48回目となる高石杯関東地域自転車道路競争大会が、埼玉県さいたま市で開催された。男子高校生に与えられる高石杯は中村圭佑(昭和第一学園)が獲得。一般男子は中村龍太郎(イナーメ信濃山形)が優勝した。

ポプラ並木に併走する集団(写真は一般男子)ポプラ並木に併走する集団(写真は一般男子) photo:Satoru.Kato
荒川河川敷の広大な敷地にある「大宮けんぽグラウンド」荒川河川敷の広大な敷地にある「大宮けんぽグラウンド」 photo:Satoru.Kato「高石杯」とは、IOC(国際オリンピック委員会)委員として1964年の東京五輪と1972年の札幌冬季五輪の開催に尽力され、日本国内のスポーツ振興にも力を注がれた故・高石真五郎氏の名前を冠した大会である。

当初は地域ごとのチーム対抗戦の形を取っていたが、現在は高校生男子の優勝者に「高石杯」が授与される。

高校生男子 連続するコーナーごとに集団が引き延ばされる高校生男子 連続するコーナーごとに集団が引き延ばされる photo:Satoru.Kato昨年に続き、埼玉県さいたま市の「大宮けんぽグラウンド」で開催された今大会には、高校生男子、一般男子、中学生男子、女子の4クラス計194名がエントリーした。

コースは1周2.5kmのクリテリウム。起伏はまったく無いものの、「凹」字状に8つのコーナーを持つコースは、ともすれば中切れの餌食となって2度とメイン集団に復帰出来なくなる。逃げが決まっても、広大なグラウンド内のコースは視界を遮るものがなく、追う者と追われる者が常に互いの距離を意識しながらのレースを強いられる。

当日は朝から曇り空で、時折雨粒が落ちてくる天気。しかし午後には太陽が顔を出し、最終レースの頃には暑さを感じるほどになった。また、この時季は「からっ風」と呼ばれる関東特有の強風が吹き荒れるものだが、この日は終日ほぼ無風の中レースが行われた。



ロングスパートを決めた中村圭佑が高石杯獲得

高校生男子 ロングスパートを決めて優勝した中村圭佑(昭和第一学園高等学校)高校生男子 ロングスパートを決めて優勝した中村圭佑(昭和第一学園高等学校) photo:Satoru.Kato
高校生男子 スタート直後から抜け出す動きがあるものの、逃げは決まらない高校生男子 スタート直後から抜け出す動きがあるものの、逃げは決まらない photo:Satoru.Kato高石杯が懸かった高校生男子は、予選を勝ち上がった45名により、35分+2周の決勝レースで争われた。

高校生男子 集団の先頭を引く小山貴大(前橋育英高等学校)高校生男子 集団の先頭を引く小山貴大(前橋育英高等学校) photo:Satoru.Katoスタート直後からペースが上がり、毎周回誰かが飛び出しては集団に吸収される事を繰り返す。昨年の同大会で2位だった小山貴大(前橋育英高等学校)が幾度となく抜け出しを図るが、決定打にはらない。

常に1列棒状で進行する集団は徐々に人数を減らし、レース終盤に残ったのは19名。残り2周に入っても勝負を決定付ける動きは出来ないまま最終周回に突入していく。そして「ゴールスプリントには持ち込みたくなかった」と言う中村圭佑(昭和第一学園高等学校)が、最終コーナー1つ前から仕掛るロングスパートを成功させ、後続を大きく引き離した状態でゴールに飛び込んだ。

中村圭佑のコメント
「自分はスプリンターではないので、勝てると思っていなかった。最後は後ろが迫ってくるのが見えていたのでどうかなと思ったけど、ギリギリ逃げ切れたので良かった。」

高校生男子結果
1位 中村圭佑(昭和第一学園高等学校)  35'46"988
2位 齊藤瞭汰(群馬県立前橋工業高等学校)  +01"
3位 古田潤(昭和第一学園高等学校)     +03"
4位 小松正和(昭和第一学園高等学校)    +04"
5位 中村魁斗(作新学院高等学校)
6位 小山貴大(前橋育英高等学校)      +05"
7位 須貝翔吾(茨城県立砦第一高等学校)
8位 野口皓平(栄北高等学校)



