第1週の締めを飾る山岳3連戦がスタートしたブエルタ2013。残り2kmで仕掛けたレオポルド・ケーニッヒ(チェコ、ネットアップ・エンドゥーラ)が第8ステージを制し、招待チームとして大金星をあげた。。山岳賞・複合賞のロッシュ(アイルランド、サクソ・ティンコフ)が総合1位も獲得。ポイント賞はモレーノ(スペイン、カチューシャ)に移行した。



ステージ優勝・総合5位のレオポルド・ケーニッヒ(チェコ、ネットアップ・エンドゥーラ)

表彰台に立つレオポルド・ケーニッヒ(チェコ、ネットアップ・エンドゥーラ)表彰台に立つレオポルド・ケーニッヒ(チェコ、ネットアップ・エンドゥーラ) photo:Cor.Vos今年のブエルタに出るというのが、ぼくの最初の目標で、これはもう達成できた。このブエルタが、初めてのグランツールだ。次の目標は、今日のステージで優勝することだった。これは夢だった。ネットアップ・エンドゥーラのチームメイトたち全員が、ぼくが優勝できるように尽くしてくれた。

「夢は今日のステージで優勝することだった」「夢は今日のステージで優勝することだった」 photo:Cor.Vos残り2kmで最初にアタックしたけど、イヴァン・バッソ(イタリア、キャノンデールプロサイクリング)などの数名の選手も付いてきた。少し快復して一定ペースで走っていると、自分が(バッソたちに)先行しているのがわかった。

前方にイゴール・アントン(スペイン、エウスカルテル・エウスカディ)が走っているのが見えたので、アタックして全力で走ってステージ優勝を目指した。本当に驚いている。こうしてステージ優勝できたのだから、ブエルタが始まる前に宣言していた総合10位以内という目標も夢じゃなくなった。


総合1位・山岳賞・複合賞・ステージ3位のニコラス・ロッシュ(アイルランド、サクソ・ティンコフ)

再びマイヨ・ロホを受け取ったニコラス・ロッシュ(アイルランド、サクソ・ティンコフ)再びマイヨ・ロホを受け取ったニコラス・ロッシュ(アイルランド、サクソ・ティンコフ) photo:Cor.Vos最後の2kmでアタックする機会があった。あれは理想的なタイミングだった。そのときはイヴァン・バッソ(イタリア、キャノンデールプロサイクリング)やティボー・ピノ(フランス、FDJ.fr)、ダニエル・モレーノ(スペイン、カチューシャ)といった強い選手たちと集団前方を走っていた。

ステージ優勝のこと考えておらず、総合1位のマイヨロホのことだけが頭にあった。これまではグランツールの総合ジャージを着たことはなかった。わずか8秒差で2位だったので、その差を詰めるつもりだった。やれることはすべてやって、任務完了だ。とても満足している。

(最終日のマドリードまで守り抜くつもり?)マドリードまで守るつもりだ、というのはかなり甘い表現だ。実際には厳しいだろう。守れるようなチャンスがたくさんあることを願いたい。でも、いまはチームメイトたちと一緒に、この勝利の喜びを味わいたい。今週は、グランツール初勝利に始まり、初の総合リーダージャージ獲得するなど、信じられない週だ。明日は今日とは違ったタイプの選手が活躍するステージになるだろう。月曜日(第10ステージ)は非常に難易度の高いステージだ。この3日間、マイヨロホを着ることができるように、できるだけがんばりたい。

(ライバルたちの登坂スピードについて)かなり速かったので、ずっと驚いていた。コースマップに書かれている勾配6〜8%よりも、実際には険しいと思った。パワーも必要な上りだった。イヴァン・バッソは本当に強い。クリストファー・ホーナー(アメリカ、レディオシャック・レオパード)やヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ)、アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)、ホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ)を含む数名の選手も速かった。ブエルタの序盤では、総合候補者たちお互いを警戒するものだ。だから、最速な選手が明らかになるのは、月曜日のステージ、アルト・デ・アサリャナスの頂上ゴールまで待つことになる。


ポイント賞・総合3位・ステージ2位のダニエル・モレーノ(スペイン、カチューシャ)

ステージ2位のダニエル・モレーノ(スペイン、カチューシャ)ステージ2位のダニエル・モレーノ(スペイン、カチューシャ) www.katushateam.com/最後の区間でケーニッヒを捕まえられなかったのは残念だ。全力で走って、ベストを尽くしたことは認める。レディオシャック・レオパードがチーム一体となってステージの序盤から強烈なスピードのペースを作っていた。その後でバッソ(イタリア、キャノンデールプロサイクリング)が最終区間でアタックした。信じられないくらい強かった。彼は絶好調だと思う。今大会の主役の一人になると思う。

ともかく、プリト[ホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ)]もぼくも調子はかなり良い。ふたりで一緒に走って、どんなものであっても得られるチャンスを利用していきたい。明日のバルデペーニャス・デ・ハエンもまた、ぼくとホアキンに向いたステージだ。チームとしても良い成績を狙いたい。


ステージ4位のティボー・ピノ(フランス、FDJ.fr)

