第72回パリ〜ニース(UCIワールドツアー)が、3月9日、マント・ラ・ジョリーで開幕。落車多発のナーバスなステージを、元フランスチャンピオンのナセル・ブアニ(フランス、FDJ.fr)がスプリントで締めくくった。



フランス中部の田舎道を行くプロトンフランス中部の田舎道を行くプロトン photo:Tim de Waele


パリ〜ニース2014第1ステージパリ〜ニース2014第1ステージ image:A.S.O.マント・ラ・ジョリーを発着する周回コースで行なわれたパリ〜ニース第1ステージ。コースのほとんどは広大な平野を貫く曲がりくねった田舎道で、街中はロータリーやコーナーが連続する。レース序盤に飛び出したクリストフ・ラボリー(フランス、ブルターニュ・セシェ)が最大で10分のリードを稼ぎ出したその後方では、ビッグネームたちが相次いで落車に巻き込まれた。

出走サインを済ませたシルヴァン・シャヴァネル(フランス、IAMサイクリング)出走サインを済ませたシルヴァン・シャヴァネル(フランス、IAMサイクリング) photo:Tim de Waeleテクニカルなコースに風が加わったことで落車が多発。レース前半にナセル・ブアニ(フランス、FDJ.fr)やヴァシル・キリエンカ(ベラルーシ、チームスカイ)らが地面に投げ出される。いずれの選手も再スタートを切ったが、パリ〜ニースは初日から荒れた展開となる。総合優勝候補の一角と見られていたティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、BMCレーシング)が体調不良によりバイクを降りた。

最大10分のリードを得たクリストフ・ラボリー(フランス、ブルターニュ・セシェ)最大10分のリードを得たクリストフ・ラボリー(フランス、ブルターニュ・セシェ) photo:Tim de Waeleユーロップカーが中心となってペースを作ったメイン集団は、先頭ラボリーを余裕をもって吸収。2つあるスプリントポイントでは、リーダージャージ狙いのジャンニ・メールスマン(ベルギー、オメガファーマ・クイックステップ)が果敢にスプリントしてボーナスタイムを連取する。

快晴のフランス中部を駆ける快晴のフランス中部を駆ける photo:Tim de Waeleスプリンターチームが集団先頭に立ったタイミングで再び落車が多発し、総合狙いのロメン・バルデ(フランス、AG2Rラモンディアール)やアンディ・シュレク(ルクセンブルク、トレックファクトリーレーシング)、サイモン・ゲランス(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)に加え、スプリンターのエドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー、チームスカイ)やトル・フースホフト(ノルウェー、BMCレーシング)、マシュー・ゴス(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)らが後方に取り残される展開に。落車に巻き込まれた選手たちは結局メイン集団に復帰出来ず、1分09秒遅れでフィニッシュラインを切っている。

集団前方を固めるジャイアント・シマノ集団前方を固めるジャイアント・シマノ photo:Tim de Waeleジャイアント・シマノとオメガファーマ・クイックステップが中心になってスピードを上げたメイン集団が、テクニカルコーナーをクリアしながらマント・ラ・ジョリーの街中へ。ヘルト・ステーグマン(ベルギー)らのリードアウトを得たメールスマンが好位置でスプリントを開始。同時にジョン・デゲンコルブ(ドイツ、ジャイアント・シマノ)とブアニが腰を上げた。

上半身を上下に大きく振りながら加速するデゲンコルブと、深い前傾姿勢でハンドルを引き上げるブアニがメールスマンを抜き去る。無駄のない美しいスプリントでブアニが先着した。

落車で左膝から血を流しながらも勝利したブアニ。元ボクサーらしい闘志溢れるコメントを残す。「落車しながらも勝利した2年前のフランス選手権を思い出したよ。膝がひどく痛んだので何度もドクターに診てもらいながら走ったんだ。痛み止めの錠剤をもらって、スプリントのことだけを考えた。落車なんか関係なく今日は勝つんだと自分に言い聞かせたんだ」。

ブアニの第1ステージ勝利ならびにリーダージャージ獲得は2年連続。しかし昨年は翌日の第2ステージで落車リタイアを喫している。「昨年は第1ステージで勝利しながら次の日にリタイアした。今回は、落車して、そして勝った。パリ〜ニースと自分の間には何かしらの運命があるようだ」とコメントしている。



ゴールスプリントで勝利したナセル・ブアニ(フランス、FDJ.fr)ゴールスプリントで勝利したナセル・ブアニ(フランス、FDJ.fr) photo:Tim de Waele
膝から血を流しながら表彰台に上がるナセル・ブアニ(フランス、FDJ.fr)膝から血を流しながら表彰台に上がるナセル・ブアニ(フランス、FDJ.fr) photo:Tim de Waeleリーダージャージを手にしたナセル・ブアニ(フランス、FDJ.fr)リーダージャージを手にしたナセル・ブアニ(フランス、FDJ.fr) photo:Tim de Waele

選手コメントはレース公式サイト(www.letour.fr/paris-nice/2014)より。



パリ〜ニース2014第1ステージ結果
1位 ナセル・ブアニ(フランス、FDJ.fr)                  3h53'11"
2位 ジョン・デゲンコルブ(ドイツ、ジャイアント・シマノ)
3位 ジャンニ・メールスマン(ベルギー、オメガファーマ・クイックステップ)
4位 ホセホアキン・ロハス(スペイン、モビスター)
5位 タイラー・ファラー(アメリカ、ガーミン・シャープ)
6位 ブライアン・コカール(フランス、ユーロップカー)
7位 ルーカ・ワッケルマン(イタリア、ランプレ・メリダ)
8位 ファビオ・フェリーネ(イタリア、トレックファクトリーレーシング)
9位 ファビオ・サバティーニ(イタリア、キャノンデール)
10位 フランチェスコ・ガヴァッツィ(イタリア、アスタナ)

個人総合成績
1位 ナセル・ブアニ(フランス、FDJ.fr)                  3h53'01"
2位 ジャンニ・メールスマン(ベルギー、オメガファーマ・クイックステップ)    +01"
3位 ジョン・デゲンコルブ(ドイツ、ジャイアント・シマノ)            +04"
4位 フレフ・ファンアフェルマート(ベルギー、BMCレーシング)          +08"
5位 ゲラント・トーマス(イギリス、チームスカイ)                +09"
6位 シルヴァン・シャヴァネル(フランス、IAMサイクリング)
7位 ホセホアキン・ロハス(スペイン、モビスター)                +10"
8位 タイラー・ファラー(アメリカ、ガーミン・シャープ)
9位 ブライアン・コカール(フランス、ユーロップカー)
10位 ルーカ・ワッケルマン(イタリア、ランプレ・メリダ)

ポイント賞
ナセル・ブアニ(フランス、FDJ.fr)

山岳賞
クリストフ・ラボリー(フランス、ブルターニュ・セシェ)

ヤングライダー賞
ナセル・ブアニ(フランス、FDJ.fr)

チーム総合成績
オメガファーマ・クイックステップ

text:Kei Tsuji
photo:Tim de Waele