岡篤志と坂口聖香が出場した今年のロード世界戦ジュニア個人TT。レースに帯同した日本自転車競技連盟ジュニア強化育成部・柿木孝之コーチからのレポートをお届けする。

ジュニア女子TT 宮島マッサーと西メカニックと。レース経験豊富な2人のサポートを受けてリラックスしてTTに臨めた坂口ジュニア女子TT 宮島マッサーと西メカニックと。レース経験豊富な2人のサポートを受けてリラックスしてTTに臨めた坂口 photo:Takayuki KAKINOKI今年9月にイタリアで行われたロード世界選手権。日本自転車競技連盟ジュニア強化育成部会員の柿木孝之氏がジュニアのコーチとして選手に帯同。レース中も伴走車から檄を飛ばしつつサポート、期間を通じてジュニア選手たちに最も近い位置にいた柿木氏からのレポートを紹介する。その第1弾は男女個人タイムトライアル。
ジュニア女子TTウォーミングアップ中の坂口ジュニア女子TTウォーミングアップ中の坂口 photo:Takayuki KAKINOKI
2013世界選手権TT ジュニア男女レポート  

  日本自転車競技連盟ジュニア強化育成部会員 柿木孝之
ジュニア女子TT 坂口がドゥオーモ横を走り抜けるジュニア女子TT 坂口がドゥオーモ横を走り抜ける photo:Takayuki KAKINOKI
今年の世界選手権TTにはジュニアからは強化合宿で年間を通して力をみせ、全日本選手権ジュニアTTにおいても好タイムで優勝した岡篤志(キャノンデール・チャンピオンシステム)と坂口聖香(パナソニックレディース)の男女1名が参加した。

ジュニア男子とエリート女子は同じコースで行なわれるが、ジュニア女子はその一部を短縮して、直線の長い平坦路が他のカテゴリーより短くなっている。コースはほぼ平坦であり、唯一登りといえるのは線路の高架のみ。コース前半はコーナーの少ない一直線の道で、コース中盤は狭いコーナーや石畳の連続するフィレンツェ市街の真ん中を抜ける。

コース後半は直線と道幅の広いコーナーが多い。コース前半の長い直線路では力が求められ、中盤はバイクを操る能力、コースをしっかり読み込む目を、そして後半は力と高速コーナーを抜ける技術の求められるコース設定になっている。
ジュニア女子TT フィレンツェ市街の石畳区間を走る坂口ジュニア女子TT フィレンツェ市街の石畳区間を走る坂口 photo:Takayuki KAKINOKI
ジュニア女子TT

ジュニア女子は46名が参加し、16.19kmの距離で争われた。無風条件の中、坂口はレース前半の力が求められる直線路では42km/h-44km/hあたりのスピードで進むが、8.5kmの計測地点ではトップ選手とは1分以上離される。それでも狭いコーナーの多い街中のテクニカル区間では道幅をうまく利用してスピードを落とさず走る技術をみせる。ゴール直前では危うく先導のバイクの誘導路に入り込むところであったが最後まで力を出し切りゴール。トップから1分33秒遅れの36位(40.292km/h)であった。

コース前半の直線のパワーが必要な区間では41位と大きく出遅れたが、街中のコーナーの多いテクニカル区間を含む後半のタイムは25位と大きくタイムを縮めている。ジュニア女子はTT参加46名中ジュニア1年目の選手は坂口を含め11名であり、その中で上位に入ったのは3位の選手のみであった。1年間のジュニア強化合宿の走りからTTの能力が大きく向上しているのが伺えたが、世界の壁はまだ高かった。早生まれの坂口は高校3年だがもう1年ジュニアとして走れる。勝負の年となる来年は更なる能力の向上が求められる。

結果
ジュニア女子TT 16.19km
1位 Eraud Severine フランス 22分42秒63
2位 Nicholls Alexandria オーストラリア 22分45秒32
3 位Manly Alexandra オーストラリア 22分50秒80

36位 坂口聖香 24分06秒51

ジュニア男子TT

ジュニア男子TT TTバイクのチェックを受ける岡ジュニア男子TT TTバイクのチェックを受ける岡 photo:Takayuki KAKINOKIジュニア男子TT スタート台の岡ジュニア男子TT スタート台の岡 photo:Takayuki KAKINOKI今年のジュニア男子TTには例年より参加人数が多く84名が出走した。ここ2年間のジュニア強化合宿においてTTでの大きな成長をみせた岡は、スタートして最初の長い無風条件の直線路を低い姿勢で50km/hを少し下回るあたりを維持して進む。この日数回落車が発生した2つ目の狭い直角コーナーではコースアウトしてしまうが、うまく立て直すことが出来た。フィレンツェ市内のテクニカルコーナーが続く区間に入る前に岡に装着した無線が入りっぱなしの状態になり、チームカーからの細かなコースの伝達が出来なくなってしまう。
ジュニア男子TT 2段コーナーを鋭くインに攻め込む岡ジュニア男子TT 2段コーナーを鋭くインに攻め込む岡 photo:Takayuki KAKINOKI
それでも街中の狭いコーナーを果敢に攻め、見ていてもヒヤッとする場面もあったが高速を維持し続ける。後半の直線区間もたれることなく低い姿勢を維持し続けトップとは1分34秒27遅れの29位(45.865km/h)となった。世界のジュニアのTTスペシャリストを相手に健闘したタイム差と順位と言える。
ジュニア男子TT ドゥオーモ横の石畳を走る岡ジュニア男子TT ドゥオーモ横の石畳を走る岡 photo:Takayuki KAKINOKI
今回のTTではコース前半の長い直線区間でのタイムが順位に大きな影響を与えることになった。岡もこの区間のコーナーを除いた直線路では50km/hを少し下回るスピードを維持し続けたがそれでもトップとは12.5kmで1分の差をつけられ38位で通過した。この区間はテクニックではなく純粋に直線をいかに速く走るか、大きなパワーが求められた。

一方で街中のコーナーが多く、石畳のある中間の3.9kmの区間順位は16位、ラスト5.4kmの長い直線が多く、スピードコーナーの多い区間も同じく16位と大きくここで順位を上げている。コーナーでのテクニックがあり、身体の小ささも利用して多くのコーナーで急ターンを見せたが、もう少しコーナーに入る前に道幅を使ってスピードをより殺さず曲がることが出来ていたら更なるタイムの短縮が可能であった。
ジュニア男子TT 陸橋を進む岡ジュニア男子TT 陸橋を進む岡 photo:Takayuki KAKINOKI
ジュニアの場合はギア規制があるため、この区間はほとんどの選手は上限の52×14Tのギアを使い、あとは高速を維持するためには回転数を上げ、空気抵抗の少ないポジションを保つことになる。ジュニアからU23に上がるとギア規制から解放されギア数が上がりTTのスピードも一気に上がる。この変化に対応した身体作りが出来るか、来年以降U23となる岡の更なる成長が楽しみである。

結果
ジュニア男子TT 21.8km
1位 Decraene Igor ベルギー 26分56秒83
2位 Krigbaum Mathias デンマーク 27分05秒49
3位 Mostov Zeke アメリカ 27分17秒80

29位 岡篤志 28分31秒10

photo&text:柿木孝之(日本自転車競技連盟ジュニア強化育成部)

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