集団内で走るティボー・ピノ(フランス、FDJ)集団内で走るティボー・ピノ(フランス、FDJ) www.equipecyclistefdj.fr今日はベストな調子ではなかった。山岳の麓から、必死になってレースのペースに付いていった。登坂の距離の半分くらいになって、ようやく調子が出た。ハードな登坂だった。バッソ(イタリア、キャノンデールプロサイクリング)やホーナー(アメリカ、レディオシャック・レオパード)が強かった。

彼らのおかげで集団が千切れてしまった。今日の調子を考えれば、4位でゴールできて満足している。第1週はこれまでかなり厳しかった。でも、まだ山岳が残っている。そのことを考えると口数が少なくなる。


総合2位・ステージ11位のクリストファー・ホーナー(アメリカ、レディオシャック・レオパード)

予想していたシナリオ通りだったが、自分に優勝できるだけの力がなかった。ニーバリ(イタリア、アスタナ)はずっとぼくの後ろに付いていて、その後でロッシュ(アイルランド、サクソ・ティンコフ)が大きく動いた。ロッシュとぼくは少しだけ自由に動けるようになったようだった。おかげで、総合成績で差を付けることができた。今日のレースで確認できたと思うけど、レディオシャックはとても強力なチームだ。これからブエルタに一波乱を起こすつもりだ。


総合7位・ステージ8位のアレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)

ゴールするアレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)ゴールするアレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター) www.movistarteam.com/できればステージ優勝に絡みたかった。だけど、集団前方の選手たちは強かったし、彼らがアタックしたタイミングも完璧だった。ぼくたちが牽制し合っていた隙を突かれた形だった。残り400mでカウンターを仕掛けようとしたけど、彼らに追いつくことができなかった。

素直にケーニッヒ(チェコ、ネットアップ・エンドゥーラ)を祝福したい。ニーバリ(イタリア、アスタナ)との差を数秒詰めることもできたし、結果には満足している。ぼくやニーバリ(イタリア、アスタナ)、プリト[ホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ)]の3人はお互いを警戒していた--ホアキンはダニ[ダニエル・モレーノ(スペイン、カチューシャ)]が前方にいることもあって、アタックできなかった。

月曜日[第10ステージ]は見物だと思う。本当にハードなステージになると思うが、それだけチャンスも多いはずだ。まだまだ手応えを感じている。アスタナが総合リーダーを諦めるつもりかどうかはわからない。でも、マイヨロホの獲得はチームの士気を高めることは確かだ。同時に、レースの表彰台以外に余計な仕事、アンチドーピング・コントロールを受ける義務も発生するけど。


総合10位・ステージ9位のホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ)

今日はとても穏やかなステージだった。終盤はモレーノ(スペイン)がバッソ(イタリア、キャノンデールプロサイクリング)のグループと一緒に先行したので、ぼくはバルベルデ(スペイン、モビスター)やニーバリ(イタリア、アスタナ)などのライバルたちとそのまま待機した。明日のステージのバルデペーニャスは2011年に優勝しているから、よく知っている[訳注:2011年のブエルタ第5ステージでステージ優勝]。

非常に険しい登坂で、ぼくの脚質に向いている。調子も良いので、しっかり狙っていきたいと思う。だけど、それほど簡単ではないだろう。他のライバルたちの今日の走りを見る限り、彼らもかなり調子が良いことがわかった。ハードじゃないステージだと、それほど大きな差は付かない。だが、今日の最終区間は難易度が高く、ライバルたちの誰もが先頭を走るだけの余裕があることがわかった。


総合17位・ステージ25位のローレンス・テンダム(オランダ、ベルキンプロサイクリング)

今日は序盤からペースが速かった。登坂中にヒジを何かにぶつけた。もしかしたらファンだったかもしれない。終盤には、他の選手たちのペースに合わせるのが難しくなっていた。あのペースは、ぼくにもバウク・モレマ(オランダ)にも有利に作用しなかった。ツール・ド・フランスの後にブエルタを走る場合、いつも可能性は五分五分になる。(ツールの疲労から)まだ充分に快復できていないが、可能性がある限りは、総合10位を目指して挑戦し続けるつもりだ。


総合36位・ステージ47位のロマン・クロイツィゲル(チェコ、サクソ・ティンコフ)

チームにとっては良い日となった。ニコラス(アイルランド)がマイヨロホを獲得できたのは、本当にうれしい。自分自身については、ツール・ド・フランスの後だということもあって、力が出ない。こんなに早く脱落するなんて、とても残念だ。


ロッシュの好調さを語る宮島正典マッサー(サクソ・ティンコフ)

今日はさすがに暑く。レース中のボトルの消費も激しく、補給地点でチームカーへのボトルの補充も必要なくらいでした。

ニコラス・ロッシュ選手がリーダージャージをゲット。山岳ジャージ、複合ジャージ、そして失ってはいますが、ポイントジャージとすべてのジャージのポディウムをゲットした事になりました。レースは中盤を迎えていますが、相変わらず、我々マッサーとメカニックの連携がとれているので、気持ちよく働いています。淡々とステージが消化されていく感覚です。

レースはまだまだいくつも山場はありますが、チームにとっていいレースになっているのは間違いありません。[宮島正典マッサーのブログ「Soigneurの独り言…: 第8ステージ」より抜粋]


※ソースはレース公式リリース、チーム公式ウェブサイト、選手個人のウェブサイトおよびTwitter、Facebookなど。

translation & text: Seiya.YAMASAKI