2014/07/21(月) - 15:05
雨と風に見舞われたツール・ド・フランス第15ステージ。2勝目を飾ったアレクサンダー・クリストフ(ノルウェー、カチューシャ)の他、この日の主役たちのコメントを紹介。
スプリントで2勝目を飾ったアレクサンダー・クリストフ(ノルウェー、カチューシャ)
第12ステージで初優勝した後、(ツールで通算10勝している)トル・フースホフトから「残り9ステージだ」というテキストメッセージが来たんだ。今は残り8ステージ。果てしなく大きな数字に感じるよ。グランツールでステージ2勝する何て想像していなかったから、この先のことなんて分からない。ツールのステージとミラノ〜サンレモを比較することは出来ないけど、パリで勝てたら素晴らしいね。そうなればパーフェクトだ。
体重が軽いので、通常、平坦ステージではアンドレ・グライペルやマルセル・キッテルには敵わない。でもそのことが今日はアドバンテージになったんだと思う。今日彼ら2人が疲れているようには見えなかったけど、実際はアルプスの山岳で体力を消耗していたんだと思う。自分も絶好調とは言えない状態だった。
ルーカ(パオリーニ)とガティス(スムクリス)の集団牽引がスプリントに繋がったんだ。(発射台役の)ポルセフがツールに残っていたらもっと楽に勝てていたかも知れない。でも今日はポジション取りというよりは、最後に踏めるかどうかに懸かっていた。スプリンターの中で自分が一番良いコンディションだったようだ。
今日は終盤にかけてオメガファーマ・クイックステップがとてもアクティブで、アタックでレースをかき回した。そのおかげで他のチームのトレインが崩れてしまった。状況がコントロール出来ていない状況が続いたけど、でも結果的にその展開が自分に味方したんだと思う。驚くべき走りで逃げていた2人には申し訳なく思う。本当に彼らの走りはインプレッシブだった。
今シーズンここまでコンディションが安定せず、オマーンとフランクフルトでの勝利は運によるところが大きい。でもクラシックレースで結果を残せたし、今こうしてツールで予想外の活躍が出来ている。この調子をキープしたい。今シーズンの成功をもとに、これからのキャリアを考えたいと思う。コーチ曰く、自分はまだまだ先に行ける。どこまで行けるかは自分でも分からない。まだ27歳であり、キャリアは長い。これからも努力を続けるけど、さすがにツールで総合優勝するのは無理かな。
残り100mを切って吸収されたジャック・バウアー(ニュージーランド、ガーミン・シャープ)
なんて苦くて苦しい落胆なんだろう。ツールで勝つことは子どもの頃からの夢だった。自分のようなアシスト選手にとっては最高のチャンスだったのに。
風や天気が味方して、一緒に逃げたマーティン(エルミガー)と「これはチャンスだ」と互いを高めながら走った。残り400mで最後の力を振り絞ってスパート。「もらった!」と思った。でも残り50mで追い抜かれた。手元にはなにも残らなかった。
ただ他の選手たちよりもスピードがあるから逃げに乗れるというものでもない。厳しいアルプスの2ステージを終えたばかりなので、モチベーションがないと逃げには乗れない。タランスキーを失った今、ガーミン・シャープは数少ないチャンスを大切に走らなければならない。今日は逃げ切りと言うギャンブルを仕掛けるべき一日だったんだ。逃げ切りはすぐそこにあったのに、実際それはあまりにも遠かった。
敢闘賞を獲得したマルティン・エルミガー(スイス、IAMサイクリング)
世界最大のロードレースであるツール・ド・フランスで活躍するためには、もてる全ての力を発揮する必要がある。2人とも上手く力をセーブしながら終盤の勝負に持ち込んだ。2週目の最後なので誰もが疲れている。自分も例外ではなく、脚の調子は決して良くなかった。
全力を尽くして闘い抜いたことには満足している。風が吹く難しいステージであそこまで逃げることが出来るとは思っていなかった。終盤はロータリーも連続して非常にテクニカルだった。ここまで決してラッキーとは言えない状態が続いていたチームにとって、ハインリッヒ・ハウッスラーのステージ2位は素晴らしい結果だ。
ポイント賞リーダーのペーター・サガン(スロバキア、キャノンデール)
ストレスフルな一日だった。雨が降ったけど、風は思ったほど吹かなかった。今日と言う一日が終わったことを嬉しく思う。でももっと良い結果を残せるはずだった。
今日はキッテルの番手を取って、その前にグライペルという状況でスプリント。でも彼らは2人ともスプリントしなかったんだ!なぜだかは分からない。そこから踏み直しても手遅れだった。ポイントを取って、落車を避けて、また一歩パリでのマイヨヴェールに近づいた。明日が休息日であることを嬉しく思う。
ポイント賞2位につけるブライアン・コカール(フランス、ユーロップカー)
ケヴィン(レザ)のリードアウトが非常に良かった。残り500mでオメガファーマ・クイックステップの脇まで上がって、レンショーの番手を取ったんだ。でもそこでグライペルにはじき出されてしまった。結果は6位。雨が降るタフな一日だったので落胆の結果ではない。
ただケヴィンの素晴らしい働きに報いることが出来なくて残念だ。2人でリードアウトトレインに対抗するのは至難の業。満足と落胆の気持ちが混在している。まだ厳しい山岳ステージが残っているので、歯を食いしばってクリアしたい。
