3月9日から3月16日までの8日間、フランスで第72回パリ〜ニース(UCIワールドツアー)が開催される。ツール・ド・フランスと同じA.S.O.(アモリー・スポール・オルガニザシオン)が主催する春の定番ステージレースには国内外のオールラウンダーやスプリンターが参戦。レースの見どころをチェックしておこう。



フランスを南下する8日間 個人TTと難関山岳フィニッシュ無し

スカイプロサイクリングが率いるメイン集団がオートプロヴァンスの山岳地帯を行くスカイプロサイクリングが率いるメイン集団がオートプロヴァンスの山岳地帯を行く photo:Kei.Tsuji

パリ〜ニース2014コースマップパリ〜ニース2014コースマップ image:A.S.O.毎年3月に開催されるパリ〜ニースは、ツール・ド・フランスと同じASO(アモリー・スポール・オルガニザシオン)が主催。3日遅れてイタリアで開幕するティレーノ〜アドリアティコとともに、春を代表する中級ステージレースだ。

パリ〜ニース2014第6ステージパリ〜ニース2014第6ステージ image:A.S.O.「パリからニースまで」という名前が示すように、レースはフランス北部のパリ近郊から地中海沿岸のニースまでひたすら南下する。まだまだ寒さの厳しいフランス内陸部をスタートし、比較的温暖な太陽を求めて地中海のコートダジュールに向かうその行程から、ときに「太陽へのレース(La Course au Soliel)」とも呼ばれる。

パリ〜ニース2014第8ステージパリ〜ニース2014第8ステージ image:A.S.O.8日間という日程の中に個人タイムトライアルや山岳フィニッシュが積極的に取り入れられてきたが、2014年の第72回大会にはいずれも設定されない。例年よりもずっとスプリンターのチャンスが多いと言える。特にほぼフラットな前半3ステージは高い確率で集団スプリントに持ち込まれるだろう。

ツールと同じイエロージャージを巡る総合争いは、2級山岳を下った先にフィニッシュが設定された第4ステージと第5ステージで動き出す。1級山岳ブリガイユ峠(距離8.2km/平均5.9%)を越え、2級山岳フェイヤンス(距離1.7km/平均7.5%)を駆け上がってフィニッシュする第6ステージで総合成績にシャッフルがかかるだろう。

昨年まで最終日は終着地ニースを舞台にした山岳個人タイムトライアルが定例化していたが、2014年の最終ステージはニースを発着する128kmのラインレースに戻された。5つのカテゴリー山岳を越えるショートステージは大きな可能性を秘めている。フィニッシュ15km手前の1級山岳エズ峠をクリアし、ハイスピードダウンヒルを経てニースの海岸通へ。登りではなく、最後の下りで勝負が決まる可能性もある。

出場するのは、18あるUCIプロチームに、今季フェイユ兄弟(フランス)を獲得したブルターニュ・セシェと、シルヴァン・シャヴァネル(フランス)加入のIAMサイクリング、コフィディスを加えた21チーム。ハイシーズンを見据える選手たちが、8日間、合計1447kmを駆ける。



パリ〜ニース2014ステージリスト
3月9日(日)第1ステージ マント・ラ・ジョリー〜マント・ラ・ジョリー 162.5km
3月10日(月)第2ステージ ランブイエ〜サン・ジョルジュ・シュル・ボルシュ 205km
3月11日(火)第3ステージ トゥシー〜シルキュイ・ド・ヌヴェール・マニ・クール 180km
3月12日(水)第4ステージ ヌヴェール〜ベルヴィル 201.5km
3月13日(木)第5ステージ クレッシュ・シュル・ソーヌ〜リヴ・ド・ジエ 153km
3月14日(金)第6ステージ サン・サテュルナン・レ・ザヴィニョン〜フェイヤンス 221.5km 
3月15日(土)第7ステージ ムジャン〜ビオ・ソフィア・アンティポリス 195.5km
3月16日(日)第8ステージ ニース〜ニース 128km



