2015/01/17(土) - 06:11
日本人にフィットするヘルメットやアイウェアをリリースするジャパンブランド、カブトが、待望の新型フラッグシップモデル「Zenard」(ゼナード)を発表した。カブト史上最高のエアフローを謳うハイエンドヘルメットをインプレッションする。
プロツアーチーム、ランプレ・メリダに供給するほか、シマノレーシングやマトリックスパワータグを始めとした多くの国内実業団チームをスポンサードするカブト。長くハイエンドモデルとして君臨していたレジモスにかわり、新たに登場するのが今回紹介するゼナードだ。
2007年に発売され、195gという軽量性で話題をさらったモストロ。2010年に発表され、カーボンを構造体に採用し、強度を高めたレジモス。カブトのフラッグシップモデルは、常に日本のサイクリストの頭を守ってきた。そしてレジモスから4年、新たなハイエンドとして登場したゼナードのテーマは「エアフロー」の追求。
レジモスと比較して空気を取り入れる開口部の面積が15%増加した新デザインを採用。ヘルメット前方からのエアインレットを拡大することで、より多くのフレッシュな空気がヘルメット内部へと導入され、こもりがちなヘルメット内の空気を常に換気し続ける。
大きなインテークを実現するために、ヘルメット構造の一部を取り除くことによる強度の低下を補うために採用されたのが「レインフォースメント・ブリッジ」。ヘルメット中央上部に配置されたスモーククリアのパーツが開口部を支えることで、重量を増やすことなく強度を高めることに成功している。
流入したフレッシュな空気を妨げないよう、ヘルメット内側に「エアチャンネルプレート」と名付けられたパーツを頭頂部と前頭部に装着する。エアチャンネルプレートによりヘルメットと頭に設けられた空間が、スムーズなエアフローを実現した。
従来のヘルメットにおけるエアフローデザインは、点接触のフィッティングになることや、頭部形状や毛髪の量によって内部の隙間空間が変化してしまい、冷却効果が低下してしまうといったデメリットがあった。エアチャンネルプレートは、そういった諸条件に関わらず一定の空間をもたらすことで、誰が、どんなかぶり方をしても、常に設計通りの涼しさを実現するという。
また、ゼナードは空気抵抗の低減にも取り組んでいる。レジモスに比べ 7.5% 絞り込まれたテール形状を採用。ヘルメットの後ろ上部が切り落とされたかのようなデザインは、前傾姿勢をとった時の前方投影面積を減少させることに成功している。
フィッティングの面では、新開発のXF-5アジャスターを採用。従来のアジャスターの2倍の大きさを持ち、ホールド感を飛躍的に向上させた。上下に3段階、前後に2段階の調整機構を持っており、後頭部の形に合わせてしっかりとフィッティングすることができる。
3種類のインナーパッドが付属することで、気温や状況に合わせて交換・使用できる。ネットにより虫の侵入を抑えると共に、エアフローを妨げない「AIネット」、最大限のエアフローを確保する「ノーマルインナーパッド」、風の侵入を抑える素材を用いた冬用の「Winterインナーパッド」の3種類を時季により使い分けることができる。
「AIネット」と「ノーマルインナーパッド」の2種類のインナーパッドおよび、チンストラップには瞬間消臭繊維「MOFF」が使用される。日本のナノテク技術を生かした素材により、常にさわやかな装着感をサイクリストにもたらしてくれる。
カブトらしく、日本人に最適化されたアジアンフィットの帽体をもつのはゼナードでも同様だ。横幅が広く真円形状のシェルは多くの日本人にフィットするだろう。サイズ展開はXS/S、S/M、L、XL/XXLの4種類。どのサイズでも最高のフィッティングが得られるよう、各サイズが専用設計となっている。
