「カチューシャはまるで家族。いつもプリート(ロドリゲス)と話し合いながら走っていて、今日は僕で勝負することが決まった」。そう言い残すダニエル・モレーノ(スペイン、カチューシャ)が残り1kmでアタック。鋭い加速で後続を置き去りにしたマドリード生まれの31歳が勝利した。



ブエルタ・ア・エスパーニャ2013第4ステージ高低図ブエルタ・ア・エスパーニャ2013第4ステージ高低図 image:Unipublic小刻みにアップダウンを繰り返しながら、大西洋に突き出た岬の先にあるフィニステーラまで、189kmを駆け抜けるブエルタ・ア・エスパーニャ第4ステージ。「平坦ステージ」に分類されているものの、海風と激坂、登り基調のゴールが選手たちを苦しめた。

逃げグループを形成するニコラ・エデ(フランス、コフィディス)ら逃げグループを形成するニコラ・エデ(フランス、コフィディス)ら photo:Vuelta a Espanaこの大西洋を目指すステージで、アレックス・ラスムッセン(デンマーク、ガーミン・シャープ)、ユッシ・ヴェッカネン(フィンランド、FDJ.fr)、ダニーロ・ウィス(スイス、BMCレーシングチーム)、ニコラ・エデ(フランス、コフィディス)、デニス・ファネンデルト(ベルギー、ロット・ベリソル)が9km地点でアタック。最大7分のリードでキリスト教最大の巡礼地サンティアゴ・デ・コンポステーラを通過する。

マイヨロホを着て走るクリストファー・ホーナー(アメリカ、レディオシャック・レオパード)マイヨロホを着て走るクリストファー・ホーナー(アメリカ、レディオシャック・レオパード) photo:Vuelta a Espanaモビスターやオメガファーマ・クイックステップ、レディオシャック・レオパードの集団牽引によってタイム差は縮小。何度か横風区間で中切れが起こったが、集団が完全に破壊されるようなトラブルは発生しない。

やがてこの日最大の難所が姿を現す。昨年第12ステージのゴール地点3級山岳ミラドール・デ・エサロが残り35km地点で登場。標高270mの丘を目指す激坂は長さ1.9km・平均勾配13.1%・最大勾配29%。フレーシュ・ワロンヌの「ユイの壁」(長さ1.3km・平均勾配9.3%・最大勾配26%)よりもずっと厳しく、昨年ホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ)に「今まで経験した登りの中で一番きつい」と言わしめたほど。

メイン集団ではこの3級山岳ミラドール・デ・エサロに向けたポジション争いが激しくなり、激坂突入時点で逃げグループとのタイム差は1分に。最大勾配29%の激坂区間で、先頭ではエデが独走に持ち込む。

あまりの勾配に何名かがストップし、集団後方で渋滞が起こる混乱の中、メイン集団からはフアンアントニオ・フレチャ(スペイン、ヴァカンソレイユ・DCM)がアタック。しかしリードを奪えずに引き戻される。メイン集団は60名ほどに絞られた状態で3級山岳ミラドール・デ・エサロ頂上をクリアした。



3級山岳ミラドール・デ・エサロを独走で登るニコラ・エデ(フランス、コフィディス)3級山岳ミラドール・デ・エサロを独走で登るニコラ・エデ(フランス、コフィディス) photo:Vuelta a Espana3級山岳ミラドール・デ・エサロに差し掛かるプロトン3級山岳ミラドール・デ・エサロに差し掛かるプロトン photo:Vuelta a Espana



メイン集団を率いて逃げグループを追うレディオシャック・レオパードメイン集団を率いて逃げグループを追うレディオシャック・レオパード photo:Vuelta a Espana頂上通過後にカウンターアタックを仕掛けたアメツ・チュルカ(スペイン、カハルーラル)が先頭のエデに合流。続いてルイスレオン・サンチェス(スペイン、ベルキンプロサイクリング)やホセ・エラーダ(スペイン、モビスター)、アンヘル・ビシオソ(スペイン、カチューシャ)、ドミニク・ネルツ(ドイツ、BMCレーシングチーム)が飛び出して先頭に合流する。

ロングスパートを成功させたダニエル・モレーノ(スペイン、カチューシャ)が勝利ロングスパートを成功させたダニエル・モレーノ(スペイン、カチューシャ)が勝利 photo:Vuelta a Espanaこうして新たに形成された6名の逃げグループ。しかし総合で1分19秒遅れのLLサンチェスが逃げに入ったため、レディオシャック・レオパードが全力でこれを潰しにかかる。結局LLサンチェスやエデらは残り17kmでメイン集団に吸収された。

マイヨロホに再び袖を通したヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ)マイヨロホに再び袖を通したヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ) photo:Vuelta a Espanaキャノンデールプロサイクリングやオリカ・グリーンエッジ、レディオシャック・レオパードがメイン集団を牽引して残り3km。岬の先にあるフィニッシュラインに向かって、標高差80mほどの緩斜面が始まると集団先頭は再び慌ただしくなる。

残り1kmアーチを前に再びアタックしたフレチャを、タイミングを見計らって飛び出したモレーノが追撃する。抜群の加速力で後続を引き離したモレーノは、先行するフレチャを抜き去り、そのままスパートを継続。ファビアン・カンチェラーラ(スイス、レディオシャック・レオパード)の追撃は届かず、モレーノが先頭でフィニッシュラインを駆け抜けた。

