今大会2回目の頂上ゴールが登場したツール・ド・フランス第15ステージは、最後の1級山岳ヴェルビエで爆発的な登坂力を見せつけたアルベルト・コンタドール(スペイン、アスタナ)が、ライバルたちを圧倒してステージ優勝。この2007年ツール総合優勝者は、同時にマイヨジョーヌに袖を通した。

スイスチャンピオンを含む10名が逃げる

ニュートラルゾーンをパレード走行する選手たちニュートラルゾーンをパレード走行する選手たち photo:Makoto Ayanoこの日のコースの大部分は、2000年以来9年ぶりのスイス国内。スイスアルプスの山々を縫うように進むコースには計6つのカテゴリー山岳が設定されており、最後は標高1468mに位置するスイスアルプス有数のスキーリゾート、1級山岳ヴェルビエを駆け上がる。総合争いにおける重要な闘いになることは明らかだ。

アルプス初日の第15ステージは、雨の予報をはね除ける真っ青な晴天に恵まれた。レースは41km地点でマイヨアポワを着るフランコ・ペッリツォッティ(イタリア、リクイガス)を含む7名が飛び出すと、次々と選手が追いついて先頭グループは15名の大所帯に。

スイスの美しい山岳地帯を進むスイスの美しい山岳地帯を進む photo:Cor Vosしかしこの中にはマイヨブランを着る総合8位のトニ・マルティン(ドイツ、チームコロンビア・HTC)が入ったため、メイン集団はスピードを弱めずに追撃した。

61km地点でのライダー・ヘジダル(カナダ、ガーミン)のアタックをきっかけに先頭グループは崩壊し、危険なマルティンや山岳狙いのペッリツォッティは吸収。こうして先頭グループが10名に絞られると、ようやくレースは落ち着きを取り戻した。

手のこんだ沿道のデコレーション手のこんだ沿道のデコレーション photo:Makoto Ayano逃げに乗ったのは総合18位・3分02秒遅れのミケル・アスタルロサ(スペイン、エウスカルテル)や、ユルゲン・ファンデンブロック(ベルギー、サイレンス・ロット)、ピエリック・フェドリゴ(フランス、Bboxブイグテレコム)、そして地元スイスのチャンピオンジャージを着るファビアン・カンチェラーラ(スイス、サクソバンク)ら10名。

メイン集団はアスタナがコントロールを担い、この強力な逃げグループとのタイム差を計りながら追走。逃げにアスタルロサが入っていることもあり、結局タイム差は4分40秒を上限にして縮小傾向に転じた。

ゴールまで50kmを残して4分あったタイム差は、ヴェルビエの上りを見据えたリクイガスとアスタナの集団ペースアップによって縮小。タイム差が3分を切ると、先頭グループからはサイモン・スピラック(スロベニア、ランプレ)が飛び出し、ヴェルビエに向かって独走を始めた。

コンタドールの圧倒的登坂力

ヴェルビエの九十九折りの上りヴェルビエの九十九折りの上り photo:Makoto Ayano先頭を独走したスピラック。単独で1級山岳ヴェルビエに突入したが、メイン集団の凄まじい追い上げによりゴールまで7kmを残して吸収された。

上りでメイン集団のペースを上げたのはサクソバンクで、それまで逃げ続けていたカンチェラーラもメイン集団をハイスピードで牽引。このペースアップによってマイヨジョーヌを着るリナルド・ノチェンティーニ(イタリア、アージェードゥーゼル)や総合2位ジョージ・ヒンカピー(アメリカ、チームコロンビア・HTC)は脱落し、集団は10名に満たない精鋭グループに絞られた。

ヴェルビエでライバルたちの動きをチェックしながらアタックするアルベルト・コンタドール(スペイン、アスタナ)ヴェルビエでライバルたちの動きをチェックしながらアタックするアルベルト・コンタドール(スペイン、アスタナ) photo:Cor Vos互いに警戒しながら上りを進む有力選手たち。この中からゴールまで6kmを残して真っ先に仕掛けたのは、2007年ツール覇者のコンタドールだ。コンタドールはライバルたちに追撃を許さない異次元のスピードで、観客が詰めかけた上りを突き進む。

後方ではアンディ・シュレク(ルクセンブルク、サクソバンク)が単独で追走したが、コンタドールとのタイム差は広がるばかり。最後までペースを弱めないコンタドールは、結局Aシュレクを43秒引き離してゴールに飛び込んだ。

観客が詰めかけたヴェルビエで独走態勢に入ったアルベルト・コンタドール(スペイン、アスタナ)観客が詰めかけたヴェルビエで独走態勢に入ったアルベルト・コンタドール(スペイン、アスタナ) photo:Cor Vosランス・アームストロング(アメリカ、アスタナ)を含む精鋭グループの中からは、2番手でゴールに向かうAシュレクの兄フランク・シュレク(ルクセンブルク、サクソバンク)がカウンターアタックを仕掛け、これにブラドレー・ウィギンズ(イギリス、ガーミン)やヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、リクイガス)が合流。

遅れてカルロス・サストレ(スペイン、サーヴェロ)が合流したこの追走グループは、コンタドールから1分03秒遅れでニーバリを先頭にゴール。ロマン・クロイツィゲル(チェコ、リクイガス)が遅れる中、ニーバリはリクイガスのエースを勤め上げた。

