第14ステージは18名の逃げがそのまま容認され、小集団での競り合いとなった。ゴールを制したのはマッテーオ・トレンティン(イタリア、オメガファーマ・クイックステップ)。オメガファーマ・クイックステップは昨日に続いて2連勝、今大会通算4勝目となった。

ステージ優勝のマッテーオ・トレンティン(イタリア、オメガファーマ・クイックステップ)

喜びを爆発させるマッテーオ・トレンティン(イタリア、オメガファーマ・クイックステップ)喜びを爆発させるマッテーオ・トレンティン(イタリア、オメガファーマ・クイックステップ) photo:Cor Vosゴールではまったく戦略を考えてなかった。チームカーにいるダビデ・ブラマーティ監督に相談したことのひとつは、体力がまったく残ってなさそうだということだった。昨日の横風区間でマーク・カヴェンディッシュ(イギリス)を勝たせるために体力を使い果たしていたからだ。
リヨンのゴールを制したマッテーオ・トレンティン(イタリア、オメガファーマ・クイックステップ)リヨンのゴールを制したマッテーオ・トレンティン(イタリア、オメガファーマ・クイックステップ) (c)Makoto.AYANO
(逃げ集団内の)他の選手たちも、ぼくがこれ以上は力を出せそうにないということを知っていた。これ以外にも山岳を切り抜ける方法を相談した。ティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、BMCレーシングチーム)やアンドリュー・タランスキー(アメリカ、ガーミン・シャープ)、イェンス・フォイクト(ドイツ、レディオシャック・レオパード)などの選手たちは、ぼくよりも山岳が得意だからだ。

彼らから10m離れてしまったけど、最後の2つの山岳をギリギリ生き残れた。最後には彼らに付いていっただけで、必要に応じてギャップを埋めただけだった。正直なところ、残り2kmの地点では、今日はもう終わったと思っていた。ジュリアン・シモン(フランス、ソジャサン)が前のほうでずっとがんばっていたからだ。

最終コーナーでマークス・ブルグハート(ドイツ、BMCレーシングチーム)が、ミハエル・アルバジーニ(スイス、オリカ・グリーンエッジ)と一緒にアタックした。彼らに付いていこうとしたけど、ぼくの後ろについていた選手たちがさらにアタックした。彼らを追うと残り500mで集団がひとつにまとまった。残り200mまで待機して、そこでスプリントを開始した。ちょうど追い風があったのも良かった。今日がプロとしての初勝利になる。幸先の良いスタートになった。


総合1位のクリス・フルーム(イギリス、スカイプロサイクリング)

マイヨジョーヌを守った クリス・フルーム(スカイプロサイクリング)マイヨジョーヌを守った クリス・フルーム(スカイプロサイクリング) (c)Makoto.AYANO明日のモンヴァントゥーは本当に大きな試練となりそうだ。多くの選手たちが勝ちを狙いに行くだろうから、ロードレースの観点からも本当に歴史的な山岳ステージになると思う。その後で休息日を挟んで、アルプスの山岳ステージのある最終週に入る。

集団前方で走るマイヨジョーヌのクリス・フルーム(イギリス、スカイプロサイクリング)集団前方で走るマイヨジョーヌのクリス・フルーム(イギリス、スカイプロサイクリング) photo:A.S.O.アルプスではライバルたちを突き放せたら良いと思っている——総合1位の座にいる選手なら、誰でも同じことを考えると思う。現段階でも、レースではあらゆることが起きる可能性がある。山岳ステージでのバッド・デイだった場合に、失えるタイム差の余裕は2分半までしかない。

バッド・デイを迎えることなしにアルプスの連戦を終えて、少しでもパリに近づけるように願っている。明日のステージは本当に面白くなりそうだ。早いうちに逃げ集団が出てくることも明らかだ。ぼくたちとしては逃げを吸収する動きはしないと思う。ステージ優勝ではなく、総合成績のほうに興味があるからだ。

だけど、他のチームは明日のステージを狙って、逃げを吸収する動きを見せてくるだろう。明日はレース序盤から極めて戦略的な展開になると思う。だけど、ぼくたちのチームが山岳に到達するころには、単純に誰の脚があるかというだけの問題になって、レースは極めて実力勝負の展開になるはずだ。

現在、ぼくたちのチームには7名の選手が残っていて、外部から見るとしばらく苦しい展開になると思われている。でも、他のチームの残り人数と比べても、現段階ではぼくたちのチームはしっかり走れていると思う。


ポイント賞を守ったペーター・サガン(スロバキア、キャノンデールプロサイクリング)ポイント賞を守ったペーター・サガン(スロバキア、キャノンデールプロサイクリング) photo:A.S.O.ポイント賞のペーター・サガン(スロバキア、キャノンデールプロサイクリング)

