マイヨジョーヌ争いと並行して繰り広げられるのが、25歳未満の選手たちによるマイヨブラン争い。今年も総合上位に絡む実力者がマイヨブランを着用することになるだろう。将来を嘱望されるヤングライダーたちをチェックしておこう。



2013年にマイヨブランを獲得したナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター)2013年にマイヨブランを獲得したナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター) photo:Makoto AYANO1975年のツール・ド・フランスで初めて導入されたマイヨブラン(ヤングライダー賞)は、将来のマイヨジョーヌ候補がしのぎを削るもう一つの総合争い。現在マイヨブランを争っているメンバーが10年後にマイヨジョーヌを巡って競り合っているかも知れない。

ミカル・クヴィアトコウスキー(ポーランド、オメガファーマ・クイックステップ)ミカル・クヴィアトコウスキー(ポーランド、オメガファーマ・クイックステップ) photo:Cor.Vosマイヨブランの対象となるのは、プロ1年目の新人だけではなく、誕生日が1989年1月1日以降の選手。つまり25歳未満の選手だ。

ロメン・バルデ(フランス、アージェードゥーゼル)ロメン・バルデ(フランス、アージェードゥーゼル) photo:Makoto AYANOヤングライダー賞対象選手が総合優勝に輝いたのは過去に数例ある。1983年にローラン・フィニョン(フランス)、1997年にヤン・ウルリッヒ(ドイツ)、2007年にアルベルト・コンタドール(スペイン)が、マイヨジョーヌとマイヨブランを同時に獲得している。2010年アンディ・シュレク(ルクセンブルク)は総合2位でフィニッシュし、3度目のヤングライダー賞を獲得。総合優勝したコンタドールがその後のドーピング違反発覚で失格になったことで、史上4例目のヤングライダー賞対象選手による総合優勝が決まった。

イギリス選手権ロードレースで3位に入ったサイモン・イェーツ(右:イギリス、オリカ・グリーンエッジ)イギリス選手権ロードレースで3位に入ったサイモン・イェーツ(右:イギリス、オリカ・グリーンエッジ) photo:www.britishcycling.org.uk2013年大会で他を圧倒したのは全体でも総合2位に入ったナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター)だった。1990年生まれのキンタナは今年もヤングライダー賞の対象選手だが、ジロに集中したためツールのスタートラインには並ばない。

今大会のヤングライダー賞対象選手は27名。2013年ヤングライダー賞3位(総合11位)だったミカル・クヴィアトコウスキー(ポーランド、オメガファーマ・クイックステップ)や、フランス期待のロメン・バルデ(フランス、AG2Rラモンディアール)らが候補に挙がる。いずれの選手もチーム内でエース格の存在であり、自分のために走ることが可能だ。

2013年のトラック世界選手権ポイントレース優勝者で、ツアー・オブ・ブリテンでは強豪に混ざって総合3位に入り、瓜二つの双子の兄弟アダムとともに鳴り物入りでUCIプロチーム入りした21歳のサイモン・イェーツ(イギリス、オリカ・グリーンエッジ)に注目したい。イェーツは本来エースとして挑むはずだったツアー・オブ・ターキーで鎖骨骨折。代わってエースを託された双子のアダムが同大会で総合優勝した。今大会にはターキーの覇者アダムではなく、鎖骨骨折から復活したサイモンが出場する。

アシストを担いながらもヤングライダー賞の上位に絡んでくると思われるのが、スペインチャンピオンに輝いたばかりのヨン・イサギーレ(スペイン、モビスター)やラファル・マイカ(ポーランド、ティンコフ・サクソ)、トムイェルテ・スラグテル(オランダ、ガーミン・シャープ)ら。

また、最終的なマイヨブラン候補には挙がらないが、ペーター・サガン(スロバキア、キャノンデール)やアルノー・デマール(フランス、FDJ.fr)、トム・ドゥムラン(オランダ、ジャイアント・シマノ)らも対象選手。前半ステージでは彼らがピュアホワイトのジャージを着回すことになるだろう。

ちなみにヤングライダー賞とは対局にある最年長選手は、1971年9月17日生まれの42歳イェンス・フォイクト(ドイツ、トレックファクトリーレーシング)。次いで1971年10月23日生まれの42歳クリストファー・ホーナー(アメリカ、ランプレ・メリダ)も出場する。



ツール・ド・フランス2013ヤングライダー賞ランキング
1位 ナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター)               84h01'00"
2位 アンドリュー・タランスキー(アメリカ、ガーミン・シャープ)        +13'19"
3位 ミカル・クヴィアトコウスキー(ポーランド、オメガファーマ・クイックステップ+14'39"

歴代のマイヨブラン獲得者(同年の総合成績)
2013年 ナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター)  総合2位
2012年 ティージェイ・ヴァンガーデレン)       総合5位
2011年 ピエール・ロラン(フランス)         総合10位
2010年 アンディ・シュレク(ルクセンブルク)     総合1位
2009年 アンディ・シュレク(ルクセンブルク)     総合2位
2008年 アンディ・シュレク(ルクセンブルク)     総合12位
2007年 アルベルト・コンタドール(スペイン)     総合1位
2006年 ダミアーノ・クネゴ(イタリア)        総合12位
2005年 ヤロスラフ・ポポヴィッチ(ウクライナ)    総合12位
2004年 ウラディミール・カルペツ(ロシア)      総合13位
2003年 デニス・メンショフ(ロシア)         総合11位
2002年 イヴァン・バッソ(イタリア)         総合11位
2001年 オスカル・セビリャ(スペイン)        総合7位
2000年 フランシスコ・マンセーボ(スペイン)     総合9位
1999年 ブノワ・サルモン(フランス)         総合16位
1998年 ヤン・ウルリッヒ(ドイツ)          総合2位
1997年 ヤン・ウルリッヒ(ドイツ)          総合1位
1996年 ヤン・ウルリッヒ(ドイツ)          総合2位
1995年 マルコ・パンターニ(イタリア)        総合13位
1994年 マルコ・パンターニ(イタリア)        総合3位
1993年 アントニオ・マルティン・ベラスコ(スペイン) 総合12位
1992年 エディ・ボウマンス(オランダ)        総合14位
1991年 アルバロ・メヒア(コロンビア)        総合19位
1990年 ジル・ドリオン(フランス)          総合15位

text:Kei Tsuji