目標はツール出場。明確な目標のもと変革を続けるチーム右京。3年目の今年は国内だけでなくアジアそしてヨーロッパへ進出する。土井雪広、ホセ・ビセンテ、リカルド・ガルシアらのメンバーで挑む今年はその最初のステップだ。

チーム右京2014年メンバーチーム右京2014年メンバー photo:Hideaki TAKAGI
2月22日(土)、東京・お台場のMEGA WEBでチーム右京(Team UKYO)の2014年度体制発表会が行われた。チームがここメガウェブで体制発表するのは3回目。数々の成績を残してきたチームだがまだ結成丸2年でしかない。しかし2年目の昨年は実業団Jプロツアーで個人&チーム総合優勝して常にレースでは優勝候補の一角にいる。その中心は片山右京監督。片山監督のリーダーシップと求心力でチームは成長してきた。

「日本人らしい挑戦の仕方で正々堂々と闘う」片山右京監督

「夢を追う人を応援する立場で」と片山右京監督「夢を追う人を応援する立場で」と片山右京監督 photo:Hideaki TAKAGIその片山監督は言う。「昨年は選手が頑張ってJPTで日本一になれたがそれは長い道のりの中では小さなこと。大切なのは夢を持ち続けること、そうすれば誰かが応援してくれる。いま僕は順番で応援する立場に代わった。若い人たちが夢に向かって、世界を目指して頑張っている。日本人らしい挑戦の仕方で正々堂々と闘う」
「全日本もUCIポイントもこのチームで」キャプテンの狩野智也「全日本もUCIポイントもこのチームで」キャプテンの狩野智也 photo:Hideaki TAKAGI
チーム体制は1月に発表のあったとおり、片山監督をはじめ、選手は10人。なかでも注目はエウスカルテル・エウスカディから移籍のリカルド・ガルシアだ。「上りも平地もいけるオールラウンダー。ホセ・ビセンテと同等以上」と井上修一マネージャー。昨年は山岳もスプリントも一流の力を見せたホセ・ビセンテと並び、「ヒルクライムや厳しい展開のレースではチームとして必ず勝つ」と明言する。
リカルド・ガルシア(エウスカルテル・エウスカディより移籍)25歳。バイクはクオータKOMリカルド・ガルシア(エウスカルテル・エウスカディより移籍)25歳。バイクはクオータKOM photo:Hideaki TAKAGI
チームメンバーの構成は完全に二分されている。すでに実績のあるキャプテンの狩野智也をはじめ土井雪広や外国人選手のグループと、若いこれからの可能性のある窪木や平井をはじめとするグループだ。前者は司令塔かつ勝利やUCIポイントを獲得するのが目的。後者はこれからの可能性を見出しそれを伸ばし、レースでは展開によっては結果も出すメンバー。

実際、窪木一茂は昨年にロード2勝している。国内ではJプロツアー、全日本選手権ロード、各UCIレースに出場、そして今年は海外へ積極的に出向く。現在予定されているだけでアジアツアー4戦、そして夏にはヨーロッパツアーへ出場する。予定ではスペインを中心としている。

また片山監督は、チーム右京としてでなく個人としてと前置きし「4月に個人の挑戦としてエベレストへ行く。これだけのプロジェクトがあるとリスクもあるし行くべきではないと正直悩んだ。ただいままで人生で何度か大きなわがままを言わせてもらった。そのつど応援してくれる人がいてくれた。そして自分も挑戦しなければいけないと思っている」とエベレスト挑戦を表明した。

今年はどこまで勝利記録を伸ばすかが注目されるチーム右京今年はどこまで勝利記録を伸ばすかが注目されるチーム右京 photo:Hideaki TAKAGI
チーム右京2014年体制

フラビオ・ヴァルセッキ(ヴェロクラブ・メンドリシオより移籍)24歳。2013年ツール・ド・北海道よりフラビオ・ヴァルセッキ(ヴェロクラブ・メンドリシオより移籍)24歳。2013年ツール・ド・北海道より photo:Hideaki TAKAGIチーム名:Team UKYO(チーム右京)
監督:片山右京
テクニカルアドバイザー:今中大介
チーム右京全体と支える人たちチーム右京全体と支える人たち photo:Hideaki TAKAGI選手
 狩野 智也(キャプテン)40歳
 土井 雪広 30歳
 ホセ・ビセンテ 28歳
 リカルド・ガルシア(エウスカルテル・エウスカディより移籍)25歳
 フラビオ・ヴァルセッキ(ヴェロクラブ・メンドリシオより移籍)24歳
 窪木 一茂(マトリックスパワータグより移籍)24歳
 平井 栄一(ブリヂストンアンカーサイクリングチームより移籍)23歳
 住吉 宏太(日本大学主将、卒業)22歳
 山本 隼 (中央大学在学中、日本代表等)UCI登録のみ 21歳
 湊 諒  (法政大学主将在学中)UCI登録のみ 21歳
マネージャー:井上修一
メカニック:永井利明、河野健一、太田貴明
マッサー:森川健一郎、岩倉瞳
チームドクター:林同文
チーム右京2014年メンバーチーム右京2014年メンバー photo:Hideaki TAKAGI
使用バイク
 フレーム:クオータKOM
 コンポーネント:シマノ
 ハンドル・ステム:デダ
 サドル:アスチュート 
 ペダル:スピードプレイ
 ホイール:TOKEN
 タイヤ:ヴィットリア
 ボトルケージ:タックス

