イタリアに拠点を置くウクライナ籍のUCIコンチネンタルチーム、AMORE & VITA Selle SMP(アモーレ・エ・ヴィータ・セッレSMP)に21歳の若手、菱沼由季典が加入した。チームの紹介と併せてお伝えする。



プロチーム創設者のイヴァノ・ファニーニ氏と写る菱沼由季典。21歳の若手選手だプロチーム創設者のイヴァノ・ファニーニ氏と写る菱沼由季典。21歳の若手選手だ
Amore & Vita Selle SMPが拠点を構えるのは、イタリアで最も自転車競技が盛んなトスカーナ地方。チームの歴史は長く、1948年にイヴァノ氏の父によりクラブチーム Fanini(ファニーニ)が創設されアマチュアカテゴリーにて多くの成功を手にし、1982年よりスポンサードプロチームとして始め1984年から今年で30年プロチーム「アモーレ・エ・ヴィータ」として活動を続けている。コンチネンタルとしてもアマチュアチームとしても最古のチームと言ってもいいだろう。

長い歴史の中でジロ・デ・イタリアでの勝利や各国ナショナル選手権60勝(うち36勝はイタリア国内選手権)、世界選手権13勝など華やかな戦歴のあるチームであり、名門と言っても過言ではない。そしてチポッリーニ、バルタリを始めとする有名選手も数多く輩出してきた。

チームが使用する機材。バイクはチポッリーニのロゴスチームが使用する機材。バイクはチポッリーニのロゴス 2014年の体制は、イタリア老舗ブランドであるSelle SMPをメインスポンサーに、2010年よりサポートするウエアメーカー「チャンピオンシステム」をセカンドスポンサーにすえる。今季はイタリア国内を始めアジア・ヨーロッパ・アメリカ・アジア・アフリカツアーのUCIレースを転戦する予定だ。ライダー・スタッフを含め10か国の異なる人種が集まる国際的なチームだ。使用するバイクはカンパニョーロがサプライするスーパーレコードで組まれたチポッリーニ・ロゴスとなる。

チームユーラシアから移籍する菱沼由季典
2014年シーズンよりチームに加入することとなった菱沼由季典(ひしぬま・ゆきのり)は神奈川県出身の21歳で、JCFのU23強化指定選手だ。16歳から横浜高校で競技を始め、卒業後3年間フランスで、2013年はチームユーラシアでベルギーでレース活動を行ってきた。契約や、今後の展望など、本人のコメントをミニインタビューで紹介する。



—自身でチームにコンタクトを取って契約を決めたそうですね?

Gp Cosata delle Etruschiでのチームプレゼンテーション。左から3番目が菱沼Gp Cosata delle Etruschiでのチームプレゼンテーション。左から3番目が菱沼 ソーシャルネットワークを使いチームのスタッフ数名に自身の履歴書や抱負や身体データを送り存在をアピールしました。ジャパンカップで来日した時にチームの代表と個人的に1対1で話せるようにアポイントメントを取ってもらうよう棈木(あべき)さん(チャンピオンシステム・ジャパン代表)と話をし、後日GMとメールでやり取りをし、契約に至りました。


チームトレーニングを重ねるAMORE & VITA Selle SMPチームトレーニングを重ねるAMORE & VITA Selle SMP —年初からここまで過ごしてきてどんな雰囲気のチームですか?

チームが着用するウェアチームが着用するウェア 多国籍の選手が集まるチームであるので、文化や宗教的な違いがありますし、生き残っていくために備わっていった外国人特有の自己主張が強かったりしますが、チームで勝利を獲るという共通の目標を中心に一体感があります。イタリアチームらしく遠慮のいらない家族のような雰囲気です。末っ子の僕はいつもいじられています。

—チームまたは監督陣からはどのような走りを期待されていますか?

春先のレースの走りで考えるとのこと。レースで逃げにのること又は積極的な動きが最優先事項です。そして、エースのサポートなど。実力もないので今は走りというよりはチームに馴染み、レースをこなしていく感じです。比較的自由に走れるチームですね。
カナダ人とイタリア人の監督2人がいて、イタリア人監督はパンターニの所属した元メルカトウーノのチームの監督だった人です。いつも監督から的確なアドバイスを頂きながら走らせてもらっています。個人的にはステージレースの山岳で優勝を争える選手を目指しています。

ーチームは昨年ツアー・オブ・ジャパンやジャパンカップに出場していますが、そのユニフォームで日本のレースに凱旋することは想像できますか?

チームは、オーガナイズも完璧な日本のUCIレースを走りたいと強く望んでいます。僕も海外だけでは中々情報が伝わらないのでお世話になった方々に雄姿を見せたいです。

—かつてのスーパースター、マリオ・チポッリーニ氏に接する機会はあったそうですが、その印象は?

チームの拠点のそばに住んでいるのでよくすれ違いますし、チームのトレーニングでも走る機会がありました。体も大きいですがオーラというのか存在感があります。フランス語も流暢に話せるので、いくらかお話しもしました。そしてダンディーなオジサンという感じでカフェに寄った時、初見の女性が近づくほど。獣のような鋭い目と味のある声をもち、ひとたび走ると平坦ならまだレースを走れるくらいですし、スプリンターらしく俊敏で公道で車をジグザクに縫うように避けて走ります。命知らずのような感じを受けます。自分は若いので、色々とアドバイスもいただきました。



チームGM クリスティアン・ファニーニのコメント

彼と契約したことを喜んでいる。チームの理念がAmore&Vitaの名前にもある通りクリーンな走り(アンチドーピング・正々堂々)を古くから優先事項としており、それは大きな成功と栄誉を手にする条件です。そして現在チームは将来ワールドツアーで活躍する選手を輩出するための活動をしており、長い歴史の中で得たプロ意識などを周知させている。チーム理念にも合っているし、成長したいという強い心と将来の可能性を感じ、彼を受け入れました。

菱沼選手の今季のレーススケジュール(予定)

2月2日 GP Costa degli Etruschi 1.1 (ITA)  ※終了 DNF 170キロ地点
 22日 Trofeo Laigueglia 1.1(ITA) ※終了 DNF140キロ地点
(3月6日 GP Camaiore 1.1(ITA)) メキシコの日程が決定時点で決定
3月2−10日 6日間ステージレース Vuelta Mexico 2.2(ITA)
 26日−30日 Settimana Internazionale Coppi e Bartali 2.1(ITA)
(4月4日−13日 Tour du Maroc 2.2(MAR))
5月3日  GP Industria & Artigianato 1.1(ITA)
4日 Giro della Toscana 1.1(ITA)
 (18日−25日 Tour of Japan2.1(JPN))
6月1日  The Philadelphia Cycling Classic 1.1(USA)
10日−15日 Tour de Beauce 2.2(CAN)
17日−22日 Tour of Iran2.1(IRN)
(29日 全日本選手権エリート)体調次第
7月6日−19日  Tour of Qinghai Lake 2.HC (CHN)
(21日から30日ごろまで帰国予定)
(8月1日−3日 Tour of Elk Grove 2.1(USA)
13日−24日 Vuelta a colombia 2.2 (COL)
30日−9月6日 Tour of China1 2.1(CHN)
9日−15日   Tour of China2 2.1(CHN)
()の予定は未定です。

チームに関する紹介コメント:菱沼選手本人による
photo:チームからの提供
interview:CW編集部

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