コンタドールを単独で追走したアンディ・シュレク(ルクセンブルク、サクソバンク)コンタドールを単独で追走したアンディ・シュレク(ルクセンブルク、サクソバンク) photo:Cor Vosアームストロングはこれらのライバルたち動きに反応出来ず、アンドレアス・クレーデン(ドイツ、アスタナ)にアシストされながらタイムロスを最小限に抑える走りで1分35秒遅れ。精彩を欠いたが何とか総合2位の座は守った。

この日の結果を受け、ステージ優勝のコンタドールがマイヨジョーヌを手にした。アームストロングが1分37秒遅れで続き、アスタナが総合ワンツー体制。加えてクレーデンが総合4位だ。

ランス・アームストロング(アメリカ、アスタナ)を含む有力グループランス・アームストロング(アメリカ、アスタナ)を含む有力グループ photo:Cor Vosクライマー系オールラウンダーが活躍する中、本来TTスペシャリストのウィギンズはステージ5位と大健闘し、総合3位に浮上した。エースのクリスティアン・ヴァンデヴェルデ(アメリカ)が失速するガーミンは、完全にこのウィギンズの総合表彰台を視野に入れる。

ステージ2位に入ったAシュレクは総合5位に浮上。同時にマイヨブランを獲得した。この日の走りを見る限り、最強コンタドールに山岳で勝負を挑めるのはこのAシュレクしかいない。総合争いにおけるアスタナ最大のライバルはサクソバンクだ。

お得意のバキューンポーズでゴールするアルベルト・コンタドール(スペイン、アスタナ)お得意のバキューンポーズでゴールするアルベルト・コンタドール(スペイン、アスタナ) photo:Cor Vos日本人選手は別府史之(スキル・シマノ)がトップから5分52秒遅れのステージ57位と健闘した。スキル・シマノのエーススプリンター、ファンケニーロバート・ファンヒュンメル(オランダ)は、集団から早々に脱落しながらも単独で走って何とか制限時間内にゴールしている。新城幸也(Bboxブイグテレコム)は有力スプリンターを含むグルペットでヴェルビエを攻略した。

コンタドールの圧勝で幕を下ろしたアルプス初日。総合争いは休息日を経て第16ステージから再び動き出す。怒濤のツール3週目は、一つとして気が抜けるステージがない。


ツール・ド・フランス2009第15ステージ結果
1位 アルベルト・コンタドール(スペイン、アスタナ)5h03'58"
2位 アンディ・シュレク(ルクセンブルク、サクソバンク)+43"
3位 ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、リクイガス)+1'03"
4位 フランク・シュレク(ルクセンブルク、サクソバンク)+1'06"
5位 ブラドレー・ウィギンズ(イギリス、ガーミン)
6位 カルロス・サストレ(スペイン、サーヴェロ)
7位 カデル・エヴァンス(オーストラリア、サイレンス・ロット)+1'26"
8位 アンドレアス・クレーデン(ドイツ、アスタナ)+1'29"
9位 ランス・アームストロング(アメリカ、アスタナ)+1'35"
10位 キム・キルシェン(ルクセンブルク、チームコロンビア・HTC)+1'55"
11位 ロマン・クロイツィゲル(チェコ、リクイガス)+2'06"
12位 トニ・マルティン(ドイツ、チームコロンビア・HTC)+2'13"
57位 別府史之(日本、スキル・シマノ)+5'52"
147位 新城幸也(日本、Bboxブイグテレコム)+18'12"

マイヨジョーヌ(個人総合成績)
1位 アルベルト・コンタドール(スペイン、アスタナ)63h17'56"
2位 ランス・アームストロング(アメリカ、アスタナ)+1'37"
3位 ブラドレー・ウィギンズ(イギリス、ガーミン)+1'46"
4位 アンドレアス・クレーデン(ドイツ、アスタナ)+2'17"
5位 アンディ・シュレク(ルクセンブルク、サクソバンク)+2'26"
6位 リナルド・ノチェンティーニ(イタリア、アージェードゥーゼル)+2'30"
7位 ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、リクイガス)+2'51"
8位 トニ・マルティン(ドイツ、チームコロンビア・HTC)+3'07"
9位 クリストフ・ルメヴェル(フランス、フランセーズデジュー)+3'09"
10位 フランク・シュレク(ルクセンブルク、サクソバンク)+3'25"
129位 別府史之(日本、スキル・シマノ)+1h42'28"
143位 新城幸也(日本、Bboxブイグテレコム)+1h53'03"

マイヨヴェール(ポイント賞)
1位 トル・フースホフト(ノルウェー、サーヴェロ)218pts
3位 マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、チームコロンビア・HTC)200pts
3位 ホセホアキン・ロハス(スペイン、ケースデパーニュ)126pts

マイヨアポワ(山岳賞)
1位 フランコ・ペッリツォッティ(イタリア、リクイガス)109pts
2位 エゴイ・マルティネス(スペイン、エウスカルテル)101pts
3位 ピエリック・フェドリゴ(フランス、Bboxブイグテレコム)65pts

マイヨブラン(新人賞)
1位 アンディ・シュレク(ルクセンブルク、サクソバンク)63h20'22"
2位 ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、リクイガス)+25"
3位 トニ・マルティン(ドイツ、チームコロンビア・HTC)+41"

チーム総合成績
1位 アスタナ 188h22'49"
2位 アージェードゥーゼル +1'17"
3位 サクソバンク +2'14"

第15ステージ敢闘賞
サイモン・スピラック(スロベニア、ランプレ)

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