連載でお届けするプロバイクレポート。今回から数回にわたってツール第100回記念大会を走った最新鋭のTTバイクを特集する。第1弾はスカイプロサイクリング、BMCレーシングチーム、FDJ.fr、ガーミン・シャープ、エウスカウテルのバイクをピックアップ。



スカイプロサイクリング < ピナレロ BOLIDE >

クリス・フルーム(イギリス、スカイプロサイクリング)のピナレロ BOLIDEクリス・フルーム(イギリス、スカイプロサイクリング)のピナレロ BOLIDE photo:Makoto.AYANO
ジロ・デ・イタリアではエースのブラドレー・ウィギンス(イギリス)にのみ供給されていたピナレロの新型TTバイク「BOLIDE」は、ツールでは全メンバーに配備された。前作のGRAALに比べ、特徴的な造形のトップチューブや前後ブレーキのエアロカバー、限界まで詰められたリアセンターによって空気抵抗の低減を達成したバイクだ。

ブレーキを覆うエアロカバーはUCIの認可を受けた様だブレーキを覆うエアロカバーはUCIの認可を受けた様だ photo:Makoto.AYANO専用品のハンドルはDHバーとブレーキレバー、シフトスイッチが一体化専用品のハンドルはDHバーとブレーキレバー、シフトスイッチが一体化 photo:Makoto.AYANO

PROのカーボンワイドロードチューブラーにタイヤはヴェロフレックスを組み合わせるPROのカーボンワイドロードチューブラーにタイヤはヴェロフレックスを組み合わせる photo:Makoto.AYANOクレジットカードを使ってリアセンターの細かな調整を行うクレジットカードを使ってリアセンターの細かな調整を行う photo:Makoto.AYANO


コンポーネントは9070系シマノデュラエースをベースに、SRMの装備のために右側クランクは7800系が使用されていた。ホイールはフロントに契約外のHED社製バトンホイール「H3」、リアにはPROの新型で24mm幅を有する「カーボンワイドロードチューブラー」の組み合わせとした。ハンドルは恐らくピナレロの専用品で、DHバーとブルホーンバー部先端のブレーキレバーとシフトボタンを一体化したものを使用していた。

クリス・フルーム(イギリス)やリッチー・ポルト(オーストラリア)のバイクにはお決まりの様にオーシンメトリック製チェーンリングがアッセンブルされていた。



BMCレーシングチーム < BMC timemachine TM01 >

BMCレーシングチームが使用したBMC timemachine TM01BMCレーシングチームが使用したBMC timemachine TM01 photo:Makoto.AYANO
ハンドルとステムが一体化したフロントフォークを装着するハンドルとステムが一体化したフロントフォークを装着する photo:Makoto.AYANOSRMのメーターはオーソドックスな方式で固定されるSRMのメーターはオーソドックスな方式で固定される photo:Makoto.AYANO


BMCレーシングチームはフラッグシップモデルのTTバイクである「timemachine TM01」を使用。一般販売品とは異なり、ハンドル〜ステム〜フロントフォークが一体化した3T製の特別パーツをアッセンブルしていたことが最大の特徴だ。おそらく軽量化や剛性の向上を狙ったものと思われる。

シマノのサポートチームではあるものの、9070系デュラエースではなく、旧型である7970系を継続して使っていたのが興味深い。ホイールはフロントにWH-9000-C75やC50、リアはPROブランドのカーボンワイドロードチューブラーを組み合わせていた。



FDJ.fr < ラピエール AEROSTORM >

アルノー・ジャネソン(フランス、FDJ.fr)のラピエール AEROSTORMアルノー・ジャネソン(フランス、FDJ.fr)のラピエール AEROSTORM photo:Makoto.AYANO
地元フランスのラピエールは今大会に合わせて「AEROSTORM」の新型モデルを投入してきた。旧モデルからフレームデザインを引き継ぎながらも、フロントブレーキの内装化や前後上下に調整幅が広がった新型シートポストなどの採用によってブラッシュアップを図っている。

