標高2410mの超級山岳ポルト・デ・エンバリラ頂上の気温は5度。低体温症で次々に選手たちがチームカーに乗り込む中、ダニエーレ・ラット(イタリア、キャノンデールプロサイクリング)が逃げ切りを決め、総合リーダーのヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ)がライバルを打ち破った。


ブエルタ・ア・エスパーニャ2013第14ステージ高低図ブエルタ・ア・エスパーニャ2013第14ステージ高低図 image:Unipublicピレネー山岳3連戦の幕開けに合わせたかのように、ピレネー山脈には雨雲が覆う。カタルーニャ州を離れて隣国のアンドラ公国に入るブエルタ第14ステージ。今にも降り出しそうな空の下、曇った表情の選手たちが山間の村・バガをスタートした。

雨のアンドラ市街地を走るプロトン雨のアンドラ市街地を走るプロトン photo:Cor Vos獲得標高差が4320mに達するこの難関山岳ステージで、世界チャンピオンのフィリップ・ジルベール(ベルギー、BMCレーシングチーム)、ストゥヴ・シェネル(フランス、アージェードゥーゼル)、ダニエーレ・ラット(イタリア、キャノンデールプロサイクリング)、ルイスレオン・サンチェス(スペイン、ベルキンプロサイクリング)、グレーム・ブラウン(オーストラリア、ベルキンプロサイクリング)の5人がエスケープを試みる。メイン集団に追撃する意志はなく、タイム差は瞬く間に8分まで広がった。

スタートして間もなく雨が降り始め、アンドラ公国に差し掛かるころには雷を伴う本降りの雨に。当然、今大会の最高地点である標高2410mの超級山岳ポルト・デ・エンバリラ(距離26.7km・平均勾配5.2%)は深い霧と冷たい雨に包まれる。

麓のアンドラ市街地は気温16度の雨。超級山岳エンバリラ頂上は気温が5度まで下がる。前日の第13ステージとの気温差は30度を超えた。

超級山岳ポルト・デ・エンバリラを登るプロトン超級山岳ポルト・デ・エンバリラを登るプロトン photo:Kei Tsuji
超級山岳ポルト・デ・エンバリラでメイン集団から遅れたイヴァン・バッソ(イタリア、キャノンデールプロサイクリング)超級山岳ポルト・デ・エンバリラでメイン集団から遅れたイヴァン・バッソ(イタリア、キャノンデールプロサイクリング) photo:Kei Tsuji雨の超級山岳ポルト・デ・エンバリラを下るメイン集団雨の超級山岳ポルト・デ・エンバリラを下るメイン集団 photo:Kei Tsuji

独走で1級山岳コリャーダ・デラ・ガリーニャを駆け上がるダニエーレ・ラット(イタリア、キャノンデールプロサイクリング)独走で1級山岳コリャーダ・デラ・ガリーニャを駆け上がるダニエーレ・ラット(イタリア、キャノンデールプロサイクリング) photo:Kei Tsuji最大10分半のリードを築いた逃げグループは、雨降りしきる超級山岳ポルト・デ・エンバリラでLLサンチェス、ジルベール、ラットの3名に絞られる。全身ずぶ濡れの選手たちを、谷から吹き上げる風と、気温5度の寒さが襲う。登坂距離が26kmオーバーのこの登りで40名ほどのメイン集団から遅れたイヴァン・バッソ(イタリア、キャノンデールプロサイクリング)は、低体温症でバイクを降りた。

1級山岳コリャーダ・デラ・ガリーニャでメイン集団のペースを上げるロベルト・キセロフスキー(クロアチア、レディオシャック・レオパード)1級山岳コリャーダ・デラ・ガリーニャでメイン集団のペースを上げるロベルト・キセロフスキー(クロアチア、レディオシャック・レオパード) photo:Kei Tsuji先頭で逃げていたLLサンチェスも同様に低体温症でリタイア。ロマン・クロイツィゲル(チェコ、サクソ・ティンコフ)やアイマル・スベルディア(スペイン、レディオシャック・レオパード)を含め、この日だけで実に14名がレースを去っている。

