雨と寒さに襲われたブエルタ2013、第14ステージ。ダニエーレ・ラット(イタリア、キャノンデールプロサイクリング)がステージを制し、山岳賞と敢闘賞も獲得。総合1位はニーバリ(イタリア、アスタナ)が堅持。ポイント賞はバルベルデ(スペイン、モビスター)、複合賞はホーナー(アメリカ、レディオシャック・レオパード)へ移行した。

ステージ優勝・敢闘賞・山岳賞のダニエーレ・ラット(イタリア、キャノンデールプロサイクリング)

雨と寒さに襲われた過酷なステージを制したダニエーレ・ラット(イタリア、キャノンデールプロサイクリング)雨と寒さに襲われた過酷なステージを制したダニエーレ・ラット(イタリア、キャノンデールプロサイクリング) photo:CorVos(長距離の逃げはチームオーダーだった?)ちがう。今日、先行した理由は、下りでイヴァン・バッソ(イタリア)をアシストするためのものだった。ライバルたちに追いつかれたときのために備えた動きだった。だけど、メイン集団が逃げを容認してくれて、大きく差が開いてしまった。この数日間、調子の良さも感じていた。

ステージ優勝のダニエーレ・ラット(イタリア、キャノンデールプロサイクリング)ステージ優勝のダニエーレ・ラット(イタリア、キャノンデールプロサイクリング) photo:CorVosそれに、残念ながら終盤に入る前にイヴァンがブエルタをリタイアしたことを知った。彼はぼくとは違って細くて脂肪が少ない。ぼくの場合は余分な脂肪が身についているおかげで、今日の寒さに耐えることができた。今日の勝利はイヴァンがリタイアしたことの残念賞みたいなものだ。彼なら表彰台に乗るだろうと思っていた。

(勝利を確信したのはいつ?)勝ち目は少ないと思っていた。逃げグループのなかでは孤独だったし、他の2名の選手はクライマーだった。差を付けることができたのは、ウェットなコンディションの下りだった。オートバイに乗る人がよくやるように、今日は落車を避けるために足を(ペダルから)外したりしていた。

最後の山岳の登り口で、差が8分に開いていることがわかった。そのときに深刻なハンガーノックにさえならなければ、ステージ優勝できそうだと思った。脚が少し攣っていたことが気になったけど、なんとかしのいだ。山岳ステージでの優勝は、自分にとって格別な瞬間だ。

(自分の脚質を分析すると?)ぼくはいわゆるスプリンターの部類だ。ブエルタの他のステージでは、スプリント勝負に参加してきた(第5ステージで9位、第12ステージで15位の成績)。それなのにいまや山岳賞を獲得した! だけど、気にはしていない。この水玉の山岳賞ジャージは、ほんの1日しか着るつもりはない。


総合1位・ステージ2位のヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ)

総合1位を堅持するヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ)総合1位を堅持するヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ) photo:CorVos今日はずっとハードだった! ずっと苦しかった。ゆっくりと確実にを指針にして、自分(のペース)を取り戻した。そうやってゴールまで戦った。総合成績に対しては重要な一歩を踏み出せたが、まだまだ他の選手たちとの差は大きく開いていない。

ステージ3位のクリストファー・ホーナー(アメリカ、レディオシャック・レオパード)ステージ3位のクリストファー・ホーナー(アメリカ、レディオシャック・レオパード) photo:CorVos今日の結果には満足しているが、ハードなステージがまだまだ残っている。ブエルタでは常に新たなトラブルが発生しやすい。だから、現実を見据えて走りたいと思う。


複合賞・総合2位・ステージ3位のクリストファー・ホーナー(アメリカ、レディオシャック・レオパード)

ハードで危険なステージだった。誰もが寒さで苦しんでいたし、ぼくのバイクも下り区間ではずっとふらついていた。死ぬんじゃないかと思った。このような寒さは経験がない。

ニーバリは本当に強かった。ぼくが彼に付いていけた唯一の選手だったことに満足している。彼より先にゴールできればよかったけど、今日の自分の走りに満足すべきなのだろう。


ポイント賞・総合3位・ステージ6位のアレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)

