積極的な姿勢を崩さないアルベルト・コンタドール(スペイン、サクソ・ティンコフ)があわやマイヨジョーヌを巻き込む大クラッシュ。ゴール手前の2級山岳マンス峠が総合上位陣の明暗を分ける中、ルイ・コスタ(ポルトガル、モビスター)が作戦通りの逃げ切り勝利を飾った。

ツール・ド・フランス2013第16ステージ・高低図ツール・ド・フランス2013第16ステージ・高低図 image:A.S.O.3週目の幕開けを告げる第16ステージには、2級山岳が2つと3級山岳が1つ設定されている。ゴールの僅か12km手前に置かれた2級山岳マンス峠(登坂距離9.5km・平均勾配5.2%)がスプリンターの進入を拒んでいる。逃げを狙うアタッカー向きのコースが用意された。

逃げグループを形成するアダム・ハンセン(オーストラリア、ロット・ベリソル)やトム・ドゥムラン(オランダ、アルゴス・シマノ)逃げグループを形成するアダム・ハンセン(オーストラリア、ロット・ベリソル)やトム・ドゥムラン(オランダ、アルゴス・シマノ) photo:Cor Vos休息日明けのこの日、大会最年少ダニー・ファンポッペル(オランダ、ヴァカンソレイユ・DCM)やティボー・ピノ(フランス、FDJ.fr)がスタートせず。

踏切で足止めを食らったプロトン踏切で足止めを食らったプロトン photo:A.S.O.スタート直後にアタックしたのは、「今日は序盤から逃げに乗る作戦だった」というマイヨヴェールのペーター・サガン(スロバキア、キャノンデールプロサイクリング)とイェンス・フォイクト(ドイツ、レディオシャック・レオパード)の2人だった。

メイン集団を長時間コントロールするスカイプロサイクリングメイン集団を長時間コントロールするスカイプロサイクリング photo:A.S.O.カウンターアタックが掛かって一時的に30名ほどの集団が先行したが、更なるアタックによって吸収。続いて35km地点で23名の先行が決まる。

逃げグループを形成したのはハンセン、ジルベール、クインツィアート、ディディエ、ギャロパン、クレーデン、ゴティエ、ヴォクレール、カドリ、リブロン、ロッシュ、トロフィモフ、アスタルロサ、ジャネソン、コスタ、コッペル、ナバーロ、モーリ、ベリトス、ナヴァルダスカス、アルバジーニ、マイヤー、Tドゥムラン、デヘント、フーガーランド、マリノという面々。

この逃げグループに入ることが出来なかったサガンは「逃げが一旦吸収されてから、再びアタックする力が残っていなかった。それからはゴールまでリラックスして走ったよ」と振り返る。

23名の逃げを見送ったメイン集団は、マイヨジョーヌ擁するスカイプロサイクリングが徹底的にコントロール。総合20位・23分26秒遅れのナバーロが入った逃げグループとのタイム差をチェックしながら、ゲラント・トーマス(イギリス)とイアン・スタナード(イギリス)という2人の元イギリスチャンピオンが長時間集団を牽引した。

メイン集団は常時長く伸びた状態で進行したが、スカイプロサイクリングに逃げグループを捕まえる意志はない。タイム差が8分に差し掛かる頃、ゴールまで70kmを残してプロトンが踏切で20秒ストップ。その後も集団を牽引するチームは現れず、ゴールまで50kmを残してタイム差は10分を越えた。

プロヴァンスの山間部を走るプロトンプロヴァンスの山間部を走るプロトン photo:Cor Vos

実質的に逃げ切りを確定させた23名の中では、徐々にステージ優勝に向けた争いが始まる。ゴールまで35kmを切ると、先頭からブレル・カドリ(フランス、アージェードゥーゼル)とジャンマルク・マリノ(フランス、ソジャサン)がアタック。ともにトゥールーズ出身で、普段からトレーニングを一緒にこなすという2人は、追走グループに対して20秒ほどのリードで最後の2級山岳マンス峠に突入した。

2級山岳マンス峠でアタックするアダム・ハンセン(オーストラリア、ロット・ベリソル)2級山岳マンス峠でアタックするアダム・ハンセン(オーストラリア、ロット・ベリソル) photo:A.S.O.平均勾配5.2%の長い登りでアダム・ハンセン(オーストラリア、ロット・ベリソル)やジェローム・コッペル(フランス、コフィディス)、ルイ・コスタ(ポルトガル、モビスター)らがカウンターアタックを仕掛け、そのうちゴールまで18kmを残してコスタが独走に持ち込む。