1級山岳コリャーダ・デラ・ガリーニャを登るクリストファー・ホーナー(アメリカ、レディオシャック・レオパード)とヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ)1級山岳コリャーダ・デラ・ガリーニャを登るクリストファー・ホーナー(アメリカ、レディオシャック・レオパード)とヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ) photo:Vuelta a Espana/Graham Watson凍えるポルト・デ・エンバリラの下りでジルベールを引き離したラットは、続く2級山岳コル・デ・オルディーニョと1級山岳アルト・デラ・コメーリャを立て続けにクリア。完全ウェットのダウンヒルに手こずりながらも、ラットは8分近いリードを得たまま最後の1級山岳コリャーダ・デラ・ガリーニャ(距離7.2km・標高差580m・平均8%・最大15%)へと入って行く。

メイン集団は登りと下りで人数を減らしながら先頭ラットを追走。しかし総合で1時間以上遅れているラットを捉える意志はなく、5分遅れで1級山岳コリャーダ・デラ・ガリーニャに差し掛かる。全長7.2kmの登りが始まると、総合2位のニコラス・ロッシュ(アイルランド、サクソ・ティンコフ)が力なく脱落した。

残り4kmから始まる急勾配区間に差し掛かると、ロベルト・キセロフスキー(クロアチア)にアシストされたクリストファー・ホーナー(アメリカ、レディオシャック・レオパード)が先頭に立ち、これにマイヨロホのニーバリが反応。ハイペースを刻むホーナーを、ニーバリが落ち着いてマークする。

先頭ラットは苦しい表情を見せながらも、息絶え絶え1級山岳コリャーダ・デラ・ガリーニャ頂上に到達。トリノ生まれの23歳が、フィニッシュ地点の曇り空に向かって両手を挙げた。

1級山岳コリャーダ・デラ・ガリーニャを登るホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ)とサムエル・サンチェス(スペイン、エウスカルテル)1級山岳コリャーダ・デラ・ガリーニャを登るホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ)とサムエル・サンチェス(スペイン、エウスカルテル) photo:Vuelta a Espana/Graham Watson1級山岳コリャーダ・デラ・ガリーニャを登るティボー・ピノ(フランス、FDJ.fr)とドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、アージェードゥーゼル)1級山岳コリャーダ・デラ・ガリーニャを登るティボー・ピノ(フランス、FDJ.fr)とドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、アージェードゥーゼル) photo:Vuelta a Espana/Graham Watson失速し、総合2位から総合6位に順位を落としたニコラス・ロッシュ(アイルランド、サクソ・ティンコフ)失速し、総合2位から総合6位に順位を落としたニコラス・ロッシュ(アイルランド、サクソ・ティンコフ) photo:Vuelta a Espana/Graham Watson

両手を挙げてフィニッシュするダニエーレ・ラット(イタリア、キャノンデールプロサイクリング)両手を挙げてフィニッシュするダニエーレ・ラット(イタリア、キャノンデールプロサイクリング) photo:Cor Vosスプリンターとして集団スプリントに絡み、第5ステージ9位、第12ステージ15位に入っているラットが、自身も驚く山岳ステージ優勝。山岳ポイントを量産したため、山岳賞ジャージまで手元にやってきた。過酷なコンディションの中での高いパフォーマンスの秘訣を「他の選手よりも脂肪が厚いこと」と語る。

ダリオ・マリウッツォ監督と喜ぶダニエーレ・ラット(イタリア、キャノンデールプロサイクリング)ダリオ・マリウッツォ監督と喜ぶダニエーレ・ラット(イタリア、キャノンデールプロサイクリング) photo:Cor Vosキャノンデールプロサイクリングは、エースのバッソを失いながらも、若手のラットが優勝。「今日の作戦は、逃げグループに入って、メイン集団が追いついて来た時にイヴァン(バッソ)をアシストすることだった。ゴール後にイヴァンがリタイアしたことを知った。この勝利も、総合表彰台に登るはずだった彼のリタイアの埋め合わせにはならない」。ラットはバッソのリタイアについてそう語っている。

