ツール・ド・フランスは2回めの休息日をプロヴァンス地方で迎えた。ユーロップカーの滞在するアヴィニョンのホテルで新城幸也に第2週の感想と第3週へ向けての気持ちを訊いた。

新城幸也(ユーロップカー)新城幸也(ユーロップカー) (c)Makoto.AYANO

― 今日の休息日はどう過ごしていますか? 休みを満喫していますか?

手の怪我は現在絆創膏で傷口を覆っている手の怪我は現在絆創膏で傷口を覆っている (c)Makoto.AYANOまだ満喫していませんね。8時15分にドーピングコントロールが来たので起こされました。昨日ぼくらがした走りを見れば検査に来るのは当然ですよね。検査は選手6人が受けました。朝ごはんを食べて10時半に日本からのツール観戦バスツアーの方々と会いました。

それから周辺で1時間半、45kmほど走り、1時半に昼食。その後2時間ほどの昼寝をしました。お楽しみはとくにありませんね(笑)。コントロールがあったぶんたっぷり寝れなかったけど、しっかり休めています。前回の休息日とあまり変わりありません。

― 心配な手の怪我の具合について教えて下さい

大丈夫ですよ。絆創膏をはがして傷をお見せすることもできます。消毒液もしみなくなりました。えぐれているところと、切れているところとがありますが、指も曲げることができますから。患部は再生してきていて、腫れも引きましたね。

新城幸也(ユーロップカー)のゼッケンは52新城幸也(ユーロップカー)のゼッケンは52 (c)Makoto.AYANO― どういう動きで痛みは気になりますか?

握る時ですね。でも昨年手首を骨折した経験があるので、それと比べると楽ですね。そのとき握力がゼロの状況を体験しているので、身体はやっぱり対応方法を覚えています。どちらかというと肋骨の痛みのほうが気になります。でも全然元気です。走れるようになってきているし、日に日に良くなっています。

― 毎日暑い天気が続きますが、キツさは感じますか?

1週目は本当に暑かったですね。でもそれ以降はとくに暑さをつらいとは感じなくなりました。ウェアが夏対応の素材のものに変わったというのもありますが、暑さに苦しんだのは最初のほうだけです。マルセイユと、ピレネーの2日間。でも来週は予報によると天気が悪そうですね。とくにラルプデュエズが。チームメイトも暑さに苦しんでいることはないですね。皆暑さには強いほうだと思います。

― チームスポンサーのユーロップカーの継続契約についてはいつ知りましたか? どう思いましたか?

新城幸也(ユーロップカー)新城幸也(ユーロップカー) (c)Makoto.AYANO僕が契約を継続するかどうかは別の話ですが(笑)、知ったのは今朝です。14時がオフィシャル発表ですが。練習に行く前に知って、選手たちはみんな走りながら良かったねと話しています。

僕自身はあまり大きくは受け止めていませんが、チームは続くということだから良かったです。プロツアーチームに昇格するのかしないのかという細かい話はこれからでしょうね。

― これから厳しいステージが続きますが、どこのステージに狙いを絞りますか?

実質、僕が頑張れる(狙える)ステージというのがあまりないんですが(笑)、チームの誰かと一緒に頑張るというステージがあればですね。(プロフィールマップを見ながら)どうしようもないですよね、これ(笑)。
(自分が)頑張れる(狙える)のはガップへゴールする明日のステージぐらいですね。チームではピエール(ロラン)かトマ(ヴォクレール)をエースにして、誰かがアシストとして一緒に逃げるというのが走り方ですね。トマは完全にステージ狙いです。

― 昨日のステージでラルプデュエズへ入る前に集団を引いたユーロップカーの意図はなんだったんでしょう?

山岳賞を前に逃げた選手にチェックを入れるピエール・ロラン(ユーロップカー)山岳賞を前に逃げた選手にチェックを入れるピエール・ロラン(ユーロップカー) (c)Makoto.AYANO昨日の展開は僕らにとっても賭けみたいなものでしたね。ピエールが前に行ったけど、逃げ集団が追いつかせてくれなかったので、それならば後ろからプレッシャーをかけようということになったんです。それで僕らが引けるところまで引いた。監督の指示でした。

― その監督の指示はどうでしたか?

