11月2〜4日の3日間で開催されたサイクルモードインターナショナル。今年のトレンドや傾向、そして注目のプロダクツやステージイベントをダイジェストでレポートします。

2013年は530のブランドから1,058台の自転車、446台の試乗車が用意されている2013年は530のブランドから1,058台の自転車、446台の試乗車が用意されている ここ数年で急速に発展を遂げたサイクリングブームが落ち着きを見た現在。新たにスポーツバイクを始めたいという需要は変わらず存在しているが、既にバイクを購入しビギナーの域を脱した、もしくは脱しようとしている層は今、新たな自転車の楽しみ方を探し求めている段階だ。

クロスバイクやロードバイクを乗り慣れて、次はグランフォンドに代表されるロングライドなのか、ストイックなレースにチャレンジか、お洒落に自転車と付き合うのか、はたまたMTBなど違うカテゴリーに進んでみるのか等々…。このように多様化、成熟化する動きがシクロクロスや、ハンドメイドバイクのブームを押し進めていると言っても良いだろう。

多様化するニーズに応える小規模ブランドの出展が目立った多様化するニーズに応える小規模ブランドの出展が目立った 「サイクルツーリズム」を打ち出す各地方自治体がブースを出展。ゆるキャラも参加した「サイクルツーリズム」を打ち出す各地方自治体がブースを出展。ゆるキャラも参加した

ウィーラースクールでは、実用車にも言及し安全について講義していたウィーラースクールでは、実用車にも言及し安全について講義していた Girls Bike cabinブースは今年も盛況Girls Bike cabinブースは今年も盛況


こうした国内自転車ブームの変化に合わせ、トレンドを紹介するサイクルモードも年々変化を止めていない。大手ブランドが出展しない一方で勢いを増しているのが「サイクルツーリズム」を打ち出す各地方自治体と、ニッチなパーツやアイテムを紹介する新興海外メーカーや小規模ブランドの数々だ。

今年、その中でも最も力を入れてアピールしていたのは沖縄県だった。ブースでは新城幸也を始めとした沖縄出身選手のトークショーや各イベントの紹介に加え、エイドステーションで用意される"ならでは"の補給食を味わえるなど盛りだくさんの内容で、常にブースは満員状態。その他千葉サイクリング協会から「チーバくん」、奈良の「せんとくん」、屋久島の「セ・キノコ」などゆるキャラも登場し人気を博していた。

アンカーのブースは完全事前予約制で、コンシェルジュがマンツーマンで対応してくれたアンカーのブースは完全事前予約制で、コンシェルジュがマンツーマンで対応してくれた 福島康司さん主宰の「こ〜ぢ倶楽部」はスポーツ自転車の乗り方を徹底レクチャー福島康司さん主宰の「こ〜ぢ倶楽部」はスポーツ自転車の乗り方を徹底レクチャー


今年のプロダクトトレンドはフィッティングとパワーメーター、ロード用ディスクブレーキ

少々マーケティングに関する前置きが長くなったが、ここからは各ブースに並んだトレンディな製品やシステムを、各カテゴリーごとにピックアップしていきたいと思う。まず取り上げたいのは、シマノが発表したフィッティングシステム。

画期的なシマノのフィッティングシステムがデビューした画期的なシマノのフィッティングシステムがデビューした
フィッティングシステムは講演の度に多くのギャラリーが集まったフィッティングシステムは講演の度に多くのギャラリーが集まった 専用のマシンを使うこのシステムの特徴は、「短時間でベストなポジションを出す事ができ、更にペダリングのパワーやベクトルの方向を算出可能」としていること。身長など身体の数値を入力し、モーションキャプチャーを使って柔軟性を計ると自動的に計算を行い、ベストはポジションが出せるという画期的なシステムで、更に各メーカーのバイクのジオメトリーがデータ化されているため、自分に合ったベストはバイクを選択可能という。

またペダルのどの位置を踏めているか、クランクがどの状態の時に推進力が生まれているかなども可視化されているため、より効率の良くトレーニングする事も可能だ。詳細はムービーをご覧頂きたいが、わずか30分ほどで施術を行う事ができるこのシステムは大きな注目を集めており、「これ目当てに来た」というショップスタッフもかなり多く話題を呼んでいた。



そしてコアなレーサーから注目を集めるパワーメーターも、今回サイクルモードを彩った製品だ。特に発表されたばかりのパイオニア製パワーメーターと、ガーミンのVECTOR、そしてローターのROTOR POWERは注目の的であった。まだ国内未入荷の製品も多いこのジャンル、果たしてどのような伸びを見せるのだろうか。

ベルキン・プロサイクリングと共同開発したパイオニアのパワーメーターベルキン・プロサイクリングと共同開発したパイオニアのパワーメーター 発表されたばかりのペダル式パワーメーター、ガーミン・VECTOR発表されたばかりのペダル式パワーメーター、ガーミン・VECTOR

ROTOR POWERを使ってパワーウェイトレシオを計るイベントを開催ROTOR POWERを使ってパワーウェイトレシオを計るイベントを開催 ポラールのケオパワーペダル。インターマックスブースで体感できたポラールのケオパワーペダル。インターマックスブースで体感できた


