ヴォージュ山塊とアルプス山脈を結ぶ、いわゆる"繋ぎステージ"のツール・ド・フランス第12ステージ。ミラノ〜サンレモに続く大きな勝利を手にしたアレクサンダー・クリストフ(ノルウェー、カチューシャ)の他、この日の主役たちのコメントを紹介。

ステージ初優勝を飾ったアレクサンダー・クリストフ(ノルウェー、カチューシャ)

スプリントを繰り広げるアレクサンダー・クリストフ(ノルウェー、カチューシャ)とペーター・サガン(スロバキア、キャノンデール)スプリントを繰り広げるアレクサンダー・クリストフ(ノルウェー、カチューシャ)とペーター・サガン(スロバキア、キャノンデール) photo:Tim de Waele正直言うと、この勝利は全21ステージのうちの1勝であり、ワンデークラシックのミラノ〜サンレモの勝利には敵わない。それでもやっぱりツールという大舞台で勝つことをずっと夢見てきた。キャリアの中で2番目に大きな勝利だ。

表彰台で花束を受け取ったアレクサンダー・クリストフ(ノルウェー、カチューシャ)表彰台で花束を受け取ったアレクサンダー・クリストフ(ノルウェー、カチューシャ) photo:Tim de Waele今日はチャンスがあると思っていたから、昨日はイージーに山岳を乗り切った。脚を貯めたんだ。昨日追い込まなかったので、今日は感触良く登りをこなすことが出来たよ。限界まで追い込むこともなかった。さすがに最後のスプリントは緊張したよ。進路を塞がれて集団内に埋もれることだけが気がかりだった。

最後は色んなチームが折り重なるようにポジションを争いながらスプリント。先頭でリードアウトを受けていたトレンティンの番手をとってスプリントに持ち込んだのが良かったと思う。タイミングもポジションも正しかった。

ノルウェー中が熱狂していると思う。国を挙げてのパーティータイムになっていて欲しい。家族や友人に幸せな時間を過ごして欲しい。これまでノルウェーでツールをテレビ観戦してきたので、ノルウェー人が勝つ喜びを知っている。ノルウェー人なら誰もが知っているツールで自分が唯一のノルウェー人なんだ。

再びステージ2位のペーター・サガン(スロバキア、キャノンデール)

4〜5回にわたってステージ2位に入ることを良しとする選手もいると思う。でも自分は違う。今日はジャイアントが集団を序盤から牽引して、終盤にかけてキャノンデールが先頭に出てリードアウト。残り3km地点までは良かったものの、クリストフが自分よりうまくスプリントに持ち込んだ。まるでステージ2位に入るのが運命のようだ…。マイヨヴェール争いにおいては重要な結果だと自分に言い聞かせている。毎日ポイントを稼いでいる自分は、他のスプリンターよりも疲労が溜まっているのかも知れない。

ステージ3位のアルノー・デマール(フランス、FDJ.fr)

トップコンディションではないけど、ミカエル・ドラージュが使命感をもってリードアウトしてくれた。このツールでは経験不足が露呈してしまっている。力も自信も足りていないと感じる。スプリントでミスをしてしまったんだ。残り200mでデゲンコルブの番手につけて、彼のスプリントを待った。でもツールで勝つためには先行しないといけない。結果的にデゲンコルブは進路を塞がれて、クリストフが良いラインでスプリントした。勝つのは本当に難しい。

ステージ7位のブライアン・コカール(フランス、ユーロップカー)

攻撃に出たシリル・ゴティエ(フランス、ユーロップカー)ら攻撃に出たシリル・ゴティエ(フランス、ユーロップカー)ら photo:Tim de Waele残念な結果になってしまった。チームは戦略的に走ったものの結果には結びつかなかった。逃げグループに選手を送り込めていなかったので、ペリグ(ケムヌール)とシリル(ゴティエ)がカウンターアタック。いつシリルが吸収されたのか分からなかったけど、ジャイアント・シマノが急激にペースを上げたことでスプリントに向けてのポジション取りに苦労した。暑さにやられて消耗していた。次なる平坦ステージに向けて体力を温存したい。

