UCI(国際自転車競技連合)が12月18日付けのプレスリリースで発表したところによると、ジャパンカップ期間中に採取されたマイケル・ロジャース(オーストラリア、サクソ・ティンコフ)の尿サンプルからクレンブテロールの陽性反応が検出。ロジャースは食物汚染を主張している。



最終周回に差し掛かるマイケル・ロジャース(オーストラリア、サクソ・ティンコフ)最終周回に差し掛かるマイケル・ロジャース(オーストラリア、サクソ・ティンコフ) photo:Kei Tsuji
プレスリリースによると、ロジャースがジャパンカップに勝利した10月20日、レース後に行なわれたドーピング検査で採取された尿サンプルから禁止薬物クレンブテロールの「違反が疑われる分析結果(AAF)」が出た。検査を行なったのは東京にあるWADA(世界アンチドーピング機構)の認証研究機関。アンチドーピング規約に則り、即時ロジャースは暫定的な出場停止状態に置かれている。

表彰台に登るマイケル・ロジャース(オーストラリア、サクソ・ティンコフ)表彰台に登るマイケル・ロジャース(オーストラリア、サクソ・ティンコフ) photo:Kei Tsujiサクソ・ティンコフの発表によると、ロジャースはチーム運営陣に対し、意図的にクレンブテロールを摂取した事実はないと説明。クレンブテロールに汚染された食べ物が陽性反応の原因ではないかと主張している。

ロジャースは10月中旬にかけてツアー・オブ・北京(UCIワールドツアー)に出場し、そのまま中国から日本に移動。雨降りしきるジャパンカップで独走勝利を飾った。陽性反応が検出されたのはAサンプルで、ロジャースはBサンプルの再検査を要請する権利を有する。

クレンブテロールは、2010年ツール・ド・フランス期間中のドーピング検査でアルベルト・コンタドール(スペイン)に陽性反応が検出されて話題に上った物質。減量作用や気管支拡張作用があるためスポーツ界では禁止薬物に指定されているが、畜産業界では肉質向上目的で飼料に混ぜられることもある。現在多くの国では使用が禁止されているものの、中国やメキシコでは一般的に使用されているという。コンタドールはクレンブテロールに汚染されたスペイン産の牛肉が原因であると主張したが、最終的に2年間の出場停止処分が与えられ、ツール総合優勝を含めたタイトルが剥奪されている。

text:Kei Tsuji