がエントリーした。
 
搬送にはトラックと4WD車両が使われた。ゲレンデトップまでの約20分間は、参加者同士の乗り合いで会話も弾む搬送にはトラックと4WD車両が使われた。ゲレンデトップまでの約20分間は、参加者同士の乗り合いで会話も弾む (c)DOWNHILL SERIESコースは「ショットガン」と呼ばれるコースを使用。マウンテンバイクの要素がすべて詰めこまれた、テクニックとフィジカルの両方を強く必要とされる全長1.27kmのハードコース。

加えて、第一戦に続く雨予報の天気がプラスされるとなると、タフなレースになることは想像に難くない。また、今回の会場では搬送に時間がかかるため、試走は1人3本と決められており、練習時間はみんなが平等だ。
 
土曜日に行われたのはタイムドセッション。この結果によって日曜日の本戦のスタート順を決めるが、参加は必須ではない。ただし、ポイントが加算されるということもあって参加率は高い。

曇ったり大雨になったり、晴れ間が見えたりと天気に翻弄されるなか、トップライダーさえも転倒が相次ぐほど、コースは雨でスリッピーに。



エリート女子優勝の末政実緒選手(DIRTFREAK/SARACEN)エリート女子優勝の末政実緒選手(DIRTFREAK/SARACEN) (c)DOWNHILL SERIESエリート男子優勝の安達靖選手(DIRTFREAK/SARACEN)エリート男子優勝の安達靖選手(DIRTFREAK/SARACEN) (c)DOWNHILL SERIES初戦十種ヶ峰優勝で今回も3位に入った阿藤寛選手(COMMENCAL/Topknot)初戦十種ヶ峰優勝で今回も3位に入った阿藤寛選手(COMMENCAL/Topknot) (c)DOWNHILL SERIES




これぞマッドレース。コースには深い水たまりがいくつも出現したこれぞマッドレース。コースには深い水たまりがいくつも出現した (c)DOWNHILL SERIESそれでも、参加者の顔から笑顔は消えない。同じく雨に降られた第一戦に続き、「最高のマウンテンバイク日和」である。

タイムドセッションを制したのは、ワールドカップ帰りの清水一輝(MADISON SARACEN FACTORY TEAM)。2秒遅れで第一戦の優勝者阿藤寛(COMMENCAL/Topknot)、続いて井本はじめ(LoveBikes)が入った。
 
女子エリートクラス優勝の末政実緒(DIRTFREAK/SARACEN)女子エリートクラス優勝の末政実緒(DIRTFREAK/SARACEN) (c)DOWNHILL SERIES本戦の日曜日。土曜の夜に豪雨と雷に襲われた大野市だったが、朝には小康状態に。雨が止んだためにコースはドロドロ、ツルツル、コネコネの超マッドコンディション。昨日のタイムドセッション時からまた大きくコンディションの変わったコースを、当日のたった2本の試走で攻略するのはプロでも難しい。
 
試走が終わる頃には雨も上がり、本戦へ向けてスタート地点への搬送が始まる。本戦では、転倒やコース脇の小川に転落する参加者が続出。

抜かれ際に2人そろって転倒して優勝を逃すライダーもいたなど、悪コンディションならではのドラマも生まれる。そのたびにゴール周辺に集まった観客からは「わぁっ!」と声が上がり、コース脇からは声援が飛ぶ。



女子チャレンジクラスにはXCの相野田選手も参戦。自身はじめてのダウンヒルレース参加となった女子チャレンジクラスにはXCの相野田選手も参戦。自身はじめてのダウンヒルレース参加となった (c)DOWNHILL SERIESタイムドセッション1位の清水一輝選手(MADISON SARACEN FACTORY TEAM)タイムドセッション1位の清水一輝選手(MADISON SARACEN FACTORY TEAM) (c)DOWNHILL SERIES

エリート男子2位の井本はじめ選手(LoveBikes)エリート男子2位の井本はじめ選手(LoveBikes) (c)DOWNHILL SERIES
大会最年少参加者の古城栄翔君はまだ小学生。開幕戦に続いての参加となったが、今回は24インチのダウンヒルバイクを持ち込んだ大会最年少参加者の古城栄翔君はまだ小学生。開幕戦に続いての参加となったが、今回は24インチのダウンヒルバイクを持ち込んだ (c)DOWNHILL SERIESコース後半のフラットコーナーは氷のように滑りやすくなっていた。ライダーは京都から参戦の藤村飛丸(MUDDY CHOCOLATE)コース後半のフラットコーナーは氷のように滑りやすくなっていた。ライダーは京都から参戦の藤村飛丸(MUDDY CHOCOLATE) (c)DOWNHILL SERIES

 


Jシリーズと遜色のないメンバーで激戦となった男子エリートを制したのは安達靖(DIRTFREAK/SARACEN)Jシリーズと遜色のないメンバーで激戦となった男子エリートを制したのは安達靖(DIRTFREAK/SARACEN) (c)DOWNHILL SERIES今回、エリート男子クラスにはすでに引退している歴代の名選手も多く参加していた。2度全日本を制した内嶋亮、2009年の全日本チャンピオン向原健司、1998年アジアチャンピオンの竹本将史たちだ。そして今年4年ぶり5度目の全日本を制した安達靖(DIRTFREAK/SARACEN)。さらに2013年全日本チャンピオン井手川直樹(Devinci/STRIDER)や、今年の全日本2位の永田隼也(AKI FACTORY TEAM)ら現役選手達がどこまで“今の世代”の力を見せつけるか。
 
次々に選手がゴールするが、タイムは伸びず、土曜日のタイムドセッションに比べると全体的に7~8秒プラスのタイム。ゴールしたライダーはほとんどが首を振りながら笑って言う「これは、ヤバい」「氷みたいだった」と。試走時ともまったく変わってしまったコンディションに、トップライダーさえほとんどが転倒を喫した。



エリート男子表彰式エリート男子表彰式 (c)DOWNHILL SERIESエリート女子表彰式エリート女子表彰式 (c)DOWNHILL SERIES

最後にみんなで記念撮影最後にみんなで記念撮影 (c)DOWNHILL SERIES


そんななか、レース後「朝の試走よりも思った以上に路面が変わってしまっていましたね。正直、走っていてそんなに速いって言う感覚はなかったんですが、結果的に上手くまとめられたかなと思います。」と話した安達靖が、やはり経験値の差なのか、2位に4秒近い差を付けて優勝を決めた。2位に井本、3位に阿藤が入った。
 
エリート女子は全日本選手権15連覇を成し遂げた末政実緒(DIRTFREAK/SARACEN)が後続に32秒差をつけて第1戦に続いての優勝を果たした。次戦は9月13日~14日。舞台は島根県邑智郡MIZUHO MTBPARKで行われる。





report:DOWNHILL SERIES
photo:Hiroyuki.Nakagawa/SLmedia, Ryuta.Iwasaki/八重洲出版

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