カラーは、パールホワイト、ブラック、コクーレッド、ワイヤーグリーン、パワーブルー、パワーイエローの6種類。価格は27,000円(税抜)となっている。今回、テストサンプルを長期お借りできたので、通勤ライドや酷暑の中でのロングライドでのテストを行った。早速インプレッションに移ろう。
ーインプレッション
まずは外観の印象から触れていこう。前作レジモスに比べると、一回り小ぶりになった印象を受ける。それは後頭部の部分が大胆にカットオフされたデザインと、側頭部から頭頂部にかけての曲線がきつくなっているという二つに起因するものだ。前面から比べてみると、確かに開口部が大きくなっており、後ろの見え方がまるで違う。いかにも空気が抜けそうだ。
さて、実際にかぶってみると、レジモスからは少しサイズ感が変わっていると感じる。具体的には、レジモスの同サイズに比べると、少し広くなった印象。同じS/Mサイズで、レジモスでは窮屈さを感じた編集部員でも、ゼナードならば快適に装着することができた。
形としてはこれまでのカブトのヘルメットの特徴である、横幅が広めの日本人頭にぴったりのフィッティングを持ち、歴代のカブトヘルメットユーザーであれば違和感なく装着できる。ただ、はじめてヘルメットを買うという人は一度試着されたほうがよいだろう。
重量はレジモス204g、ゼナードが215g(実測、S/Mサイズ、AIネット装着時)と若干増加しているが、計測前では持ち比べてもどちらが軽いのか分からないほどだった。実際にかぶったときに差がわかるか? と問われればほとんどの人は気付かないレベルだろう。
重量増加の要因としては、エアチャンネルプレートの追加が大きいようだ。頭頂部と前頭部のエアチャンネルプレートを取り外して実測したみたところ、13gという結果であったため、帽体単体でみた時の重量はレジモスと同等といえるだろう。
この重量増と引き換えに装着するだけの効果がエアチャンネルプレートにあるかというと、「ある」というのが私の感想だ。面接触によるフィット感というものは確かに感じることができる。通常のヘルメットだと、頭に当たっている部分とそうでない部分の差を明確に感じるが、ゼナードは全体的にすっぽりと覆われるような感覚がある。
新型アジャスターのノッチはかなり細かくなっており、微妙な締め付け具合の調整も可能となっている。ヌルヌルと動くアジャスターは耐久性も高そう。レジモスのアジャスターを壊してしまった経験があるので、耐久性には期待したい。エアチャンネルプレートと相まって、フィット感はかなり高いレベルに到達している。
さて、肝心の冷却効果について。レジモスよりも涼しくなっていることは間違いない。特に中央部の風の入り方、抜け方がかなり進化していると感じる。実際に酷暑の中のロングライドを走っていても、ヘルメットの中の熱がこもることはなかった。
ただ、最初に装着されるAIネットは意外に風を通さないので、真夏はノーマルパッドに付け替えることを強くお勧めする。また、これはほとんどの人には関係ないことだが、後頭部上部がカットオフされたデザインによって、カメラストラップが引っ掛かりづらくなっており、取材時に非常に便利だったのは個人的に大きなプラスポイントだった。担ぎを含むシクロクロスなど、アクションが大きなライドにはメリットになるだろう。
エアロヘルメットを中心に、様々な新型ヘルメットが出てきている2015年モデル。その中でも日本人の頭に、そして高温多湿な日本の気候に最もフィットするだろうモデルがゼナードだ。きっと、数ヵ月後には街中で、峠で、イベント会場で多くのゼナードがサイクリストを護っているだろうことは想像に難くない。そんなことを自然に思える完成度の高さを持った製品だ。
カブト ゼナード
サイズ:XS、S/M、L、XL/XXL
重 量:215g(実測、S/Mサイズ、AIネット装着時)
カラー:パールホワイト、ブラック、コクーレッド、ワイヤーグリーン、パワーブルー、パワーイエロー
付属品:パッド3種類(AIネット、ノーマルインナーパッド、Winterインナーパッド)
価 格:27,000円(税抜)