マイヨジョーヌを着て休息日を迎えるヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ)
横風が強く吹くポイントが何カ所かあった。そして街の中ではどこもカーブが連続した。BMCレーシングが集団分裂を狙ってペースアップする場面もあったし、後方に取り残されないようにエシュロンには注意したよ。
昨年僅差で総合優勝を逃したブエルタの経験から、チーム一丸となってステージレースを走る術を学んだ。これまではシーズンを通してパフォーマンスを発揮するよう努めてきたけど、今年は完全にツールに集中。コンディションを着々とあげながら、シーズンの波を慎重にこのツールに合わせたんだ。
マイヨブランを着るロメン・バルデ(フランス、AG2Rラモンディアール)
総合表彰台を目標に走っているわけではない。それよりも直近のライバルたちとのタイム差を少しでも広げる走りに徹している。何しろタイムトライアルでタイムを失うことになるだろうから。ティボー(ピノ)を集中して攻撃しているわけじゃないよ。彼は良い友達なんだ。彼とともに少しでも上位でこのツールを終えたい。ピレネーの山岳ステージは自分向きだと思っている。
山岳賞リーダーのホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ)
平坦で、風が吹き、雨が降る。自分向きのステージじゃないことは明白だった。目の前で落車が起こった影響で、今日は後方の集団でフィニッシュした。今日のステージに関してこれ以上コメントすることはないよ。今日が無事に終わってよかった。休息日とピレネーを心待ちにしている。
ピレネーを見据えるピエール・ロラン(フランス、ユーロップカー)
ツールにおいてイージーな一日なんて存在しない。毎日がワンデークラシックのようだ。今日は風が吹いて嵐のようだった。他のスポーツなら中止するような天候だった。でもその天候のおかげで、最終ストレートで逃げを捕まえるというサスペンスが生まれたんだ。
自分のツール前半は山あり谷ありだった。タイムを失う日もあれば、タイムを挽回する日もあった。後半にかけて脚の調子は良くなっている。その証拠にリゾル(第14ステージ)で総合順位を上げることが出来た。最終週に向けて希望を抱いているよ。ジロに出場した影響で今のコンディションに戻すまで時間がかかったけど、3週目に良い走りをして、良いカタチでツールを締めくくることが出来れば満足。自分だけじゃなくて、他のフランス人選手も総合上位に名前を連ねている今の状況は最高だ。
text:Kei Tsuji
スプリントで2勝目を飾ったアレクサンダー・クリストフ(ノルウェー、カチューシャ)
第12ステージで初優勝した後、(ツールで通算10勝している)トル・フースホフトから「残り9ステージだ」というテキストメッセージが来たんだ。今は残り8ステージ。果てしなく大きな数字に感じるよ。グランツールでステージ2勝する何て想像していなかったから、この先のことなんて分からない。ツールのステージとミラノ〜サンレモを比較することは出来ないけど、パリで勝てたら素晴らしいね。そうなればパーフェクトだ。
体重が軽いので、通常、平坦ステージではアンドレ・グライペルやマルセル・キッテルには敵わない。でもそのことが今日はアドバンテージになったんだと思う。今日彼ら2人が疲れているようには見えなかったけど、実際はアルプスの山岳で体力を消耗していたんだと思う。自分も絶好調とは言えない状態だった。
ルーカ(パオリーニ)とガティス(スムクリス)の集団牽引がスプリントに繋がったんだ。(発射台役の)ポルセフがツールに残っていたらもっと楽に勝てていたかも知れない。でも今日はポジション取りというよりは、最後に踏めるかどうかに懸かっていた。スプリンターの中で自分が一番良いコンディションだったようだ。
今日は終盤にかけてオメガファーマ・クイックステップがとてもアクティブで、アタックでレースをかき回した。そのおかげで他のチームのトレインが崩れてしまった。状況がコントロール出来ていない状況が続いたけど、でも結果的にその展開が自分に味方したんだと思う。驚くべき走りで逃げていた2人には申し訳なく思う。本当に彼らの走りはインプレッシブだった。
今シーズンここまでコンディションが安定せず、オマーンとフランクフルトでの勝利は運によるところが大きい。でもクラシックレースで結果を残せたし、今こうしてツールで予想外の活躍が出来ている。この調子をキープしたい。今シーズンの成功をもとに、これからのキャリアを考えたいと思う。コーチ曰く、自分はまだまだ先に行ける。どこまで行けるかは自分でも分からない。まだ27歳であり、キャリアは長い。これからも努力を続けるけど、さすがにツールで総合優勝するのは無理かな。
残り100mを切って吸収されたジャック・バウアー(ニュージーランド、ガーミン・シャープ)
なんて苦くて苦しい落胆なんだろう。ツールで勝つことは子どもの頃からの夢だった。自分のようなアシスト選手にとっては最高のチャンスだったのに。