ステージ6位のアレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)ステージ6位のアレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター) photo:www.lavuelta.comこれまでのキャリアのなかでも、最も怖ろしい部類のステージだった。ポルト・デ・エンバリラの頂上は怖ろしいほどの寒さだった。その後のコル・デ・オルディーニからの下りで脱落してしまった。身体全体が震えていて、耐えられなかった。信じられないほど人でなしのステージだった。明日も似たような天候になりそうで警戒している。

もし悪天候だったら、ブエルタの最終日に残っている選手は50名くらいになりそうだ。最後の登りでは、少し復調して、ダメージを最小限にできた。まだ諦めてはいない。まだ総合3位だ。もうブエルタの総合優勝は難しくなったと思うけど、グランツールを表彰台で締めくくるは、いつだって素晴らしい目標だと思う。


総合4位・ステージ4位のホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ)

ステージ4位のホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ)ステージ4位のホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ) photo:CorVos雨とスピードのせいで、極めてハードなステージだった。受けたダメージも大きい。ホーナーが1級山岳のコリャーダ・デラ・ガリーニャで、かなり速めのペースを作ってしまった。どこかのステージで脱落することがあるだろうとは思っていた。

今日の登りが完全に、そのパターンだった。だから、自分のペースで登って、アタックはしなかった。ステージ序盤は、寒さと雨のせいで好調ではなかった。タフなスタートだったけど、走っているうちになんとか自分のペースを見つけた。最後の登りに入ったときは、かなり調子が良くなっていた。

だけど、今日のニーバリとホーナーは強すぎた。彼らがアタックしたときは、引き続き自分のペースで走ることに決めていた。それで最後の区間ではタイム差を何秒か取り戻そうとして、がんばった。今後の数日間は、なにが起きるかわからない。


大きくタイムを失った総合6位のニコラス・ロッシュ(アイルランド、サクソ・ティンコフ)

大きくタイムを失ったニコラス・ロッシュ(アイルランド、サクソ・ティンコフ)大きくタイムを失ったニコラス・ロッシュ(アイルランド、サクソ・ティンコフ) photo:www.lavuelta.com今日は寒さで最悪な日だった。気温が摂氏40度から急激に落ちていった。自分にとっても大打撃だ。アイアンマンから錆びた男になってしまった。

天候が回復してくれるのを望みたい。今日は惨めな思いで苦しんだ。前向きになろう。今後の数日のあいだに、やれることは多い。

今日の事態に備えていてくれたサクソ・ティンコフのチームメイト(スタッフと選手)の素晴らしい仕事ぶりに、今一度感謝を捧げたい。


総合7位・ステージ7位のティボー・ピノ(フランス、FDJ.fr)

ステージ7位のティボー・ピノ(フランス、FDJ.fr)ステージ7位のティボー・ピノ(フランス、FDJ.fr) photo:www.lavuelta.com今朝の段階で雨になるとわかってうれしかった。少し風邪気味だったけど、こういうコンディションのときのほうが乗り切りやすい。それでギブアップしないことに決めた。ニーバリとホーナーを追走しようとしたけど、自分でレッドゾーンに追い込むのではなく、ロドリゲスを待つべきだった。

2年前にカタルーニャ一周のレースを低体温症でリタイアしたことがある。それに今年のツール・ド・ロマンディでも最悪なコンディションを経験している。だけど、今日ほど困難なステージは経験したことがなかった。気温が40度から4度に下がった! 

(チームメイトの)ケニー・エリッソンド(フランス)が最後に無事にゴールしたことを聞いてホッとしている。彼は、ぼくにとって非常に大切な選手だ。


ステージ19位のヤコブ・フグルサング(デンマーク、アスタナ)

この過酷なコンディションで、チームとしてしっかり機能した。ライバルのチームが、ぼくたちを分断しようとしていたけど、なんとかチームでまとまって走った。こうしたチームの共同作業の効果はあった。タネル・カンゲルト(エストニア)とぼくは、できるだけ長くヴィンチェンツォ(イタリア)と一緒に走った。彼はぼくらとは別格で、今日もしっかり走れていた。すごすぎる!


※ソースはレース公式リリース、チーム公式ウェブサイト、選手個人のウェブサイトおよびTwitter、Facebookなど。

translation & text: Seiya.YAMASAKI