今日のステージは好ましい展開だった。18人の選手が逃げていたが、彼らがスプリントポイントを獲得しても、ぼくのポイント賞ジャージを脅かす存在にはならないからだ。明日のモンヴァントゥーに向かうステージは、かなり厳しくなると予想している。

なにが起きるかわからない。言えるのは、モンヴァントゥーは有名な山岳で、暑くて、風がありそうなことだ。明日はポイントを獲得するつもりはない。


山岳賞のピエール・ロラン(フランス、ユーロップカー)

山岳賞を守ったピエール・ロラン(フランス、ユーロップカー)山岳賞を守ったピエール・ロラン(フランス、ユーロップカー) photo:A.S.O.明日に関してはまったくプランを考えてない。逃げが出るかもわからない——たぶん難しいと思うけど。この山岳賞ジャージを守るように努力するけど、どういう戦略を取るべきかわからない。

モンヴァントゥーでの勝利か、山岳賞ジャージのどちらを取るか? 両方だ。どちらもすばらしい。モンヴァントゥーでの勝利は、永遠に残り続ける。

山岳賞ジャージは、パリでの4賞のひとつの栄誉に預かるだけではなく、100回記念大会での山岳賞ジャージともなれば、唯一無二のものだからだ。


新人賞・総合7位のミカル・クヴィアトコウスキー(ポーランド、オメガファーマ・クイックステップ)

マイヨブランをキープしたミカル・クヴィアトコウスキー(ポーランド、オメガファーマ・クイックステップ)マイヨブランをキープしたミカル・クヴィアトコウスキー(ポーランド、オメガファーマ・クイックステップ) photo:Cor Vos現在、総合7位であることは本当にうれしい。チームとしては、やるべきことはすべてやってきた。チームとして不運なこともあったけど、ツール全体を1枚の大きな絵として見れば、成功していると思う。ぼくたちは通算4勝を遂げた。もちろん昨日は伝説的なステージで勝てたのはうれしかった。

さらに今日はマッテーオ・トレンティン(イタリア)という素晴らしい選手が逃げに乗って勝利した。チームにとって驚くべき日となった。マッテーオはぼくと同世代で、彼のほうが1歳年上でお互いによく知っている。彼は本当にフレンドリーな選手だ。彼の優勝は本当にうれしい。

明日のモンヴァントゥーについてだけど……シルヴェスタ・シュミット[訳注:モビスター所属のポーランド人選手]がクリテリウム・ドゥ・ドーフィネで1勝したことは知っている。それ以外に言えることはって? ベストを尽くしてがんばるつもりだ。でも、伝説級の山岳ステージだ。少し恐れを感じているけど、どうなるかはやってみないとわからない。


敢闘賞のジュリアン・シモン(フランス、ソジャサン)

敢闘賞を獲得したジュリアン・シモン(フランス、ソジャサン)敢闘賞を獲得したジュリアン・シモン(フランス、ソジャサン) 最後から2つめの山岳で、ミハエル・アルバジーニ(スイス、オリカ・グリーンエッジ)が動いたのでカウンターを仕掛けて、なんとか前に出た。そこから最後まで走り続けるのは、かなり難しかった。

最後の2kmは本当に長かった——長い直線だと、ぼくのチャンスが少なくなってしまうからだ。あれだけ長い直線だったから逃げ切ることができず、とても悔しい。もっとカーブがあれば、逃げ切れたかもしれなかった。ステージ優勝の機会を逃してしまって腹立たしい。

ぼくたちにとっては、こういうチャンスはとても貴重なのは理解している。今日は貴重なワンチャンスが得られた。今後のアルプスの山岳は、ぼくたちが得意とするコースじゃない。勝利のチャンスは去ってしまったのかもしれない。


序盤から逃げたステージ17位のイェンス・フォイクト(ドイツ、レディオシャック・レオパード)

イェンス・フォイクト(レディオシャック・レオパード)らを含む逃げ集団が序盤に形成されるイェンス・フォイクト(レディオシャック・レオパード)らを含む逃げ集団が序盤に形成される (c)Makoto.AYANO今日は勝負するだけの脚はもう残っていなかった。ぼくよりもヤン・バケランツのほうが強そうだったので、彼のアタックをアシストすることにした。

自分の勝利の可能性が低いことを早い段階でバケランツに言って、彼に任せるべきだった。脱落してからはフィニッシュラインを超えることだけを目指した。今日は誰にとってもペースの速い1日だった。

ステージ12位のヤン・バケランツ(ベルギー、レディオシャック・レオパード)

明日のモンヴァントゥーは恐れてはいない。逃げが起きたとしても、そう長くは続かないと思う。モビスターは、このツールで結果を出すためになにかをやる必要があるだろうけど。


※ソースは現地取材、記者会見、チーム公式ウェブサイト、選手個人のウェブサイトおよびTwitter、Facebookなど。

translation & text: Seiya.YAMASAKI