7月27日にパリで閉幕した世界最高峰のロードレース、ツール・ド・フランス。3週間の戦いを支えた22チームのバイクを数回に分けて紹介します。第1弾はランプレ・メリダ、チームスカイ、ネットアップ・エンデューラの3チームをピックアップ。



ランプレ・メリダ 【メリダ REACTO KOM、REACTO EVO、SCULTURA SL】

ルイ・コスタ(ポルトガル、ランプレ・メリダ)のメリダ REACTO KOMルイ・コスタ(ポルトガル、ランプレ・メリダ)のメリダ REACTO KOM photo:Makoto.AYANO

ランプレ・メリダからはルイ・コスタ(ポルトガル)のマシンをピックアップ。現世界チャンピオンは黒字にアルカンシェルがデザインされたプロトタイプの「REACTO KOM」に乗る。このバイクはシーズン当初からコスタにのみ供給されており、詳細は未発表だ。恐らくKOMを名に冠すことから他の選手が使用するREACTO EVOの軽量版と見られており、フレーム形状は共通であることから、より軽いカーボン素材を採用していると思われる。その他、ホイールやサドルもアルカンシェル仕様となっている。

コスタ以外の選手はエアロロードの「REACTO EVO」をメインに、クリス・ホーナーなどが軽量オールラウンドモデル「SCULTURA SL」を選択している。コンポーネントは9070系シマノDURA-ACE Di2をメインに、クランク及びチェーンリングがローターという組み合わせ。なお、パワーメーターはローター純正のROTORPOWERではなく、ローター3D+のアームを使用する社外製のPOWER2 MAXとした。

表面に滑り止め素材が配されたアルカンシェルカラーのサドルはプロロゴ NAGO EVO NACK CPC表面に滑り止め素材が配されたアルカンシェルカラーのサドルはプロロゴ NAGO EVO NACK CPC photo:Makoto.AYANOKOMの名を冠すことから、REACTO EVOの軽量版のようだKOMの名を冠すことから、REACTO EVOの軽量版のようだ photo:Makoto.AYANO

シートチューブを始めフレーム全体にアルカンシェルが配されているシートチューブを始めフレーム全体にアルカンシェルが配されている photo:Makoto.AYANO前後共にブレーキはダイレクトマウントタイプだ前後共にブレーキはダイレクトマウントタイプだ photo:Makoto.AYANO


ホイールはフルクラムで、Racing Speed XLRの35mm及び50mmハイトと、ロープロファイルのRacing Light XLRの3種類を使い分けている。タイヤはプロ供給専用のコンチネンタル COMPETITION PROLTDで太さは25Cがメインだ。

ハンドル及びステムはチームカラーのライトグリーンが入ったFSAだが、コスタのみ兄弟ブランドのヴィジョンのロゴが入ったステムを使用する。サドルはプロロゴで、滑り止め素材が表面に配されたCPCタイプを多くのバイクにアッセンブルされていた。

クリストファー・ホーナー(アメリカ)のメリダ SCULTURA SLクリストファー・ホーナー(アメリカ)のメリダ SCULTURA SL photo:Makoto.AYANO

ラファエル・バルス(スペイン、ランプレ・メリダ)のメリダ REACTO EVOラファエル・バルス(スペイン、ランプレ・メリダ)のメリダ REACTO EVO photo:Makoto.AYANOローター 3D+ベースとしたPOWER2 MAXのクランクをアッセンブルローター 3D+ベースとしたPOWER2 MAXのクランクをアッセンブル photo:Makoto.AYANO



チームスカイ 【ピナレロ DOGMA F8】

ミケル・ニエベ(スペイン、チームスカイ)のピナレロ DOGMA F8ミケル・ニエベ(スペイン、チームスカイ)のピナレロ DOGMA F8 photo:Makoto.AYANO
チームスカイはチーム創立よりサポートを受け続けるピナレロの新型フラッグシップモデル「DOGMA F8」を全ライダーが使用。このバイクはチームスカイのスポンサーであるイギリスの自動車メーカー「ジャガー」との共同開発によって空力性能を追求し、これまでのDOGMAシリーズから大幅にルックスを変更したことが特徴だ。なお素材には、東レの新カーボン「T1100 1K」 を採用し、左右非対称設計などは継続されている。