マンス峠の下りを攻めるアルベルト・コンタドール(スペイン、サクソ・ティンコフ)マンス峠の下りを攻めるアルベルト・コンタドール(スペイン、サクソ・ティンコフ) photo:Cor Vos後方ではクリストフ・リブロン(フランス、アージェードゥーゼル)ら4名が追走グループを形成したが、先頭コスタとのタイム差はぐんぐん広がる。後続に対して50秒のリードを得てゴール12km手前の2級山岳マンス峠をクリアしたコスタが、そのままゴールまで独走した。

マンス峠の下りで落車したアルベルト・コンタドール(スペイン、サクソ・ティンコフ)と、ストップしたクリス・フルーム(イギリス、スカイプロサイクリング)マンス峠の下りで落車したアルベルト・コンタドール(スペイン、サクソ・ティンコフ)と、ストップしたクリス・フルーム(イギリス、スカイプロサイクリング) photo:Cor Vos一方、メイン集団ではカチューシャのペースアップがスタート。ダニエル・モレーノ(スペイン)とホアキン・ロドリゲス(スペイン)の強力な引きによって集団は瞬く間に縮小し、総合5位ローレンス・テンダム(オランダ、ベルキンプロサイクリング)や総合7位ヤコブ・フグルサング(デンマーク、アスタナ)が千切れてしまう。

逃げ切り勝利を飾ったルイ・コスタ(ポルトガル、モビスター)逃げ切り勝利を飾ったルイ・コスタ(ポルトガル、モビスター) photo:Cor Vosすると総合3位のアルベルト・コンタドール(スペイン、サクソ・ティンコフ)がアタック。すかさずリッチー・ポルト(オーストラリア、スカイプロサイクリング)が集団を率いてコンタドールを吸収すると、続いてロマン・クロイツィゲル(チェコ、サクソ・ティンコフ)がカウンター。サクソ・ティンコフの断続的なアタックをポルトが封じ込めた。

リッチー・ポルト(オーストラリア)の献身的な走りに感謝するクリス・フルーム(イギリス、スカイプロサイクリング)リッチー・ポルト(オーストラリア)の献身的な走りに感謝するクリス・フルーム(イギリス、スカイプロサイクリング) photo:A.S.O.3度目のコンタドールのアタックにはフルーム自身が反応し、続くクロイツィゲルのアタックも成功しない。メイン集団はフルーム、クロイツィゲル、コンタドール、ロドリゲス、バルベルデ、クインターナ、モレマに絞られた状態で2級山岳マンス峠をクリア。ポルトは力尽きながらも集団に食らいついた。

ゴールに至るテクニカルな下り区間でもコンタドールの積極性は失われず、コーナーの出口で何度も腰を上げてアタック。しかしマイヨジョーヌを引き離せない。

すると、ゴールまで7kmを残した鋭い右コーナーで先頭を走るコンタドールが落車。直後を走っていたフルームはバランスを崩して脚をつく。すぐサドルに跨がって再スタートを切った両者は、ポルトの献身的な走りによってメイン集団に復帰した。

テンダムを引き離すためにバルベルデがリードするメイン集団は、独走勝利を飾ったコスタから11分08秒遅れでゴール。総合5位テンダム、総合7位フグルサング、総合10位ミカル・クヴィアトコウスキー(ポーランド、オメガファーマ・クイックステップ)はマイヨジョーヌから1分遅れでゴールし、それぞれ総合順位を1つずつ下げた。

ステージ優勝を飾ったコスタはポルトガル生まれの26歳。今年ツール・ド・スイスで2連覇を飾るとともに、2年連続ツール・ド・ロマンディ総合3位という成績を残すオールラウンダーで、2011年ツールでも逃げ切り勝利を飾っている。

「今日は自分の日だと思っていた。登りでアタックして、リードを広げて頂上を越えるという作戦通りの走りが出来たよ。ラスト3kmで勝利を確信した。大観衆に包まれたゴールまでの道を駆け抜ける光景は、一生忘れることがないと思う」とコスタ。チームメイトのクインターナが新人賞のリードを広げ、総合5位にジャンプアップするなど、モビスターにとって喜びの一日となった。

難局を乗り越えたフルームは、「コンタドールはリミッターを外して下りを攻めていた。ペダルから脚を離して落車を免れたけど、あそこまでコンタドールがリスクを冒す必要は無かったと思っている。リッチー・ポルトが傍でサポートしてくれたことが大きな自信に繋がったよ」と語る。総合トップスリーの順位とタイム差は変わらず、フルームは総合2位モレマに対して4分14秒、総合3位コンタドールに対して4分25秒のリードで第17ステージ個人タイムトライアルに挑む。

