4月29日から5月4日までの6日間、スイス西部のロマンディ地方で第68回ツール・ド・ロマンディ(UCIワールドツアー)が開催される。Jsportsでも生中継が行なわれるステージレースの見どころをチェックしておこう。



ロマンディ地方の丘陵地帯を走る、ツール・ド・ロマンディロマンディ地方の丘陵地帯を走る、ツール・ド・ロマンディ photo:Tour de Romandie
スイス西部の山岳を舞台にした6日間の闘い

ツール・ド・ロマンディ第1ステージコースプロフィールツール・ド・ロマンディ第1ステージコースプロフィール ツール・ド・ロマンディ第3ステージコースプロフィールツール・ド・ロマンディ第3ステージコースプロフィール ツール・ド・ロマンディ第5ステージコースプロフィールツール・ド・ロマンディ第5ステージコースプロフィール UCIワールドツアーに組み込まれているツール・ド・ロマンディ。初開催されたのは今から65年前の1947年。それ以降、毎年欠かさず開催されており、今年で開催68回目を迎える。

ドイツ、フランス、イタリア、オーストリア、リヒテンシュタインに囲まれたスイスには、4つの言語圏が存在する。ドイツ語、フランス語、イタリア語、ロマンシュ語の4つが公用語とされており、フランス語(厳密に言うとスイスフランス語)が第一公用語として話されているのがレースの舞台、同国西部のロマンディ地方だ。

今年はイタリア語圏のアスコナでのプロローグ(短距離個人タイムトライアル)で開幕し、第1ステージで1級山岳シンプロン峠を越えてロマンディ地方へ。ジュラ山脈の峠が多くコースに組み込まれているが、山頂フィニッシュは一つも設定されていない。

4つの1級山岳を越え、UCI(国際自転車競技連合)の本部が置かれているエーグルにフィニッシュする第3ステージが大会のクイーンステージ。標高1100〜1500mの峠が連続して登場する難関山岳ステージで、イエロージャージは本命の手に渡るはずだ。

最終第5ステージは18kmの個人タイムトライアル。高低差200mの登りを含むコースが68代チャンピオンを導き出す。これまで何度も最終個人タイムトライアルで総合逆転が起こっており、総合争いの行方は最後まで分からない。

ツール・ド・ロマンディ2014 コース全体図ツール・ド・ロマンディ2014 コース全体図


ツール・ド・ロマンディ2014ステージリスト
4月29日(火)プロローグ アスコナ〜アスコナ 5.6km(個人TT)
4月30日(水)第1ステージ アスコナ〜シオン 203km
5月1日(木)第2ステージ シオン〜モントルー 167km
5月2日(金)第3ステージ ル・ボヴレ〜エーグル 180km
5月3日(土)第4ステージ フライブール〜フライブール 174km
5月4日(日)第5ステージ ヌシャテル〜ヌシャテル 18.5km(個人TT)



チームスカイの連覇に暗雲?新鋭オールラウンダーの活躍に期待

オマーンで総合優勝したクリス・フルーム(イギリス、チームスカイ)だが、コンディショニングに疑問を残すオマーンで総合優勝したクリス・フルーム(イギリス、チームスカイ)だが、コンディショニングに疑問を残す photo:Tim de Waeleアメリカ期待のティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、BMCレーシング)アメリカ期待のティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、BMCレーシング) photo:Tim de Waeleリエージュ〜バストーニュ〜リエージュで3位に入ったミカル・クヴィアトコウスキー(ポーランド、オメガファーマ・クイックステップ)リエージュ〜バストーニュ〜リエージュで3位に入ったミカル・クヴィアトコウスキー(ポーランド、オメガファーマ・クイックステップ) photo:Cor.Vos現MTB XCO世界王者ニノ・シューター。オリカグリーンエッジの一員として出場する現MTB XCO世界王者ニノ・シューター。オリカグリーンエッジの一員として出場する (c)Hiroyuki.NAKAGAWAこれまでジロ・デ・イタリアの前哨戦としての位置づけがなされていたが、今年はロマンディ閉幕からジロ開幕まで5日間しかない。そのためジロを狙う選手たちはジロ・デル・トレンティーノを最後に調整に入っている場合が多い。ロマンディに出場するのは、ツール・ド・フランスを狙う選手たちだ。

昨年はクリス・フルーム(イギリス、チームスカイ)が総合優勝を飾り、その勢いでツール・ド・フランス制覇を果たした。今年もフルームはリッチー・ポート(オーストラリア)やダビ・ロペスガルシア(スペイン)を揃えた一軍のエースとして出場する。

しかし感染症の影響でリエージュ〜バストーニュ〜リエージュを欠場するなど、フルームはトップコンディションとは言えない。ポートらアシスト勢も病気や落車の影響で精彩を欠いている。大会連覇に暗雲がかかっていることは否めない。

チームスカイの牙城を崩す先鋒は、ツール狙いのティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、BMCレーシング)やミカル・クヴィアトコウスキー(ポーランド、オメガファーマ・クイックステップ)ら、新鋭オールラウンダーたちだ。

リエージュ〜バストーニュ〜リエージュで3位に入ったクヴィアトコウスキーは、リゴベルト・ウラン(コロンビア)やトニ・マルティン(ドイツ)という強力なチームメイトを得ている。TTで有利にレースを進めるであろうマルティンも総合優勝の一角だ。

ここにルイ・コスタ(ポルトガル、ランプレ・メリダ)やカルロスアルベルト・ベタンクール(コロンビア、AG2Rラモンディアール)、アンドリュー・タランスキー(アメリカ、ガーミン・シャープ)、ヤコブ・フグルサング(デンマーク、アスタナ)、イヴァン・バッソ(イタリア、キャノンデール)らも加わるだろう。

地元スイスのミハエル・アルバジーニ(オリカ・グリーンエッジ)のチームメイトとして目が離せないのが、特例でオリカ・グリーンエッジのジャージを着てロマンディとツール・ド・スイスを走るMTBクロスカントリー世界チャンピオンのニノ・シューター(スイス)だ。これまで3度世界の頂点に輝いているシューターがロードレースでどこまで走ることが出来るのか注目が集まる。

数少ない平坦ステージではマルセル・キッテル(ドイツ、ジャイアント・シマノ)やジャコモ・ニッツォロ(イタリア、トレックファクトリーレーシング)らが優勝を争うことになるだろう。


text:Kei Tsuji