新型シートポストは取付穴を2つ設けたことによって前後の調整幅を拡張した新型シートポストは取付穴を2つ設けたことによって前後の調整幅を拡張した photo:Makoto.AYANOハンドルとステムはPROのミサイルEVOシリーズハンドルとステムはPROのミサイルEVOシリーズ photo:Makoto.AYANO

ボトルとボトルケージはエリートのKIT CRONO CXボトルとボトルケージはエリートのKIT CRONO CX photo:Makoto.AYANOハンドルとステムはPROのミサイルEVOシリーズハンドルとステムはPROのミサイルEVOシリーズ photo:Makoto.AYANO


コンポーネントは9070系シマノデュラエースをベースとしながらも、SRMを使用するためフロントチェーンリング7900系、右側クランクは7800系というアッセンブルとなっていた。ホイールはフロントにWH-9000-C75やC50、リアにPROのカーボンワイドロードチューブラーを採用し、タイヤにはシュワルベの新型「ONE」を組み合わせる。ハンドル周りはPROのミサイルEVOシリーズのTTバーとステムをアッセンブルしていた。



ガーミン・シャープ < サーヴェロ P5 >

トム・ダニエルソン(アメリカ。ガーミン・シャープ)のサーヴェロ P5トム・ダニエルソン(アメリカ。ガーミン・シャープ)のサーヴェロ P5 photo:Makoto.AYANO
ガーミン・シャープは昨シーズン同様にサーヴェロの旗艦モデル「P5」を使用。コンポーネントは7970系デュラエースをベースとしながらも、マグラの油圧式キャリパーブレーキ「RT8」や、ローター製flowクランクを組み合わせる。チェーンリングは楕円の「Q-rings」と真円の「no-Q」を選手によって使い分けたが、TTの場合にはQ-rings使用率が高くなっている様だ。

マグラ RT8のブレーキレバー、内側にはシフトスイッチが装着されるマグラ RT8のブレーキレバー、内側にはシフトスイッチが装着される photo:Makoto.AYANO高いエアロダイナミクスと制動力を持つマグラの油圧ブレーキ「RT8」高いエアロダイナミクスと制動力を持つマグラの油圧ブレーキ「RT8」 photo:Makoto.AYANO

非常にボリュームがあるシートチューブとトップチューブの接合部近傍非常にボリュームがあるシートチューブとトップチューブの接合部近傍 photo:Makoto.AYANO3Tと共同開発した専用品のハンドルを使用する3Tと共同開発した専用品のハンドルを使用する photo:Makoto.AYANO


ホイールはマヴィックを使用する。フロントにはタイヤとホイールの溝を埋めるブレードを採用したエアロホイール「CXR」シリーズを使ったものの、UCI規定に則りCX01ブレードは取り外されていた。80mmハイトのCXR80や60mmハイトのCXR60をコースによって使い分けており、リアはディスクホイールのコメットロードを装着。ハンドルとステムは3Tが製造する専用品を使用する。

トム・ダニエルソン(アメリカ)のバイクはシートポストがオフセットタイプに変更され、ペダルは旧型の金属製デュラエースがアッセンブルされるなど、他のチームメンバーとはアッセンブルに差異が見られた。



エウスカウテル < オルベア ORDU >

エウスカウテルが使用したオルベア ORDUエウスカウテルが使用したオルベア ORDU photo:Makoto.AYANO
エウスカウテルは昨年発表されたオルベアの新型TTバイク「ORDU」でツールを戦った。コンポーネントは7970系シマノデュラエースを装着。ホイールはフロントにWH-9000-C75やC50を使用し、リアはPROの旧型ディスクホイールであった。ハンドルはFSAで、あまり見かけなくなった突出しの大きいブルホーンバーを選択。サドルはオフセットが取りやすいセライタリアのモノリンクシリーズ使用する。



text:Yuya Yamamoto
photo:Makoto Ayano