モレーノは2011年ブエルタの第4ステージでも勝利している。自身2度目のステージ優勝を飾ったモレーノは「今シーズンは思うような走りが出来ていなかったのでとにかく嬉しい」と喜ぶ。「今はこの勝利を祝って、残りのブエルタを一日一日走っていきたい。第9ステージのバルデペニャス・デ・ハエン(激坂ゴール)でまたチャンスが巡ってくると思う」。

モレーノは第2ステージで2位に入っており、この日の活躍でポイント賞トップに立っている。総合では31秒遅れの8位であり、ホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ)とともに今後の山岳ステージで総合ジャンプアップを目指す。

この日はおよそ60名がメイン集団内でゴールしたが、中切れのギャップによってステージ21位とステージ22位の間に6秒差が付いた。そのためステージ26位のクリストファー・ホーナー(アメリカ、レディオシャック・ニッサン)からステージ16位のヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ)にマイヨロホが移動。思わぬ形でマイヨロホに再び袖を通したニーバリは「今日はホーナーのチームがジャージキープのために走っていたので、マイヨロホが手元に戻ってきたことに驚いている。どこかで中切れが起こったんだろうね」と振り返る。第4ステージを終えてホーナーが3秒差の総合2位、ニコラス・ロッシュ(アイルランド、サクソ・ティンコフ)が8秒差の総合3位だ。



ポイント賞トップに立ったダニエル・モレーノ(スペイン、カチューシャ)ポイント賞トップに立ったダニエル・モレーノ(スペイン、カチューシャ) photo:Cor Vos山岳賞ジャージを守ったニコラス・ロッシュ(アイルランド、サクソ・ティンコフ)山岳賞ジャージを守ったニコラス・ロッシュ(アイルランド、サクソ・ティンコフ) photo:Cor Vos



選手コメントはレース公式サイトやチーム公式サイトより。

ブエルタ・ア・エスパーニャ2013第4ステージ結果
1位 ダニエル・モレーノ(スペイン、カチューシャ)               4h37'47"
2位 ファビアン・カンチェラーラ(スイス、レディオシャック・レオパード)
3位 マイケル・マシューズ(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)
4位 ジャンニ・メールスマン(ベルギー、オメガファーマ・クイックステップ)
5位 バウク・モレマ(オランダ、ベルキンプロサイクリング)
6位 エドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー、スカイプロサイクリング)
7位 リナルド・ノチェンティーニ(イタリア、アージェードゥーゼル)
8位 ワレン・バーギル(フランス、アルゴス・シマノ)
9位 セルジオルイス・エナオモントーヤ(コロンビア、スカイプロサイクリング)
10位 ニコラス・ロッシュ(アイルランド、サクソ・ティンコフ)

11位 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)
15位 ホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ)
16位 ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ)
19位 ロマン・クロイツィゲル(チェコ、サクソ・ティンコフ)
23位 イヴァン・バッソ(イタリア、キャノンデールプロサイクリング)        +06"
26位 クリストファー・ホーナー(アメリカ、レディオシャック・レオパード)
32位 リゴベルト・ウラン(コロンビア、スカイプロサイクリング)
33位 サムエル・サンチェス(スペイン、エウスカルテル)

敢闘賞
ニコラ・エデ(フランス、コフィディス)

個人総合成績(マイヨロホ)
1位 ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ)            14h15'30"
2位 クリストファー・ホーナー(アメリカ、レディオシャック・レオパード)     +03"
3位 ニコラス・ロッシュ(アイルランド、サクソ・ティンコフ)           +08"
4位 アイマル・スベルディア(スペイン、レディオシャック・レオパード)      +16"
5位 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)              +21"
6位 ロベルト・キセロフスキー(クロアチア、レディオシャック・レオパード)    +26"
7位 リゴベルト・ウラン(コロンビア、スカイプロサイクリング)          +28"
8位 ダニエル・モレーノ(スペイン、カチューシャ)                +31"
9位 ラファル・マイカ(ポーランド、サクソ・ティンコフ)             +38"
10位 ロマン・クロイツィゲル(チェコ、サクソ・ティンコフ)            +42"

プントス(ポイント賞)
1位 ダニエル・モレーノ(スペイン、カチューシャ)               48pts
2位 ニコラス・ロッシュ(アイルランド、サクソ・ティンコフ)          38pts
3位 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)             37pts

モンターニャ(山岳賞)
1位 ニコラス・ロッシュ(アイルランド、サクソ・ティンコフ)          11pts
2位 ダニエル・モレーノ(スペイン、カチューシャ)               6pts
3位 ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、アージェードゥーゼル)      4pts

コンビナーダ(複合賞)
1位 ニコラス・ロッシュ(アイルランド、サクソ・ティンコフ)          6pts
2位 クリストファー・ホーナー(アメリカ、レディオシャック・レオパード)    11pts
3位 ダニエル・モレーノ(スペイン、カチューシャ)               11pts

チーム総合成績
1位 レディオシャック・レオパード                      41h47'01"
2位 サクソ・ティンコフ                              +05"
3位 ベルキンプロサイクリング                          +1'10"

text:Kei Tsuji
photo:Cor Vos
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