レースウェア:ルコックスポルティフ
コンプレッションウェア:スキンズ
グッドスマイルレーシング&チーム右京の片岡龍也とチーム右京ロードレースチームグッドスマイルレーシング&チーム右京の片岡龍也とチーム右京ロードレースチーム photo:Hideaki TAKAGI
参戦予定

実業団Jプロツアー全21戦
全日本選手権ロード
ツアー・オブ・ジャパン
ツール・ド・熊野
ツール・ド・北海道
ツール・ド・おきなわ
ツール・ド・タイランド 4月1日-6日
ツール・ド・フィリピン 4月21日-24日
ツアー・オブ・イラン 6月17日-22日
ゼンリンデータコムが提供するiPhone向け無料サイクルアプリ「cycleTT」ゼンリンデータコムが提供するiPhone向け無料サイクルアプリ「cycleTT」 photo:Hideaki TAKAGIヨーロッパツアー 7月-8月
ツアー・オブ・イーストジャワ 9月4日-7日


ビギナー向けロードバイク「Reve」(レブ)を発売
ビギナー向けロードバイク「Reve」(レブ)が発売ビギナー向けロードバイク「Reve」(レブ)が発売 photo:Hideaki TAKAGI
会場でお目見えしたのが当日の2月22日からゼンリンデータコムが発売開始のロードバイク「Reve」だ。Reveはフランス語で「夢」の意味で、真剣にロードレースに挑戦したいという人たちの可能性を信じて片山監督が命名したもの。「50万とか100万円の自転車は子どもたちや初めての人に薦められるものでない。この自転車はスタータキット。まずはこの自転車から走る楽しみを発見してもらえれば」と片山監督。

2種類の完成車があり両方ともアルミフレームで、シマノのSORA主体の100,000円と同105主体の166,000円(ともに税別)の設定だ。そのままでもイベントやレースにチャレンジできるし、あるいは部品をチューンして楽しむのもいいだろう。チームカーは4月発売予定のスバルLEVORG(レヴォーグ)2Lバージョン、300馬力40.8kgfmのマシンチームカーは4月発売予定のスバルLEVORG(レヴォーグ)2Lバージョン、300馬力40.8kgfmのマシン photo:Hideaki TAKAGI
地図情報を主体とするゼンリングループは、片山氏の活動を長年スポンサーとしてバックアップしてきた。販売元の株式会社ゼンリンデータコムでは2013年11月からiPhone向け無料サイクルアプリ「cycleTT」をリリースするなど地図・位置情報を生かしたスポーツ自転車向けサービスにも参入している。

チームカーは2リッターのスバル・レヴォーグ

今回お目見えしたもののもう一つはチームカー。会場にひときわ目立つ鮮やかなブルー(ギャラクシィブルー・シリカ)にボンネットのエアインテークがターボ車を主張する、2014年4月発売予定のスバルLEVORG(レヴォーグ)だ。伝えられていた通り、確かに見た目のサイズは現行型より一回り小さく、一世代前のBP型相当。チームカーはこれの2Lバージョン、300馬力40.8kgfmのマシンだ。


「全日本は勝たないといけない」土井雪広

全日本はもちろん、その先のヨーロッパツアーでの活躍を目指す土井雪広全日本はもちろん、その先のヨーロッパツアーでの活躍を目指す土井雪広 photo:Hideaki TAKAGI来年にこのチームがプロコンへ上がるには、アジアツアーでUCIポイント500点取らないといけないと思っているしそれは取れると思う。今年は向こう(オランダ)にいたときと同じくらいの75レース出られるので、コンディションもおのずと上がっていくので楽しみ。チームは世界を目指す高い志を持った選手たちが揃い、いい雰囲気だ。

チームはヒルクライムでは負けないし厳しいレースでも闘えるし死角はないと思う。その中でできれば自分がUCIポイントを取っていきたい。タイとフィリピンでホセ、ガルシアと走り方の形を作ってそしてTOJに向かいたい。個人的にはまず全日本を勝たないといけない。そのために日本人だけでも勝てるようチームをもっていきたい。

「ロードを走るのが楽しい」窪木一茂

「ロードとトラック両方で頑張りたい」窪木一茂「ロードとトラック両方で頑張りたい」窪木一茂 photo:Hideaki TAKAGI自分のスピードは日本では通用するかもしれないが海外ではどうなのか。西谷(泰治)さんとマキュアンの走り方に注目していて、その体の使い方を目標にしている。いま、ロードが面白い。マトリックスで多くのことを教わり本当に感謝している。ロードを走ることがトラックに繋がる。もちろんトラックの走りもロードにいい影響を与える。

トラックの団抜きはもっといいタイムが出ると思う。団抜きメンバーでは自分が一番年長なので責任はある。いま、ロードかトラックかどちらかだけに専念することはない。両方がうまくできればと。このチームで先輩方やホセ、ガルシアから多くのものを吸収して、ロードでもトラックでも結果を出せるよう頑張りたい。


photo&text:高木秀彰