カンパニョーロが機械式コンポーネントの上位3グレード、SUPER RECORD、RECORD、CHORUSのフルモデルチェンジに踏み切った。4アーム化されたクランクや新設計となった前後ディレーラー、エルゴノミクスを高めたエルゴパワーレバーの採用によって変速性能に磨きをかけている。



プロトタイプのコンポーネントが取り付けられたユーロップカーのコルナゴ C60プロトタイプのコンポーネントが取り付けられたユーロップカーのコルナゴ C60 (c)カンパニョーロ・ジャパン2009年以来、6年ぶりにフルモデルチェンジを果たした機械式コンポーネントの上位3グレード、SUPER RECORD、RECORD、CHORUS。先日閉幕したジロ・デ・イタリアでは一部の選手がプロトタイプを使用し話題となったが、そこから僅かの期間で製品化がアナウンスされた。

「機械式変速システムを完成させる」という究極の目標のもと、今年4月に発表された「SUPER RECORD RS」をベースに、クランクの4アーム化や前後ディレーラーの再設計など大幅なアップデートが施された。純粋な変速性能を追求したことに加え、昨今プロの間でも使用率が高まっている最大歯数27T/29Tのスプロケットを使用した際の駆動ロスの低減や、従来より定評のある耐久性の向上を実現している。



4アーム化されたクランクセット
カンパニョーロ SUPER RECORD クランクカンパニョーロ SUPER RECORD クランク (c)カンパニョーロ・ジャパン
カンパニョーロ RECORD クランクカンパニョーロ RECORD クランク (c)カンパニョーロ・ジャパンカンパニョーロ CHORUS クランクカンパニョーロ CHORUS クランク (c)カンパニョーロ・ジャパン


今回のフルモデルチェンジで最も大きく変化したのがクランクセットだ。スパイダー部分が従来の5本から4本へ変更されたこと加え、駆動ロスの低減を追求するためにアーム部分は従来モデルよりボリューム感のある形状とし、剛性を高めている。もちろん、電子式コンポーネント「EPS」にも対応する。

歯数のラインナップは、53/39、52/36、50/34の3種類。PCDにおいてコンパクトあるいはノーマルといった区別が無くなり、チェーンリングを付け替えるだけでコースプロフィールや用途、好みに合わせて大幅にセッティングを変更できる。なお、チェーンリングの固定には8本のボルトを用いる。クランク長は170、172.5、175mmが揃う。



操作性と握りやすさが向上したエルゴパワー
カンパニョーロ SUPER RECORD エルゴパワーカンパニョーロ SUPER RECORD エルゴパワー (c)カンパニョーロ・ジャパンカンパニョーロ RECORD エルゴパワーカンパニョーロ RECORD エルゴパワー (c)カンパニョーロ・ジャパンカンパニョーロ CHORUS エルゴパワーカンパニョーロ CHORUS エルゴパワー (c)カンパニョーロ・ジャパン


ブラケットカバーのデザインも大幅に変更されたブラケットカバーのデザインも大幅に変更された (c)カンパニョーロ・ジャパン
エルゴパワーは左(フロント変速)側の内部構造に改良が加えられている。従来モデルでは2クリックで大きいチェーンリングから小さいチェーンリングにダウンシフトし、3クリック目でトリム調整を行い、インナーロー付近でのチェーンとFDの干渉を防いでいた。しかし、新型ではFDのプレート形状を見直すことで干渉を防止し、アップシフトに3クリックを使うことができる。

また、定評のあるレバーの握りやすさも高められている。ブラケットカバーは素材を低刺激シリコンに変更。従来モデルでは溝のみだった表面のデザインがドットと溝の組み合わせとなり、荷重に応じて素材の密度を変化させたこと併せてグリップ感が向上している。また、ハンドルバーの取り付け部分も変更され、セッティングの自由度が増しているという。



パンタグラフがロングアーム化したフロントディレーラー
カンパニョーロ SUPER RECORD フロントディレーラーカンパニョーロ SUPER RECORD フロントディレーラー (c)カンパニョーロ・ジャパンカンパニョーロ CHORUS フロントディレーラーカンパニョーロ CHORUS フロントディレーラー (c)カンパニョーロ・ジャパン


フロントディレーラーも大幅な進化を遂げている。インナープレートは3グレードともSUPER RECORD RSと同様の形状とし、SUPER RECORDのみアウタープレートに一体成型カーボンを採用することで剛性や変速性能を維持しながら軽量化を図っている。そして、ロングアーム化したパンタグラフによって変速パワーを増大。変速操作によるライダーへの負担を低減している。



高効率化とシステム全体の耐久性を高めたリアディレーラー

カンパニョーロ SUPER RECORD リアディレーラーカンパニョーロ SUPER RECORD リアディレーラー (c)カンパニョーロ・ジャパンカンパニョーロ CHORUS リアディレーラーカンパニョーロ CHORUS リアディレーラー (c)カンパニョーロ・ジャパンリアディレーラーも見た目を一新し、アウタープレートのプーリーゲージ側が上方へオフセット。これによりスプロケットとガイドプーリーの間隔を狭め、スプロケットとチェーンの接触面積を拡大することで駆動ロスを低減。また、チェーンとスプロケットの噛み合わせがより確実になることにより、チェーンの大幅な高寿命化を達成している。

さらに、内部構造にも改良が加えられており、近年プロレースシーンでも使用率が高まっている最大歯数27T~29Tのスプロケットを使用する際に発生する変速時の抵抗を低減。最大歯数21T~23Tの平地用ギアと変わらない変速フィーリングを実現したという。なおグレードによってアウタープレートの肉抜き加工やベアリングを変更することで差別化を図っている様だ。



納期は10月初旬の予定で、価格は後日発表される。


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