落車によって右膝に打撲を負ったコンタドールは「表面的な傷だと願っている。明日は重要な一日なので、睡眠を妨げるような怪我じゃなければいいけど。脚の調子は上向きなので、ツール・ド・終盤にかけてもっとかき回したいと思っている」とコメントしている。

また、逃げグループにメンバー3名を送り込んだレディオシャック・レオパードがチーム総合成績(チーム上位3名の合計)でトップに立っている。

選手コメントはレース公式サイトならびにチーム公式サイトより。

ツール・ド・フランス2013第16ステージ結果
1位 ルイ・コスタ(ポルトガル、モビスター)                     3h53'45"
2位 クリストフ・リブロン(フランス、アージェードゥーゼル)               +42"
3位 アルノー・ジャネソン(フランス、FDJ.fr)
4位 ジェローム・コッペル(フランス、コフィディス)
5位 アンドレアス・クレーデン(ドイツ、レディオシャック・レオパード)
6位 トム・ドゥムラン(オランダ、アルゴス・シマノ)                  +1'00"
7位 ミケル・アスタルロサ(スペイン、エウスカルテル)                 +1'01"
8位 フィリップ・ジルベール(ベルギー、BMCレーシングチーム)             +1'04"
9位 キャメロン・マイヤー(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)
10位 ラムナス・ナヴァルダスカス(リトアニア、ガーミン・シャープ)

27位 ナイロ・クインターナ(コロンビア、モビスター)                 +11'08"
28位 ホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ)
29位 クリス・フルーム(イギリス、スカイプロサイクリング)
30位 バウク・モレマ(オランダ、ベルキンプロサイクリング)
31位 ロマン・クロイツィゲル(チェコ、サクソ・ティンコフ)
32位 アルベルト・コンタドール(スペイン、サクソ・ティンコフ)
36位 ジャンクリストフ・ペロー(フランス、アージェードゥーゼル)           +12'08"
38位 ヤコブ・フグルサング(デンマーク、アスタナ)
39位 ローレンス・テンダム(オランダ、ベルキンプロサイクリング)
46位 ミカル・クヴィアトコウスキー(ポーランド、オメガファーマ・クイックステップ)  +12'47"

114位 新城幸也(日本、ユーロップカー)                        +20'57"

敢闘賞
ルイ・コスタ(ポルトガル、モビスター)

個人総合成績 マイヨジョーヌ
1位 クリス・フルーム(イギリス、スカイプロサイクリング)              65h15'36"
2位 バウク・モレマ(オランダ、ベルキンプロサイクリング)               +4'14"
3位 アルベルト・コンタドール(スペイン、サクソ・ティンコフ)             +4'25"
4位 ロマン・クロイツィゲル(チェコ、サクソ・ティンコフ)               +4'28"
5位 ナイロ・クインターナ(コロンビア、モビスター)                  +5'47"
6位 ローレンス・テンダム(オランダ、ベルキンプロサイクリング)            +5'54"
7位 ホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ)                  +7'11"
8位 ヤコブ・フグルサング(デンマーク、アスタナ)                   +7'22"
9位 ジャンクリストフ・ペロー(フランス、アージェードゥーゼル)             +8'47"
10位 ダニエル・マーティン(アイルランド、ガーミン・シャープ)             +9'28"

ポイント賞 マイヨヴェール
1位 ペーター・サガン(スロバキア、キャノンデールプロサイクリング)          377pts
2位 マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、オメガファーマ・クイックステップ)     278Pts
3位 アンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ベリソル)                 223pts

山岳賞 マイヨブランアポワルージュ
1位 クリス・フルーム(イギリス、スカイプロサイクリング                83pts
2位 ナイロ・クインターナ(コロンビア、モビスター)                  66pts
3位 ミケル・ニエベ(スペイン、エウスカルテル)                    53pts

新人賞 マイヨブラン
1位 ナイロ・クインターナ(コロンビア、モビスター)                 65h21'23"
2位 ミカル・クヴィアトコウスキー(ポーランド、オメガファーマ・クイックステップ)   +3'50"
3位 アンドリュー・タランスキー(アメリカ、ガーミン・シャープ)            +7'45"

チーム総合成績
1位 レディオシャック・レオパード                         195h00'32"
3位 サクソ・ティンコフ                                +3'11"
3位 アージェードゥーゼル                               +4'04"

text:Kei Tsuji
photo:A.S.O., Cor Vos, Makoto Ayano
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