風や天気が味方して、一緒に逃げたマーティン(エルミガー)と「これはチャンスだ」と互いを高めながら走った。残り400mで最後の力を振り絞ってスパート。「もらった!」と思った。でも残り50mで追い抜かれた。手元にはなにも残らなかった。
ただ他の選手たちよりもスピードがあるから逃げに乗れるというものでもない。厳しいアルプスの2ステージを終えたばかりなので、モチベーションがないと逃げには乗れない。タランスキーを失った今、ガーミン・シャープは数少ないチャンスを大切に走らなければならない。今日は逃げ切りと言うギャンブルを仕掛けるべき一日だったんだ。逃げ切りはすぐそこにあったのに、実際それはあまりにも遠かった。
敢闘賞を獲得したマルティン・エルミガー(スイス、IAMサイクリング)
世界最大のロードレースであるツール・ド・フランスで活躍するためには、もてる全ての力を発揮する必要がある。2人とも上手く力をセーブしながら終盤の勝負に持ち込んだ。2週目の最後なので誰もが疲れている。自分も例外ではなく、脚の調子は決して良くなかった。
全力を尽くして闘い抜いたことには満足している。風が吹く難しいステージであそこまで逃げることが出来るとは思っていなかった。終盤はロータリーも連続して非常にテクニカルだった。ここまで決してラッキーとは言えない状態が続いていたチームにとって、ハインリッヒ・ハウッスラーのステージ2位は素晴らしい結果だ。
ポイント賞リーダーのペーター・サガン(スロバキア、キャノンデール)
ストレスフルな一日だった。雨が降ったけど、風は思ったほど吹かなかった。今日と言う一日が終わったことを嬉しく思う。でももっと良い結果を残せるはずだった。
今日はキッテルの番手を取って、その前にグライペルという状況でスプリント。でも彼らは2人ともスプリントしなかったんだ!なぜだかは分からない。そこから踏み直しても手遅れだった。ポイントを取って、落車を避けて、また一歩パリでのマイヨヴェールに近づいた。明日が休息日であることを嬉しく思う。
ポイント賞2位につけるブライアン・コカール(フランス、ユーロップカー)
ケヴィン(レザ)のリードアウトが非常に良かった。残り500mでオメガファーマ・クイックステップの脇まで上がって、レンショーの番手を取ったんだ。でもそこでグライペルにはじき出されてしまった。結果は6位。雨が降るタフな一日だったので落胆の結果ではない。
ただケヴィンの素晴らしい働きに報いることが出来なくて残念だ。2人でリードアウトトレインに対抗するのは至難の業。満足と落胆の気持ちが混在している。まだ厳しい山岳ステージが残っているので、歯を食いしばってクリアしたい。
マイヨジョーヌを着て休息日を迎えるヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ)
横風が強く吹くポイントが何カ所かあった。そして街の中ではどこもカーブが連続した。BMCレーシングが集団分裂を狙ってペースアップする場面もあったし、後方に取り残されないようにエシュロンには注意したよ。
昨年僅差で総合優勝を逃したブエルタの経験から、チーム一丸となってステージレースを走る術を学んだ。これまではシーズンを通してパフォーマンスを発揮するよう努めてきたけど、今年は完全にツールに集中。コンディションを着々とあげながら、シーズンの波を慎重にこのツールに合わせたんだ。
マイヨブランを着るロメン・バルデ(フランス、AG2Rラモンディアール)
総合表彰台を目標に走っているわけではない。それよりも直近のライバルたちとのタイム差を少しでも広げる走りに徹している。何しろタイムトライアルでタイムを失うことになるだろうから。ティボー(ピノ)を集中して攻撃しているわけじゃないよ。彼は良い友達なんだ。彼とともに少しでも上位でこのツールを終えたい。ピレネーの山岳ステージは自分向きだと思っている。
山岳賞リーダーのホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ)
平坦で、風が吹き、雨が降る。自分向きのステージじゃないことは明白だった。目の前で落車が起こった影響で、今日は後方の集団でフィニッシュした。今日のステージに関してこれ以上コメントすることはないよ。今日が無事に終わってよかった。休息日とピレネーを心待ちにしている。
ピレネーを見据えるピエール・ロラン(フランス、ユーロップカー)
ツールにおいてイージーな一日なんて存在しない。毎日がワンデークラシックのようだ。今日は風が吹いて嵐のようだった。他のスポーツなら中止するような天候だった。でもその天候のおかげで、最終ストレートで逃げを捕まえるというサスペンスが生まれたんだ。
自分のツール前半は山あり谷ありだった。タイムを失う日もあれば、タイムを挽回する日もあった。後半にかけて脚の調子は良くなっている。その証拠にリゾル(第14ステージ)で総合順位を上げることが出来た。最終週に向けて希望を抱いているよ。ジロに出場した影響で今のコンディションに戻すまで時間がかかったけど、3週目に良い走りをして、良いカタチでツールを締めくくることが出来れば満足。自分だけじゃなくて、他のフランス人選手も総合上位に名前を連ねている今の状況は最高だ。
text:Kei Tsuji
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