開催100回目を迎えたツール・ド・フランスが、6月29日、地中海に浮かぶコルシカ島で開幕。新城幸也(ユーロップカー)も出場した3週間の闘いをはじめ、7月と8月の海外ロードレースを振り返り!



7月

グリーンエッジのバスの屋根がゴール地点のバナーアーチに接触。白い煙を吹き出すグリーンエッジのバスの屋根がゴール地点のバナーアーチに接触。白い煙を吹き出す photo:Makoto.Ayano

モンヴァントゥーを独走で登るクリス・フルーム(イギリス、スカイプロサイクリング)モンヴァントゥーを独走で登るクリス・フルーム(イギリス、スカイプロサイクリング) photo:Makoto.AYANO6月29日に地中海に浮かぶコルシカ島でグランデパールを迎えたツール・ド・フランス。記念すべき第100回大会は、オリカ・グリーンエッジのチームバスがフィニッシュゲートに衝突するというハプニングで幕開ける。初日のゴールスプリントを制したのは、最終的にシャンゼリゼを含むステージ4勝を飾るマルセル・キッテル(ドイツ、アルゴス・シマノ)だった。

逃げグループを率いる全日本チャンピオンジャージの新城幸也(日本、ユーロップカー)逃げグループを率いる全日本チャンピオンジャージの新城幸也(日本、ユーロップカー) photo:A.S.O.その後マイヨジョーヌはキッテルからヤン・バケランツ(ベルギー、レディオシャック・レオパード)、サイモン・ゲランス(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)、ダリル・インピー(南アフリカ、オリカ・グリーンエッジ)と繋いで、第8ステージで早くもクリス・フルーム(イギリス、スカイプロサイクリング)の手に渡る。

モンサンミッシェルを走るクリス・フルーム(イギリス、スカイプロサイクリング)モンサンミッシェルを走るクリス・フルーム(イギリス、スカイプロサイクリング) photo:Makoto.AYANO前年後のツールでウィギンズの総合優勝をお膳立てした本命フルームが、盤石の走りで総合優勝街道を邁進。アクス・トロワ・ドメーヌとモンヴァントゥーの頂上ゴールを制し、個人タイムトライアルでステージ3勝目をマーク。終わってみれば総合下位を4分以上引き離す圧勝だった。

シャンゼリゼでの最終ゴールスプリントを制したマルセル・キッテル(ドイツ、アルゴス・シマノ)シャンゼリゼでの最終ゴールスプリントを制したマルセル・キッテル(ドイツ、アルゴス・シマノ) photo:Cor Vos表舞台に帰ってきたアルベルト・コンタドール(スペイン、サクソ・ティンコフ)が輝きを見せることが出来ない中、総合2位に入ったのはコロンビアの若きクライマー、ナイロ・クインターナ(コロンビア、モビスター)。最終アヌシー・セムノス決戦を制したクインターナはマイヨブランアポワルージュ(山岳賞)とマイヨブラン(新人賞)まで手に入れ、名実共に世界最高峰のオールラウンダーの仲間入りを果たす。マイヨヴェール(ポイント賞)争いは今年もペーター・サガン(スロバキア、キャノンデールプロサイクリング)の独壇場だった。

直前の全日本選手権でナショナルチャンピオンジャージを手に入れ、4度目のツール出場を果たした新城幸也(ユーロップカー)は、第5ステージでロングエスケープを仕掛けて一時はバーチャルリーダーに。しかしステージ優勝とマイヨジョーヌの夢はスプリンターチームに砕かれている。第12ステージでの落車で腕や肋骨を痛めたが、アシストの任務をこなしながら総合99位でシャンゼリゼにたどり着いている。

スペイン・バスク地方を舞台にしたクラシカ・サンセバスティアンで残り15kmを独走したのはトニー・ギャロパン(フランス、レディオシャック・レオパード)。1週間前のツールを消化不良のまま終えたギャロパンがキャリア最大の勝利を手にしている。

また、ポーランドでは7月27日にツール・ド・ポローニュが開幕。トル・フースホフト(ノルウェー、BMCレーシングチーム)が復活の兆しを見せるステージ2勝を飾り、ジロ・デ・イタリアを失意のままリタイアしたブラドレー・ウィギンズ(イギリス、スカイプロサイクリング)が個人TTで優勝する。総合優勝はピーター・ウェーニング(オランダ、オリカ・グリーンエッジ)。

ロードシーズンが盛期を迎えるその一方で、1996年から6年連続ツール・ド・フランスでマイヨヴェールを獲得したエリック・ツァベル(ドイツ)が、過去のドーピング使用を告白。バスクのエウスカルテル・エウスカディが19年の歴史に幕を下ろすなど、暗いニュースがロードレース界を覆った。



8月

メイン集団を長時間牽引する増田成幸(キャノンデールプロサイクリング)メイン集団を長時間牽引する増田成幸(キャノンデールプロサイクリング) photo:Cor Vos

エネコツアーを制したゼネク・スティバル(チェコ、オメガファーマ・クイックステップ)エネコツアーを制したゼネク・スティバル(チェコ、オメガファーマ・クイックステップ) photo:Cor Vosベルギーとオランダを舞台にしたエネコツアーには宮澤崇史(サクソ・ティンコフ)が出場。石畳や急坂を含むステージレースで、ステージ2勝を飾った元シクロクロス世界チャンピオンのゼネク・スティバル(チェコ、オメガファーマ・クイックステップ)が逆転総合優勝を飾ってみせた。

第1ステージ エルミガーに敗れ、ハンドルを叩いて悔しがる新城幸也(日本、ユーロップカー)第1ステージ エルミガーに敗れ、ハンドルを叩いて悔しがる新城幸也(日本、ユーロップカー) photo:Miwa Iijimaアメリカではツアー・オブ・ユタUSAプロチャレンジが開催され、増田成幸(キャノンデールプロサイクリング)と西薗良太(日本、チャンピオンシステム)の両名が連戦出場。

高地の本格的な山岳ステージでアメリカを代表するオールラウンダーたちがしのぎを削り、トム・ダニエルソン(アメリカ、ガーミン・シャープ)がツアー・オブ・ユタで、ティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、BMCレーシングチーム)がUSAプロチャレンジで総合優勝に輝いている。

フランスのツール・デュ・リムザンには、大会連覇が懸かった新城幸也(ユーロップカー)が出場。初日から果敢に攻撃を仕掛けたユキヤは、ゴールスプリントで敗れて2位に。4日間を通して終始攻撃的に動いたものの、初日についた秒差を最後まで埋めることが出来ずに総合2位フィニッシュ。3秒差で大会連覇を逃している。

ドイツ最大のロードレースであるヴァッテンフォール・サイクラシックスはゴールスプリントに持ち込まれ、キッテルとともに同国を牽引するジョン・デゲンコルブ(ドイツ、アルゴス・シマノ)が勝利。8月24日開幕のグランツール最終戦ブエルタ・ア・エスパーニャの模様を含め、シーズン終盤の模様はvol.4にて!

text:Kei Tsuji