ツアー・ダウンアンダーは後半戦に突入。ピュアスプリンターたちが登りと横風に苦戦する中、"登れるスプリンター"のアンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ベリソル)が抜群のスプリントを披露した。



カンガルーの赤ちゃんを抱くカデル・エヴァンス(オーストラリア、BMCレーシングチーム)カンガルーの赤ちゃんを抱くカデル・エヴァンス(オーストラリア、BMCレーシングチーム) photo:Kei Tsuji
カデル・エヴァンス(オーストラリア、BMCレーシングチーム)はパワー表示を見ない派カデル・エヴァンス(オーストラリア、BMCレーシングチーム)はパワー表示を見ない派 photo:Kei Tsujiアデレードを訪れたクリスティアン・プリュドム氏アデレードを訪れたクリスティアン・プリュドム氏 photo:Kei Tsuji



カンガルーの赤ちゃんを抱く新城幸也(ユーロップカー)カンガルーの赤ちゃんを抱く新城幸也(ユーロップカー) photo:Kei Tsujiアデレード市内で行なわれる最終日の第6ステージを除いて、今大会唯一と言っていい平坦基調の第4ステージ。アンレーからヴィクターハーバーまでの148.5kmは、ピュアスプリンター向きと思われた。しかし、僅差の総合争いが演出したボーナスタイム争いと、ハイスピードな展開、さらにKOM直後に吹き付けた横風がスプリンターたちを悩ませた。

オリカ・グリーンエッジがコントロールするメイン集団がスプリントポイントに向かうオリカ・グリーンエッジがコントロールするメイン集団がスプリントポイントに向かう photo:Kei Tsuji第3ステージを終えた時点で、総合首位エヴァンスと総合2位ゲランスの総合タイム差は12秒。2つのスプリントポイントでボーナスタイムを獲得しようと、オリカ・グリーンエッジは序盤から全開でレースをコントロールした。

集団前方で走る新城幸也(ユーロップカー)集団前方で走る新城幸也(ユーロップカー) photo:Kei Tsujiアタックに次ぐアタックで逃げグループが形成されては、オリカ・グリーンエッジが引き戻すハイスピードな展開。ゴールスプリントさながらのリードアウトを受けたゲランスが、25km地点の第1スプリントを先頭通過してボーナスタイム3秒を獲得する。すると再びアタックの応酬が始まる。

直線的な平坦路で形成されたのは5名の逃げグループ。この中に、全日本チャンピオンジャージを着る新城幸也(ユーロップカー)の姿があった。「今日はスプリントになれば僕がエースで、僕以外の選手が逃げに乗る予定だったんです。でも(チームメイトのアタックとアタックの)間を繋ぐために飛び出した動きがそのまま決まってしまった」と新城は振り返る。

タイム差は1分、2分、3分と広がり、順調に4分のリードを築いた先頭5名。しかしティンコフ・サクソのミカエル・アンデルセン(デンマーク)が先頭交代を拒否し、新城の徹底マークを始める。5名の中から飛び出したアクセル・ドモン(フランス、アージェードゥーゼル)とキャメロン・ウルフ(オーストラリア、キャノンデールプロサイクリング)の2人を、新城は見送るしかなかった。

「タイム差が4分まで開いたところで、まだゴールまで100kmもあるのに、何故か引かない選手が出てしまった。個人的には消化不良ですが、監督命令で後ろに下がりました」と新城。「明日の第5ステージで頑張りたい」と語る新城は、力を温存して13分55秒遅れの第2集団でゴールしている。



海を眺めるKOMマイポンガを高速で駆け上がるプロトン海を眺めるKOMマイポンガを高速で駆け上がるプロトン photo:Kei Tsuji
オリカ・グリーンエッジを先頭に、KOMマイポンガを高速で駆け上がるプロトンオリカ・グリーンエッジを先頭に、KOMマイポンガを高速で駆け上がるプロトン photo:Kei TsujiKOMマイポンガでメイン集団から脱落した新城幸也(ユーロップカー)KOMマイポンガでメイン集団から脱落した新城幸也(ユーロップカー) photo:Kei Tsuji



今大会1勝目を飾ったアンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ベリソル)今大会1勝目を飾ったアンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ベリソル) photo:Kei Tsuji先頭を逃げるドモンとウルフは、ゴール53km手前のKOMマイポンガに突入。頂上が吹きっさらしのこのKOMで集団が分裂し、マルセル・キッテル(ドイツ、ジャイアント・シマノ)をはじめとするピュアスプリンターが脱落する。約60名に絞られた第1集団は、早めに先頭2名をキャッチ。キッテルらが第2集団に復帰することはなかった。

グライペルの後ろで、2位をアピールしてゴールするユルゲン・ルーランズ(ベルギー、ロット・ベリソル)グライペルの後ろで、2位をアピールしてゴールするユルゲン・ルーランズ(ベルギー、ロット・ベリソル) photo:Kei Tsuji116km地点の第2スプリントポイントは、ゲランスを下したネイサン・ハース(オーストラリア、ガーミン・シャープ)が先頭通過。こうしてハイスピードを維持しながら進行するメイン集団が、海に面したヴィクターハーバーのゴール地点に向けて突進する。