一般男子は中村龍太郎が得意のゴールスプリントで優勝

一般男子 ゴールと同時に勝利の雄叫びを上げる中村龍太郎(イナーメ信濃山形)一般男子 ゴールと同時に勝利の雄叫びを上げる中村龍太郎(イナーメ信濃山形) photo:Satoru.Kato
一般男子 レース終盤の先頭集団一般男子 レース終盤の先頭集団 photo:Satoru.Kato予選を勝ち上がった50名で決勝が行われた一般男子は、45分+2周で争われた。

一般男子 最終周回、逃げる倉林貴彦(なるしまフレンド)の直後に集団が迫る一般男子 最終周回、逃げる倉林貴彦(なるしまフレンド)の直後に集団が迫る photo:Satoru.Kato直前に行われた高校生男子同様、誰かが飛び出しては集団が吸収する事を繰り返しながらレースは進み、終盤に残ったのは15名。その中から、昨年同大会優勝の倉林貴彦(なるしまフレンド)が残り2周で飛び出す。これに合田正之(cycle club 3up)が合流するも、最終周回で吸収され、最後は集団でのスプリント勝負に持ち込まれた。

最終コーナー前から集団を牽引した高岡亮寛(イナーメ信濃山形)が発射台となり、中村龍太郎(イナーメ信濃山形)がスプリントに入る。小畑郁(なるしまフレンド)が追いすがるが、わずかに届かず。中村が勝利の雄叫びと共にゴールラインを越えた。

中村龍太郎のコメント
「今日のレースはスプリントが得意な自分向きだったので、勝負を任せてもらう事になっていた。大磯クリテの時と同じように、チームメイトの高岡さんが最後に引いてくれたので、今日の勝利は高岡さんのおかげ。本当に力強い味方です」

一般男子結果
1位 中村龍太郎(イナーメ信濃山形)   48'51"705
2位 小畑郁(なるしまフレンド) 
3位 水野恭平(CORSSA YAMANASHI)   +01"
4位 北野普識(イナーメ信濃山形) 
5位 高岡亮寛(イナーメ信濃山形)      +02"
6位 岡泰誠(筑波大学サイクリング部)
7位 小清水拓也(東京VENTOS) 
8位 金田智行(ロヂャースレーシングチーム) +03"



女子は谷伊央里が2連覇

女子 3位に入った坂本咲(東京都立美原高等学校)女子 3位に入った坂本咲(東京都立美原高等学校) photo:Satoru.Kato女子 谷伊央里(前橋育英高等学校)が、スプリントで細谷夢菜(さいたま市立八王子中学校)を下す女子 谷伊央里(前橋育英高等学校)が、スプリントで細谷夢菜(さいたま市立八王子中学校)を下す photo:Satoru.Kato


女子は25分+2周の決勝のみで行われた。レース序盤から昨年優勝の谷伊央里(前橋育英高等学校)と細谷夢菜(さいたま市立八王子中学校)の2人が抜け出す。逃げ切れるよう協調したと2人は、後続との差を広げながら周回を重ね、最後は「2連覇を狙っていた」と言う谷が、スプリントで細谷を下して優勝した。

女子結果
1位 谷伊央里(前橋育英高等学校)    33'26"235
2位 細谷夢菜(さいたま市立八王子中学校) 
3位 坂本咲(東京都立美原高等学校)      +49"
4位 西方舞(群馬県立勢多農林高等学校 
5位 斉藤千夏(Ready Go JAPAN) 
6位 赤塚友梨恵(Ready Go JAPAN)     +50"
7位 高橋由圭(Ready Go JAPAN) 
8位 若松陽子(Ready Go JAPAN)      +52"



中学生男子は藤井雅樹がスプリント勝ち

中学生男子 先頭を引く藤井雅樹(伊奈町立南中学校)中学生男子 先頭を引く藤井雅樹(伊奈町立南中学校) photo:Satoru.Kato3周で争われた中学生男子は、3人のゴールスプリントを藤井雅樹(伊奈町立南中学校)が制して優勝した。

結果
1位 藤井雅樹(伊奈町立南中学校)12'36"938
2位 中川涼             +02"
3位 多田れおん(GROWING R/T)  +05"

尚、高石杯は来年も同じ会場で開催される事が決まっている。併催されるさいたま市のイベントでは、地元B級グルメなどの出店やキッズのストライダーレースも行われる。来年は家族揃って出かけてみてはいかがだろうか?

text&photo:Satoru.Kato


最新ニュース(全ジャンル)