賢いやり方ではなかったですけど、でもそれだけ昨日のステージは狙っていたということなんです。僕らも1日じゅうは引きたくはなかったんですが。

― 他の選手が疑問を呈していたようですが?

ピエールが行ってから、前に追いつけないことを知らない選手が文句を言って来ました。なぜ引くんだ?って。でも状況を説明すると分かったと言って下がってくれる。皆モンヴァントゥーまでに疲れたくなかったんでしょう。僕らは80kmぐらい引きましたからね。
おかしいですよね。240km走ってモンバントゥー登って平均時速が41km/hでしたからね(苦笑)。

― フルームについてはどう思いますか?
ホテルにはアラシロ・ユキヤを訪ねた子どもたちのファンが大勢訪問 記念写真を一緒に撮るホテルにはアラシロ・ユキヤを訪ねた子どもたちのファンが大勢訪問 記念写真を一緒に撮る (c)Makoto.AYANO
速すぎて一回も見てないですから(笑)。でも強いですね。下向いて走っているようだから突っ込まないか心配です(笑)。昨日は速すぎてバイクに突っ込みそうになっていましたね。

― 第17ステージのアンブリュンの個人TTは誰が勝つと思いますか?

(トニ・)マルティンが本調子で頑張れば可能性はあるかもしれません。でも、フルームは取れるものは取っちゃう性格みたいですからね。TTも勝っちゃうでしょうね。

― 第10ステージの横風ステージの時はどうでしたか?

怪我した翌日だったのでつらかったです。本調子なら前の集団に入れたと思います。ちょうどキッテルが下がったときでした。僕も下がって、次の街を抜けた所で横風が吹いた。そのタイミングをわかっておくのも能力なんでしょうが…。昨日はサクソ・ティンコフのロジャースが僕らチームの走りに文句を言いにきましたが、僕らだって横風の日にああいう走りは望まないと返しました。それぞれチームの狙うところは違いますからね。

― ピエール・ロランはそのときすでに総合を諦めていたと思うんですが、なぜユーロップカーは頑張って前に行こうとしていたんでしょう?結局パンクで遅れてしまったわけですが。

確かに総合を諦めていたかもしれないけど、そのとき前に入れれば総合5位ぐらいにはなれたんです。もしあの時前に入っていれば今総合10位ぐらいにいたはずです。チャンスだと思ったんです。

パンクから戻ってきた時、トマ以外のチーム全員がいたので、僕らが頑張って引けばモビスターもあれだけ大きな被害にはならなかったと思います。でもピエールから「もう引かなくていい」と言われたのでやめました。頑張っていればフルーム集団には追いついたかもしれません。

子供が描いてくれた似顔絵子供が描いてくれた似顔絵 (c)Makoto.AYANO― スカイのチーム力の強さは感じますか?

それほど強いとは思いません。去年のような、登りでスカイがめちゃくちゃ強いという印象はありません。チームがコントロールするような登りがまだないというのもあると思います。第3週はそうなるのかもしれません。

― コンタドールについては?

脚の回りかたを観ていると、完全に3週目に合わせきたなと感じています。調子がよさそうです。

― 体重が減ったように見えますが?
コースマップをみながらアタックできそうなステージ、チームで勝利を狙うステージを考えてみるコースマップをみながらアタックできそうなステージ、チームで勝利を狙うステージを考えてみる (c)Makoto.AYANO
TTの翌日に測った体重では1kg減りましたね。ドクターも喜んでいました。

― ツールのあとのスケジュールを教えて下さい。

イタリア・ルッカでの世界選手権、ジロ・ディ・ロンバルディア、そのあとパリで来年のツールのプレゼンテーションに出て、そのまま日本に飛んでさいたまクリテリウム出場でしょうか。

― 第3週で目的とするステージを改めて教えてください。

明日第16ステージのギャップへのゴールと、第18ステージのラルプデュエズと、第20ステージのアヌシー・セムノスへのゴールの3つのステージがチームで狙うことになるでしょうね。どれかで1勝したいですね。去年3勝したのに今年チームはまだ1勝もできていないですから。

― 最終ステージのシャンゼリゼでの目標順位は?

山をたくさん越えたあとなので、脚が痛くて走れるかどうか、ですね(笑)。


※共同記者会見にて
photo&text:Makoto.AYANO