レース中盤に逃げに乗った新城幸也(ユーロップカー)がレースを振り返るレース中盤に逃げに乗った新城幸也(ユーロップカー)がレースを振り返る photo:Kei Tsujiゴール5km手前の小さな丘で飛び出したヤン・バケランツ(ベルギー、オメガファーマ・クイックステップ)らは、ゴールのわずか600m手前で吸収。登りで生き残ったロット・ベリソルのトレインが、最終ストレートでグライペルを解き放った。

観光地として知られ、この日ブライアン・クックソンUCI会長を含む6600人が参加した「ブーパチャレンジ」というライドイベントの終着地ヴィクターハーバーでグライペルがスプリント。精鋭集団の中にグライペルに敵うスプリンターは残っておらず、ユルゲン・ルーランズ(ベルギー)とのワンツー勝利が決まった。

前座のクリテリウムでキッテルに破れ、第1ステージでゲランスに破れていたグライペルが復活の勝利。大柄ながら"登れるスプリンター"としての力を見せつけた。「ここまで小さなミスで勝利を失ってきたけど、今日は自信があった。一日中ナーバスだったけど、2つ目のスプリントポイントを過ぎてからロット・ベリソルが主導権を握り、勝負に持ち込んだんだ」。

ステージ4位のゲランスはボーナスタイム獲得を逃したものの、2つのスプリントポイントで合計5秒のボーナスタイムを獲得。あわや落車というシーンが何度か見られた総合首位エヴァンスとの総合タイム差を7秒に詰めている。

翌日の第5ステージ、ウィランガヒル山頂フィニッシュで、再びエヴァンスとゲランス、そしてリッチー・ポート(オーストラリア、チームスカイ)らによる総合バトルが加熱する。「まだ何も決まったわけじゃない」。それが各陣営が出す共通のコメントだ。



表彰式で花束を受け取るアンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ベリソル)表彰式で花束を受け取るアンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ベリソル) photo:Kei Tsujiゲランスにスプリント賞ジャージを渡すブライアン・クックソンUCI会長ゲランスにスプリント賞ジャージを渡すブライアン・クックソンUCI会長 photo:Kei Tsuji

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ツアー・ダウンアンダー2014第4ステージ結果
1位 アンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ベリソル)          3h33'07"
2位 ユルゲン・ルーランズ(ベルギー、ロット・ベリソル)
3位 エリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、キャノンデールプロサイクリング)
4位 サイモン・ゲランス(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)
5位 ネイサン・ハース(オーストラリア、ガーミン・シャープ)
6位 ダリル・インピー(南アフリカ、オリカ・グリーンエッジ)
7位 マキシム・ブエ(フランス、アージェードゥーゼル)
8位 ニコライ・トルソーフ(ロシア、ティンコフ・サクソ)
9位 アントニー・ルー(フランス、FDJ.fr)
10位 フランチェスコ・ガヴァッツィ(イタリア、アスタナ)
122位 新城幸也(日本、ユーロップカー)                  +13'55"

個人総合成績
1位 カデル・エヴァンス(オーストラリア、BMCレーシングチーム)    14h19'46"
2位 サイモン・ゲランス(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)      +07"
3位 ディエゴ・ウリッシ(イタリア、ランプレ・メリダ)            +14"
4位 ネイサン・ハース(オーストラリア、ガーミン・シャープ)         +23"
5位 ロバート・ヘーシンク(オランダ、ベルキンプロサイクリング)       +30"
6位 ゲラント・トーマス(イギリス、チームスカイ)
7位 ダリル・インピー(南アフリカ、オリカ・グリーンエッジ)         +33"
8位 ロリー・スザーランド(オーストラリア、ティンコフ・サクソ)
9位 ベン・ヘルマンス(ベルギー、BMCレーシングチーム)
10位 リッチー・ポート(オーストラリア、チームスカイ)
68位 新城幸也(日本、ユーロップカー)                  +15'47"

スプリント賞
1位 サイモン・ゲランス(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)      62pts
2位 ディエゴ・ウリッシ(イタリア、ランプレ・メリダ)            42pts
3位 カデル・エヴァンス(オーストラリア、BMCレーシングチーム)       35pts

山岳賞
1位 アダム・ハンセン(オーストラリア、ロット・ベリソル)          24pts
2位 アクセル・ドモン(フランス、アージェードゥーゼル)           22pts
3位 ウィリアム・クラーク(オーストラリア、ドラパック)           20pts

ヤングライダー賞
1位 ジャック・ヘイグ(オーストラリア、UniSAオーストラリア)      14h21'04"
2位 カルロス・ベローナ(スペイン、オメガファーマ・クイックステップ)    +1'19"
3位 ケニー・エリッソンド(フランス、FRJ.fr)              +13'38"

チーム総合成績
1位 BMCレーシングチーム                        43h00'38"
2位 オリカ・グリーンエッジ                        +1'24"
3位 ガーミン・シャープ                          +1'45"

text&photo:Kei Tsuji in Adelaide, Australia
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