昨年の覇者ポート不在の総合争い ニーバリやコスタに注目

昨年、2年連続ティレーノ〜アドリアティコ総合優勝を達成したヴィンツェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ)昨年、2年連続ティレーノ〜アドリアティコ総合優勝を達成したヴィンツェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ) photo:RCSsport昨年はリッチー・ポート(オーストラリア、チームスカイ)が下位に1分差をつけて総合優勝。今年もポートのパリ〜ニース参戦が予定されていたが、クリス・フルーム(イギリス)のティレーノ〜アドリアティコ出場が背中の痛みによりキャンセルされたため、急遽ポートがイタリアレースでエースを務めることに。代わってゲラント・トーマス(イギリス)がフランスでイギリスチームを率いる。

アルカンシェルを着るルイ・コスタ(ポルトガル、ランプレ・メリダ)アルカンシェルを着るルイ・コスタ(ポルトガル、ランプレ・メリダ) photo:Tim de Waeleポートがイタリアに向かい、逆に2年連続ティレーノ〜アドリアティコの覇者ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ)がフランスに向かう。下りで勝負が決まる可能性もあるため、コースはダウンヒラーとして知られるニーバリ向き。パリ〜ニースと相性の良いヴェストラやフグルサングを従えての出場だ。

シルヴァン・シャヴァネル(フランス、IAMサイクリング)シルヴァン・シャヴァネル(フランス、IAMサイクリング) photo:www.letourmed.fr世界チャンピオンのルイ・コスタ(ポルトガル、ランプレ・メリダ)も総合優勝候補の1人。今季コスタは地元ポルトガルのボルタ・アン・アルガルヴェで3度ステージ2位に入って総合3位。まだ勝利には届いていないが、序盤から好調さを見せている。早くアルカンシェルの呪縛から解き放たれたい思いだろう。

ジョン・デゲンコルブ(ドイツ、ジャイアント・シマノ)ジョン・デゲンコルブ(ドイツ、ジャイアント・シマノ) photo:Cor Vosツアー・オブ・オマーンでフルームに次いで総合2位に入ったティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、BMCレーシング)やトムイェルテ・スラグテル(オランダ、ガーミン・シャープ)、ラファル・マイカ(ポーランド、ティンコフ・サクソ)、ダニエル・ナバーロ(スペイン、コフィディス)、シュレク兄弟(ルクセンブルク、トレックファクトリーレーシング)らも総合上位に絡んでくるはずだ。

フランスの期待を背負うのは、カルロスアルベルト・ベタンクール(コロンビア)とダブルエース体制で挑むロメン・バルデ(フランス、AG2Rラモンディアール)や、新天地での活躍を目指すシルヴァン・シャヴァネル(フランス、IAMサイクリング)ら。フランス人によるパリ〜ニース制覇は1997年のローラン・ジャラベールを最後に17年間達成されていない。

平坦ステージではジョン・デゲンコルブ(ドイツ、ジャイアント・シマノ)やナセル・ブアニ(フランス、FDJ.fr)、アレクサンダー・クリストフ(ノルウェー、カチューシャ)、トム・ボーネン(ベルギー、オメガファーマ・クイックステップ)らに注目。スプリンター向きにコースが変更されたミラノ〜サンレモに向けて各選手の調子を見ておきたいところ。

もちろんトル・フースホフト(ノルウェー、BMCレーシング)やマシュー・ゴス(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)、タイラー・ファラー(アメリカ、ガーミン・シャープ)、エドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー、チームスカイ)らの存在も忘れていけない。前半ステージでは、スプリンターたちがイエロージャージを巡ってバトルを食い広げることになるだろう。

また、シクロクロス世界チャンピオンのゼネク・スティバル(チェコ、オメガファーマ・クイックステップ)やサイモン・ゲランス(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)といったパンチ力のある選手も出場予定だ。

text:Kei Tsuji

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