text:Naoki.Yasuoka
photo:Makoto.AYANO, So.Isobe
プロツアーチーム、ランプレ・メリダに供給するほか、シマノレーシングやマトリックスパワータグを始めとした多くの国内実業団チームをスポンサードするカブト。長くハイエンドモデルとして君臨していたレジモスにかわり、新たに登場するのが今回紹介するゼナードだ。
2007年に発売され、195gという軽量性で話題をさらったモストロ。2010年に発表され、カーボンを構造体に採用し、強度を高めたレジモス。カブトのフラッグシップモデルは、常に日本のサイクリストの頭を守ってきた。そしてレジモスから4年、新たなハイエンドとして登場したゼナードのテーマは「エアフロー」の追求。
レジモスと比較して空気を取り入れる開口部の面積が15%増加した新デザインを採用。ヘルメット前方からのエアインレットを拡大することで、より多くのフレッシュな空気がヘルメット内部へと導入され、こもりがちなヘルメット内の空気を常に換気し続ける。
大きなインテークを実現するために、ヘルメット構造の一部を取り除くことによる強度の低下を補うために採用されたのが「レインフォースメント・ブリッジ」。ヘルメット中央上部に配置されたスモーククリアのパーツが開口部を支えることで、重量を増やすことなく強度を高めることに成功している。
流入したフレッシュな空気を妨げないよう、ヘルメット内側に「エアチャンネルプレート」と名付けられたパーツを頭頂部と前頭部に装着する。エアチャンネルプレートによりヘルメットと頭に設けられた空間が、スムーズなエアフローを実現した。
従来のヘルメットにおけるエアフローデザインは、点接触のフィッティングになることや、頭部形状や毛髪の量によって内部の隙間空間が変化してしまい、冷却効果が低下してしまうといったデメリットがあった。エアチャンネルプレートは、そういった諸条件に関わらず一定の空間をもたらすことで、誰が、どんなかぶり方をしても、常に設計通りの涼しさを実現するという。
また、ゼナードは空気抵抗の低減にも取り組んでいる。レジモスに比べ 7.5% 絞り込まれたテール形状を採用。ヘルメットの後ろ上部が切り落とされたかのようなデザインは、前傾姿勢をとった時の前方投影面積を減少させることに成功している。
フィッティングの面では、新開発のXF-5アジャスターを採用。従来のアジャスターの2倍の大きさを持ち、ホールド感を飛躍的に向上させた。上下に3段階、前後に2段階の調整機構を持っており、後頭部の形に合わせてしっかりとフィッティングすることができる。
3種類のインナーパッドが付属することで、気温や状況に合わせて交換・使用できる。ネットにより虫の侵入を抑えると共に、エアフローを妨げない「AIネット」、最大限のエアフローを確保する「ノーマルインナーパッド」、風の侵入を抑える素材を用いた冬用の「Winterインナーパッド」の3種類を時季により使い分けることができる。
「AIネット」と「ノーマルインナーパッド」の2種類のインナーパッドおよび、チンストラップには瞬間消臭繊維「MOFF」が使用される。日本のナノテク技術を生かした素材により、常にさわやかな装着感をサイクリストにもたらしてくれる。
カブトらしく、日本人に最適化されたアジアンフィットの帽体をもつのはゼナードでも同様だ。横幅が広く真円形状のシェルは多くの日本人にフィットするだろう。サイズ展開はXS/S、S/M、L、XL/XXLの4種類。どのサイズでも最高のフィッティングが得られるよう、各サイズが専用設計となっている。
カラーは、パールホワイト、ブラック、コクーレッド、ワイヤーグリーン、パワーブルー、パワーイエローの6種類。価格は27,000円(税抜)となっている。今回、テストサンプルを長期お借りできたので、通勤ライドや酷暑の中でのロングライドでのテストを行った。早速インプレッションに移ろう。
ーインプレッション