また、国内に訪れているシクロクロスブームを反映し、CXバイクの展示量が昨年を確実に上回っていたこともトピックスの一つだ。

従来から存在したカンチブレーキ仕様車に代わり、最新鋭のロード用ディスクブレーキ搭載車が勢力を築いていたことが印象的であったが、ロードバイクと比べ未だマイナー競技であることは変わらないため、ベルギーブランドやハンドメイド系ブランドがより注力している印象。今後大手ブランドがどう参入してくるかに注目したいところだ。

シクロクロスバイクの展示量は昨年を上回っていたシクロクロスバイクの展示量は昨年を上回っていた グラベルロード+油圧ディスクブレーキ。遊び自転車の最新系グラベルロード+油圧ディスクブレーキ。遊び自転車の最新系


今回見た限りではロード用油圧ディスクブレーキの試乗車は無かったものの、ミズタニ自転車のブースではSMPサドルのテスト用バイクにシマノ製油圧ディスクブレーキが搭載されており、握りや効きを体感する事ができた。シマノに先駆けてデビューさせたSRAM・REDの油圧式ディスクブレーキ装備車はピナレロやグエルチョッティ、ストークなどのブースに展示があった。


蛍光カラーブームは継続中 次なるはアースカラー

現在、世界的にスポーツエキップメントでは蛍光カラーが流行を見せているが、2014年モデルが並んだ今回のサイクルモードでもその存在感は未だ揺るぎないものだった。

2014年モデルでも今だ蛍光カラーブームは継続中2014年モデルでも今だ蛍光カラーブームは継続中
蛍光カラーブームを牽引しているのは主にイタリアをはじめとしたヨーロッパブランド蛍光カラーブームを牽引しているのは主にイタリアをはじめとしたヨーロッパブランド GIROは蛍光カラーも揃える一方、次なるブームと言われるカモフラージュカラーの製品を投入GIROは蛍光カラーも揃える一方、次なるブームと言われるカモフラージュカラーの製品を投入


またイタリアをはじめヨーロピアンブランドにその傾向が強い一方で、ジロなどアメリカ系ブランドでは、次なるトレンドとして迷彩などアースカラーを取り入れた製品も展示されていた。話を聞く限り、これからはダークグリーンやブラウン、オフホワイトなど落ち着いたカラーが流行だろうとのことだ。


大物ゲストが次々と登場したステージイベント 自転車名人発表や、JBCF表彰式も

メイン会場に設置されたメインステージでは、今年も3日間ほぼ絶え間無く様々なイベントが開催されていた。初日の注目はトライアスロンに打ち込んでいる"ホリエモン"こと堀江貴文氏のトークショーで、学生時代は自転車部に所属していたというエピソードも披露された。

トークショーを行うホリエモンこと堀江貴文氏トークショーを行うホリエモンこと堀江貴文氏 シマノの国内サポート選手を集めたトークショーは危うい裏話が噴出!シマノの国内サポート選手を集めたトークショーは危うい裏話が噴出!

大盛況だったアキコーポレーションブースでの新城幸也(ユーロップカー)のトークショー大盛況だったアキコーポレーションブースでの新城幸也(ユーロップカー)のトークショー キャノンデールチャンピオンシステムの3選手によるトークショーキャノンデールチャンピオンシステムの3選手によるトークショー


また、「日本人がツール・ド・フランスで勝つために」と銘打った日本ジュニアとU23チームのコーチを務める柿木孝之氏によるトークショーの他、最終日には新城幸也と別府史之による「サムライプレミアムトークライブ」、豊岡英子&池本真也によるシクロクロス座談会も開催されるなど、幅広いジャンルのコンテンツが充実。

別府史之と新城幸也が登場した「サムライプレミアムトークライブ」別府史之と新城幸也が登場した「サムライプレミアムトークライブ」
また、JBCF(全日本実業団自転車競技連盟)による年間シリーズ表彰が行われ、Jプロツアーはホセ・ビセンテ(チーム右京)、U23は西村大輝(シマノレーシング)、Jフェミニンツアーは豊岡英子らが受賞。ステージイベントの最後を華やかな雰囲気に飾った。(詳しくは別記事をご覧下さい)。各注目ステージイベントはムービーに収録。注目のブースイベントを合わせ、追って記事紹介します。

谷垣禎一法務大臣が五代目「自転車名人」に就任

一昨年の片山右京さんに続いて自転車名人に就任した谷垣氏は、「私は歴代の名人の中で最も年配。お年寄りの方々に正しい乗り方を伝え、政治の面から自転車環境を整備していきたい。」と意気込みを語った。


"日本最大級のスポーツ自転車フェスティバル"として開催されるサイクルモード。変化を続けながらも、メーカーの最新モデルが一同に会する貴重なイベントだ。また来年は、どんなトレンドを運んできてくれるのか期待せずにはいられない。

シクロワイアードでは、後日よりサイクルモード各ブース注目の製品やトピックスを、"気になる逸品"紹介記事として順次掲載予定です。担当者に聞いた開発裏ストーリーや、海外VIPのインタビューもお届けしますのでご期待下さい。


text:So.Isobe
photo:CW編集部


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