かつてF1フランスグランプリが開催されてたシルキュイ・ド・ヌヴェール・マニ=クールに、パリ〜ニースが足を踏み入れた。緩やかな最終コーナーを立ち上がり、リードアウトトレインに発射されたジョン・デゲンコルブ(ドイツ、ジャイアント・シマノ)が先頭でスプリント。三度目の正直でデゲンコルブが勝利した。



春の日射しに照らされて、フランス中部を南下する春の日射しに照らされて、フランス中部を南下する photo:Tim de Waele


パリ〜ニース第3ステージのフィニッシュ地点は、1991年から2008年までF1フランスグランプリが開催されてたマニクールサーキットだ。全長4411mのサーキットを、モータースポートとは逆回りに1周してフィニッシュを迎える。翌日から山岳ステージが始まるため、前半スプリントステージの締めくくりと言える。

レース序盤から逃げたペリグ・ケムヌール(フランス、ユーロップカー)らレース序盤から逃げたペリグ・ケムヌール(フランス、ユーロップカー)ら photo:Tim de Waele春の訪れを感じさせる穏やかな一日は、フランス人選手3名による逃げで始まる。2011年ツール第1ステージ敢闘賞の29歳ペリグ・ケムヌール(フランス、ユーロップカー)、2010年ジロ第5ステージで新城と逃げて2位の27歳ジュリアン・フシャール(フランス、コフィディス)、2008年ツールでマイヨジョーヌを着た29歳ロメン・フェイユ(フランス、ブルターニュ・セシェ)がエスケープを試みた。

リーダージャージを着て走るナセル・ブアニ(フランス、FDJ.fr)リーダージャージを着て走るナセル・ブアニ(フランス、FDJ.fr) photo:Tim de Waele気温17度ほどの陽気の中を最大3分リードを逃げるケムヌール、フシャール、フェイユの3人。FDJ.frがテンポを刻むメイン集団とのタイム差はしばらく2分差を推移する。平均スピードが40km/hに届かないスローペースでレースは進んだ。

まだ葉をつけていない森の間を進んで行くまだ葉をつけていない森の間を進んで行く photo:Tim de Waele細いコースに横風が吹き付ける区間で時折オメガファーマ・クイックステップやロット・ベリソルがペースアップを企てたものの、特にインパクトを残せずにペースダウン。ジャイアント・シマノが懸命に牽き始めたメイン集団は、先頭で粘り強く逃げ続けたケムヌールをマニクールサーキット内で捉えた。

マニクールサーキットのがらんとした観客席がレースを見守るマニクールサーキットのがらんとした観客席がレースを見守る photo:Tim de Waeleジャイアント・シマノとオリカ・グリーンエッジが、リードアウトバトルを繰り広げながらマニクールサーキットを駆け抜ける。両者一歩も退かないまま緩い最終コーナーを抜ける。最終発射台クーン・デコルト(オランダ、ジャイアント・シマノ)が先頭に立ち、その後ろからデゲンコルブが発進した。

持ち前の瞬間的な加速力でライバルを引き離したデゲンコルブが、そのままリードを保ったままフィニッシュラインへと突き進んだ。マシュー・ゴス(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)もホセホアキン・ロハス(スペイン、モビスター)もボルト・ボジッチ(スロベニア、アスタナ)も、デゲンコルブに並ぶことは出来なかった。

今シーズン早くも4勝目を飾ったデゲンコルブは、同時に総合リーダージャージ、ポイント賞ジャージ、ヤングライダー賞ジャージも獲得。マルセル・キッテル(ドイツ)と双璧を成すジャイアント・シマノのエーススプリンターが好調なシーズン滑り出しを見せている。

「これまでの2ステージは小さな失敗が続いて勝利を逃していた。3回目でようやくパーフェクトな展開に持ち込めたよ。サーキットは広いので、ナーバスになることなくチーム力で前に出る自信があった。ツール・ド・フランスのフレーバーを感じさせる勝利に大きな満足感を得ているよ」と、とびっきりの笑顔で表彰台に上がったデゲンコルブ。

なお、デゲンコルブはアルカニス/アラゴンモーターランドにフィニッシュした2012年ブエルタ・ア・エスパーニャ第7ステージでも勝利しており、サーキットと相性が良い。スキー事故で昏睡状態にある同じドイツ出身のミハエル・シューマッハに関してデゲンコルブは「ミハエルが早く目覚めることを願っている」とも語っている。

3つの平坦ステージを終え、パリ〜ニースは山岳地帯へと入って行く。第4ステージはフィニッシュ14km手前に最大勾配25%の2級山岳が設定された中級山岳ステージ。オールラウンダーたちが激坂で飛び出すだろう。

選手コメントはレース公式サイト(www.letour.fr/paris-nice/2014)より。



マニクールサーキットでスプリントするジョン・デゲンコルブ(ドイツ、ジャイアント・シマノ)らマニクールサーキットでスプリントするジョン・デゲンコルブ(ドイツ、ジャイアント・シマノ)ら photo:Tim de Waele
ゴールスプリントで勝利したジョン・デゲンコルブ(ドイツ、ジャイアント・シマノ)ゴールスプリントで勝利したジョン・デゲンコルブ(ドイツ、ジャイアント・シマノ) photo:Tim de Waeleリーダージャージに袖を通したジョン・デゲンコルブ(ドイツ、ジャイアント・シマノ)リーダージャージに袖を通したジョン・デゲンコルブ(ドイツ、ジャイアント・シマノ) photo:Tim de Waele



パリ〜ニース2014第3ステージ結果
1位 ジョン・デゲンコルブ(ドイツ、ジャイアント・シマノ)
2位 マシュー・ゴス(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)
3位 ホセホアキン・ロハス(スペイン、モビスター)
4位 ボルト・ボジッチ(スロベニア、アスタナ)
5位 トム・ボーネン(ベルギー、オメガファーマ・クイックステップ)
6位 アレクサンダー・クリストフ(ノルウェー、カチューシャ)
7位 ナセル・ブアニ(フランス、FDJ.fr)
8位 トル・フースホフト(ノルウェー、BMCレーシング)
9位 ヘルト・ステーグマン(ベルギー、オメガファーマ・クイックステップ)
10位 モレノ・ホフランド(オランダ、ベルキン)
4h27'26"











個人総合成績
1位 ジョン・デゲンコルブ(ドイツ、ジャイアント・シマノ)
2位 ナセル・ブアニ(フランス、FDJ.fr)
3位 モレノ・ホフランド(オランダ、ベルキン)
4位 ホセホアキン・ロハス(スペイン、モビスター)
5位 ゲラント・トーマス(イギリス、チームスカイ)
6位 ブライアン・コカール(フランス、ユーロップカー)
7位 アレクサンダー・クリストフ(ノルウェー、カチューシャ)
8位 ニコライ・トルソーフ(ロシア、ティンコフ・サクソ)
9位 サミュエル・ドゥムラン(フランス、AG2Rラモンディアール)
10位 マルコ・マルカート(イタリア、キャノンデール)
13h14'01"
+08"
+12"
+18"
+21"
+22"






ポイント賞
ジョン・デゲンコルブ(ドイツ、ジャイアント・シマノ)

山岳賞
クリストフ・ラボリー(フランス、ブルターニュ・セシェ)

ヤングライダー賞
ジョン・デゲンコルブ(ドイツ、ジャイアント・シマノ)

チーム総合成績
カチューシャ

text:Kei Tsuji
photo:Tim de Waele