まずは外観の印象から触れていこう。前作レジモスに比べると、一回り小ぶりになった印象を受ける。それは後頭部の部分が大胆にカットオフされたデザインと、側頭部から頭頂部にかけての曲線がきつくなっているという二つに起因するものだ。前面から比べてみると、確かに開口部が大きくなっており、後ろの見え方がまるで違う。いかにも空気が抜けそうだ。
さて、実際にかぶってみると、レジモスからは少しサイズ感が変わっていると感じる。具体的には、レジモスの同サイズに比べると、少し広くなった印象。同じS/Mサイズで、レジモスでは窮屈さを感じた編集部員でも、ゼナードならば快適に装着することができた。
形としてはこれまでのカブトのヘルメットの特徴である、横幅が広めの日本人頭にぴったりのフィッティングを持ち、歴代のカブトヘルメットユーザーであれば違和感なく装着できる。ただ、はじめてヘルメットを買うという人は一度試着されたほうがよいだろう。
重量はレジモス204g、ゼナードが215g(実測、S/Mサイズ、AIネット装着時)と若干増加しているが、計測前では持ち比べてもどちらが軽いのか分からないほどだった。実際にかぶったときに差がわかるか? と問われればほとんどの人は気付かないレベルだろう。
重量増加の要因としては、エアチャンネルプレートの追加が大きいようだ。頭頂部と前頭部のエアチャンネルプレートを取り外して実測したみたところ、13gという結果であったため、帽体単体でみた時の重量はレジモスと同等といえるだろう。
この重量増と引き換えに装着するだけの効果がエアチャンネルプレートにあるかというと、「ある」というのが私の感想だ。面接触によるフィット感というものは確かに感じることができる。通常のヘルメットだと、頭に当たっている部分とそうでない部分の差を明確に感じるが、ゼナードは全体的にすっぽりと覆われるような感覚がある。
新型アジャスターのノッチはかなり細かくなっており、微妙な締め付け具合の調整も可能となっている。ヌルヌルと動くアジャスターは耐久性も高そう。レジモスのアジャスターを壊してしまった経験があるので、耐久性には期待したい。エアチャンネルプレートと相まって、フィット感はかなり高いレベルに到達している。
さて、肝心の冷却効果について。レジモスよりも涼しくなっていることは間違いない。特に中央部の風の入り方、抜け方がかなり進化していると感じる。実際に酷暑の中のロングライドを走っていても、ヘルメットの中の熱がこもることはなかった。
ただ、最初に装着されるAIネットは意外に風を通さないので、真夏はノーマルパッドに付け替えることを強くお勧めする。また、これはほとんどの人には関係ないことだが、後頭部上部がカットオフされたデザインによって、カメラストラップが引っ掛かりづらくなっており、取材時に非常に便利だったのは個人的に大きなプラスポイントだった。担ぎを含むシクロクロスなど、アクションが大きなライドにはメリットになるだろう。
エアロヘルメットを中心に、様々な新型ヘルメットが出てきている2015年モデル。その中でも日本人の頭に、そして高温多湿な日本の気候に最もフィットするだろうモデルがゼナードだ。きっと、数ヵ月後には街中で、峠で、イベント会場で多くのゼナードがサイクリストを護っているだろうことは想像に難くない。そんなことを自然に思える完成度の高さを持った製品だ。
カブト ゼナード
サイズ:XS、S/M、L、XL/XXL
重 量:215g(実測、S/Mサイズ、AIネット装着時)
カラー:パールホワイト、ブラック、コクーレッド、ワイヤーグリーン、パワーブルー、パワーイエロー
付属品:パッド3種類(AIネット、ノーマルインナーパッド、Winterインナーパッド)
価 格:27,000円(税抜)
text:Naoki.Yasuoka
photo:Makoto.AYANO, So.Isobe
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