ジョン・デゲンコルブ(ドイツ、ジャイアント・シマノ)

大きなチャンスがあると踏んで一日中ずっとチームがコントロールしていただけに、残念な結果になってしまった。レース序盤から集団スプリントに向けて準備を整え、チームメイトたちが働き続けてくれたのに。決して簡単な仕事ではなかったと思う。最後を締めくくることが出来なくて申し訳ない。トレンティンが降格処分を受けたと聞いてフェアーだと思った。彼のスプリントは決してフェアーではなかったから。

敢闘賞を獲得したサイモン・クラーク(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)

敢闘賞は一日中逃げたサイモン・クラーク(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)の手に敢闘賞は一日中逃げたサイモン・クラーク(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)の手に photo:Makoto Ayanoチームとしてステージ優勝を掴みたかった。自分が勝つチャンスは逃げ切りなので、今日はかなり追い込んだよ。ツール開幕時からこのステージを狙っていたんだ。結果的にステージ優勝には繋がらなかったけど、まだツールが終わったわけじゃない。明日からまた挑戦して行く。

翌日からの山岳ステージを見据えるロメン・バルデ(フランス、AG2Rラモンディアール)

マイヨブランと総合4位を守るという2つの目標を掲げて、明日からの山岳で全力を出したい。明日はスタンダードな山頂フィニッシュ。おそらくニーバリは守りの走りを見せると思う。脚が許す限りアタックしたい。今のところ脚の状態は良いんだ。今日も暑かったけど、明日はもっと暑いはず。この地域のことはよく知っている。グルノーブルに近づくにつれて、息をするのも難しいほどの暑さになる。シャムルース方面はそこまで暑くないはずだ。

チームメイトの勝利を喜ぶホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ)

山岳賞ジャージマイヨアポアを守ったホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ)もクリストフの勝利を知っニッコリ山岳賞ジャージマイヨアポアを守ったホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ)もクリストフの勝利を知っニッコリ photo:Makoto Ayanoチームメイトのアレクサンダー・クリストフが勝って最高の気分だ。これまでも良い結果を残していたし、近いうちに勝てると思っていた。自分は明日以降のステージに備えて体力温存に励んだよ。自分の中で一番重要なのはマイヨブランアポワルージュ。もちろんステージ優勝も同時に狙う。どちらにしても山岳ポイントを稼ぐためには逃げに乗らないといけない。でも明日は前半に3級山岳しか設定されていないので、逃げに乗る価値があるのかどうか分からない。集団内で待機して、後半の1級山岳と超級山岳で山岳ポイントを狙うべきかも知れない。とにかく自分はあるし、感触は日に日に良くなっている。

マイヨジョーヌを着るヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ)

今日は典型的なフランスの平坦な一日だった。いくつも危険なコーナーや下りがあって、最後は集団スプリント。今日のアスタナの仕事はレース序盤の集団コントロールだけだったけど、明日は話が違う。アルプスの山岳は下見をしていないんだ。明日のステージよりも明後日のステージを警戒している。チーム一丸となってレースをコントロールしたい。きっとライバルたちは攻撃を仕掛けてくる。フィニッシュまで距離を残したアタックも考えられるけど、逆にチャンスがあれば自分でもタイムを取りに行く。とにかく明日ツールが終わるわけじゃない。

ライバルたちの力を見極めながら、状況を的確に把握して走りたい。フグルサングやカンゲルト、スカルポーニのサポートを受けるので何も心配はしていないよ。彼らのサポートは強力だ。過去にジロとブエルタで総合優勝した時と同じ体重でツール開幕を迎えて、現在の体重は64kg。今がベスト体重なんだ。

text:Kei Tsuji