ペダルを含め、コンポーネントは9070系シマノDURA-ACE Di2がメイン。パワーメーターには左クランクアーム裏側に計測ユニットを装着した「STAGES POWERS」を組み合わせている。クリス・フルーム(イギリス)だけは今年から4アームクランク対応となったオーシンメトリック製の楕円チェーンリングをロゴを消して使用した。また第2ステージを始めとした山岳コースでは、DURA-ACEよりも更に軽いギア比とするためにリアディレーラー及びカセットスプロケットにセカンドグレードのULTEGRAを組み込んだ。

クリス・フルーム(イギリス)はオーシンメトリック製の楕円チェーンリングを使用クリス・フルーム(イギリス)はオーシンメトリック製の楕円チェーンリングを使用 photo:Makoto.AYANOハンドル周りはPROのチームスカイ専用モデル。サイクルコンピューターはガーミンEDGE510だハンドル周りはPROのチームスカイ専用モデル。サイクルコンピューターはガーミンEDGE510だ photo:Makoto.AYANO

クリス・フルームのリアカセットは11−32T。アルテグラのメカで変速させるクリス・フルームのリアカセットは11−32T。アルテグラのメカで変速させる photo:Makoto.AYANOペダルはDURA-ACEペダルはDURA-ACE photo:Makoto.AYANO


ホイールはコンポーネントと同じくシマノ9000系シマノDURA-ACEで、35mmと50mmの2種類のリムハイトが主に選択されていた。タイヤはイタリアブランドのヴェロフレックス。ハンドル及びステムはPROで、昨年に引き続きチームカラーのペイントや、1mm刻みで長さが用意されるステムなど、チームスカイ専用品をアッセンブル。サドルはツール記念モデルとして登場した、リフレクター付きのフィジークを使用するライダーが目立った。サイクルコンピューターはSTAGESのステッカーが貼られたガーミン EDGE510だ。



ネットアップ・エンデューラ 【フジ TRANSONIC、ALTAMIRA SL】

ポール・ヴォス(ドイツ、ネットアップ・エンデューラ)のフジ TRANSONICポール・ヴォス(ドイツ、ネットアップ・エンデューラ)のフジ TRANSONIC photo:Makoto.AYANO
レオポルド・ケーニッヒ(チェコ)が総合7位でフィニッシュし、多くのステージで逃げ集団にメンバー送り込むなど、ワイルドカードながら存在感を示したネットアップ・エンデューラ。使用するバイクは、フットオン・セルヴェットに供給していた2010年以来4年ぶりにツールへと戻ってきたFUJI(フジ)。今大会に合わせて投入された新型エアロロード「TRANSONIC」とオールラウンドモデルの「ALTAMIRA SL」の2台体制で念願叶っての出場となったツールを戦った。

コンポーネントは電動ではなく機械式の9000系デュラエース。TRANSONICは前後ともダイレクトマウントブレーキで、シートステーに台座が設けられるリアブレーキにはフロント用とほぼ共通の形状ながらバネレート等が異なる後輪専用品がアッセンブルされる。

リアにもフロント用ダイレクトマウントブレーキを使用するリアにもフロント用ダイレクトマウントブレーキを使用する photo:Makoto.AYANOケーブル内蔵とすることでエアロダイナミクスを追求するケーブル内蔵とすることでエアロダイナミクスを追求する photo:Makoto.AYANO

タイヤはヴィットリアで、CORSA CXとCORSA CSの2モデルを使い分けるタイヤはヴィットリアで、CORSA CXとCORSA CSの2モデルを使い分ける photo:Makoto.AYANOフロントブレーキもダイレクトマウントフロントブレーキもダイレクトマウント photo:Makoto.AYANO


ホイールにはオーヴァルコンセプトのロゴが貼られるものの、ハブとリムの造りを見るに恐らくヴィジョン製(なお、TTバイクにはヴィジョンのディスクホイールが装着されていた)。タイヤはビットリアで、ベーシックモデルの「CORSA CX」とレーシングモデルの「CORSA CS」の2モデルを選手によって使い分けている。太さはやはり25Cがメインだ。

ハンドル周りはオーヴァルコンセプト。ボトルゲージはタックスで、これまで長らく標準モデルとして使用されてきたTaoに替わって、新モデルのDevaで統一する。その他、サドル及びバーテープにはプロロゴを、ペダルにはチームカラーのブルーのスピードプレーをアッセンブル。

ホセホアン・メンデス(ポルトガル、ネットアップ・エンデューラ)のフジ ALTAMIRA SLホセホアン・メンデス(ポルトガル、ネットアップ・エンデューラ)のフジ ALTAMIRA SL photo:Makoto.AYANO


photo:Makoto.AYANO
text:Yuya.Yamamoto