ラットの感極まるガッツポーズから3分53秒遅れでフィニッシュラインにやってきたのは、ゴール前でホーナーを振り切ったマイヨロホのニーバリ。総合1位のニーバリを基準にすると、ホーナーが2秒遅れ、ロドリゲスが18秒遅れ、サンチェスが26秒遅れ、バルベルデが50秒遅れ、ロッシュが3分29秒遅れでゴールした。

ピレネー初日に総合リードを広げることに成功したニーバリは「まだ何が起こるか分からない。地に足をつけて走り続けたい」と、落ち着き払ったコメントを残す。ニーバリの悪天候対応力は、雪に見舞われたジロ・デ・イタリアの山岳ステージで証明済み。天候がニーバリに味方しているとも言える。

ピレネー山岳3連戦は始まったばかり。翌日には4つの1級山岳を越える今大会のクイーンステージが控えている。フランスのペイラギュードに至る今大会最長コース(224.9km)の獲得標高差は5000mオーバー。引き続き悪天候が予想されている。

ホーナーを振り切るヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ)ホーナーを振り切るヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ) photo:Cor Vos雨に濡れた1級山岳コリャーダ・デラ・ガリーニャを登る雨に濡れた1級山岳コリャーダ・デラ・ガリーニャを登る photo:Kei Tsuji

ブエルタ・ア・エスパーニャ2013第14ステージ結果
1位 ダニエーレ・ラット(イタリア、キャノンデールプロサイクリング)     4h24'00"
2位 ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ)             +3'53"
3位 クリストファー・ホーナー(アメリカ、レディオシャック・レオパード)    +3'55"
4位 ホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ)              +4'11"
5位 サムエル・サンチェス(スペイン、エウスカルテル)             +4'19"
6位 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)             +4'43"
7位 ティボー・ピノ(フランス、FDJ.fr)                   +4'46"
8位 ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、アージェードゥーゼル)
9位 ミケル・ランダ(スペイン、エウスカルテル)                +5'17"
10位 レオポルド・ケーニッヒ(チェコ、ネットアップ・エンドゥーラ)      +5'21"

20位 ニコラス・ロッシュ(アイルランド、サクソ・ティンコフ)         +7'22"

DNF イヴァン・バッソ(イタリア、キャノンデールプロサイクリング)
DNF ロマン・クロイツィゲル(チェコ、サクソ・ティンコフ)
DNF アイマル・スベルディア(スペイン、レディオシャック・レオパード)他・計14名

敢闘賞
ダニエーレ・ラット(イタリア、キャノンデールプロサイクリング)

マイヨロホ(個人総合成績)
1位 ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ)            53h56'49"
2位 クリストファー・ホーナー(アメリカ、レディオシャック・レオパード)      +50"
3位 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)              +1'42"
4位 ホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ)               +2'57"
5位 ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、アージェードゥーゼル)       +3'43"
6位 ニコラス・ロッシュ(アイルランド、サクソ・ティンコフ)           +4'06"
7位 ティボー・ピノ(フランス、FDJ.fr)                    +4'34"
8位 レオポルド・ケーニッヒ(チェコ、ネットアップ・エンドゥーラ)        +5'42"
9位 ダニエル・モレーノ(スペイン、カチューシャ)                +6'28"
10位 タネル・カンゲルト(エストニア、アスタナ)                +6'45"

マイヨプントス(ポイント賞)
1位 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)              102pts
1位 ダニエル・モレーノ(スペイン、カチューシャ)                98pts
3位 ニコラス・ロッシュ(アイルランド、サクソ・ティンコフ)           89pts

マイヨモンターニャ(山岳賞)
1位 ダニエーレ・ラット(イタリア、キャノンデールプロサイクリング)       30pts
2位 フィリップ・ジルベール(ベルギー、BMCレーシングチーム)          26pts
3位 クリストファー・ホーナー(アメリカ、レディオシャック・レオパード)     18pts

マイヨコンビナーダ(複合賞)
1位 クリストファー・ホーナー(アメリカ、レディオシャック・レオパード)     10pts
2位 ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ)              12pts
3位 ニコラス・ロッシュ(アイルランド、サクソ・ティンコフ)           14pts

チーム総合成績
1位 アスタナ                               161h08'27"
2位 エウスカルテル                              +4'43"
3位 モビスター                                +8'32"

text&photo:Kei Tsuji in Collada de la Gallina, Andorra
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