10月で2014シーズンに切り替わったアジアツアー。その“王道”とも言える、南国インドネシアでのステージレース、ツール・ド・イジェンが開幕した。世界選手権に繋がるUCIポイントを獲得すべく、日本から3チームが参加し、初日を終えて、ガルシア・ビセンテ(マトリックスパワータグ)、清水都貴(日本ナショナル)、木守望(愛三工業レーシング)が好スタートを切った。

たくさんのオートバイが行き交う街角で、レースは開催されているたくさんのオートバイが行き交う街角で、レースは開催されている Photo : Sonoko TANAKA
ホテルでレースの準備をする愛三工業レーシング。アジアツアーの常連チームとなり、しっかりと結果を残すホテルでレースの準備をする愛三工業レーシング。アジアツアーの常連チームとなり、しっかりと結果を残す Photo : Sonoko TANAKAイジェン火山に登る4日間の南国レース

11月2日から5日まで、4日間の日程で開催されるステージレース、ツール・ド・イジェン(UCI2.2)が開幕した。レースの舞台となるのは、インドネシアのジャワ島東部、バニュワンギという街を中心にしたエリアで、活火山であるイジェン山の麓でレースは開幕し、最終日には、その火山に登る山頂ゴールが控えている。標高1876m、最大勾配は22%ととも言われ、ここでの頂上決戦が、総合優勝の大きな決め手になるだろう。

ツール・ド・イジェンは昨年始まったばかりのフレッシュなレースだ。火山や美しいビーチなど観光名所はたくさんあるものの、アクセスの悪さ(バリ島の国際空港が最寄り空港となるが、そこから車とフェリーで6時間以上かかる)から、なかなか観光客が寄り付かないこともあって、自転車レースを開催することで、観光地としてのアピールや地域の活性化を図る。

スタートを待つ木守望(愛三工業レーシング)スタートを待つ木守望(愛三工業レーシング) Photo : Sonoko TANAKA20チーム、73名の選手がスタートラインに立った

参加チームは12カ国、20チーム。日本からは、愛三工業レーシング、マトリックスパワータグ、ナショナルチームの3チームが参加している。

若手中心のメンバーで挑む愛三工業レーシング別府匠監督は「1ステージ、1ステージを大事に走っていきたい。周りのチームの動きをよく読んで対応したいと思う。2013年のアジアツアーランキングでは、あまりポイントを獲ることができなかったこともあり、シーズンとしては終わりになりますが、アジアツアーのランキングは10レース前に打ち合わせをする池部壮太(マトリックスパワータグ)とホアン監督レース前に打ち合わせをする池部壮太(マトリックスパワータグ)とホアン監督 Photo : Sonoko TANAKA月に切り替わっていて、この時期のポイントが後半戦にも響いてくるので、しっかりとポイントを稼ぎたいと思います」と話す。

日本ナショナルチームは、直前になってメンバーが入れ替って、清水都貴(ブリヂストンアンカー)が加わり、
吉田隼人(シマノレーシング)、徳田鍛造(鹿屋体育大学/NIPPO・デローザ)、六峰亘(ブリヂストンアンカー)、中根英登(NIPPO・デローザ)というメンバー構成。高橋松吉監督は「登坂の厳しいコースですが、清水や中根を軸にしてチームとして連携して動ける、結果を残せるメンバーが揃いました。これまで若手中心でナショナルチームは構成されることが多かったですが、若手だけでなくエリートカテゴリーの選手も組み入れて、よりポイントを稼げるようにしたいと思っています。アジアツアーのレースにもこれまで以上に積極的に参加する予定です」とコメントする。

またマトリックスは5人の出場枠に対して4人での出走となるが、ステージ優勝を狙い、スプリントも山岳も強いガルシア・ビセンテ(スペイン)がエースとなる。

ツール・ド・イジェンに参戦する日本ナショナルチームのメンバーツール・ド・イジェンに参戦する日本ナショナルチームのメンバー Photo : Sonoko TANAKA
イスラム教のモスクの前を通り過ぎる選手たちイスラム教のモスクの前を通り過ぎる選手たち Photo : Sonoko TANAKA
単独で先頭を走るジェイソン・クリスティ(ニュージーランド、OCBCシンガポール)はタイムトライアルのスペシャリストだ単独で先頭を走るジェイソン・クリスティ(ニュージーランド、OCBCシンガポール)はタイムトライアルのスペシャリストだ Photo : Sonoko TANAKAビセンテ、清水都貴が好スタート

第1ステージはバニュワンギ市街で開催された12kmの周回コースを10周半する128kmのサーキットレースだった。序盤から激しいアタックがかかり、17名の先頭集団が形成され、徐々に人数を減らしながらも、清水、木守望(愛三工業レーシング)、ビセンテらが先頭集団でレースを展開し、後続からタイム差を奪う。残り4周回になり、ジェイソン・クリスティ(ニュージーランド、OCBCシンガポール)が先頭集団から単独アタックを仕掛けて先行。そのまま逃げ切り勝利を飾った。

10人ほどの追走集団は、あいまいなタイム表示に戸惑いながら2位グループでのスプリントをソウラビ・メディ(イラン、タブリーズペトロケミカル)が制し、ガルシア・ビセンテ(スペイン)が2番手に続く2位グループでのスプリントをソウラビ・メディ(イラン、タブリーズペトロケミカル)が制し、ガルシア・ビセンテ(スペイン)が2番手に続く Photo : Sonoko TANAKAも、集団から約4分半のリードを保ってフィニッシュ。ビセンテがステージ3位、清水が4位、木守が5位と続き、登坂に強いビセンテと清水は総合順位で優位に付ける。

清水都貴のコメント
「今日はキツかったですね。今回のメンバーで総合を狙うなら、自分が引いてでも、後ろを引き離したかった。結果として山で強力と思われるイラン勢をすべて後ろの集団に置いていくことができたので良かったです。タイム差が混乱していて、ラスト2周で1分と表示されてダメかな、と思ったんですが、次の周回では3分と表示された。逃げ切れる可能性を信じて、一生懸命走りました。このあとのステージでは、変なふうに集団が割れて取り残されるようなことがなければ、総合はいけると思うので、きっちり、ミスがないように前のほうで走っていきたいと思います」

明日の第4ステージは、400m級の山を2つ越える190kmのコースで大会最長距離となる。灼熱の太陽のもと、厳しいレースになるだろう。

レース終盤、追走集団の先頭を引く清水都貴(日本ナショナル/ブリヂストンアンカー)レース終盤、追走集団の先頭を引く清水都貴(日本ナショナル/ブリヂストンアンカー) Photo : Sonoko TANAKA

ツール・ド・イジェン2013 第1ステージ結果
1位 ジェイソン・クリスティ(ニュージーランド、OCBCシンガポール)3h04'32"
2位 ソウラビ・メディ(イラン、タブリーズ・ペトロケミカル) +1'17"
3位 ガルシア・ビセンテ(スペイン、マトリックスパワータグ)    
4位 清水都貴(日本ナショナル/ブリヂストンアンカー)
5位 木守望(愛三工業レーシング)
6位 ゴー・チョーンフア(シンガポール、OCBCシンガポール)

総合順位
1位 ジェイソン・クリスティ(ニュージーランド、OCBCシンガポール)3h04'32"
2位 ソウラビ・メディ(イラン、タブリーズ・ペトロケミカル) +1'22"
3位 ガルシア・ビセンテ(スペイン、マトリックスパワータグ)     +1'25"
4位 木守望(愛三工業レーシング) +1'29"
5位 清水都貴(日本ナショナル/ブリヂストンアンカー) +1'30"
6位 ゴー・チョーンフア(シンガポール、OCBCシンガポール)

ポイント賞
シャハルール・アミン(マレーシア、トレンガヌ)

チーム総合順位
OCBCシンガポール

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