6月29日(土)、地中海に浮かぶコルシカ島で開幕を迎える第100回ツール・ド・フランス。ここでは、コルシカ島での3ステージやニースでのチームタイムトライアル、スプリンター向きの平坦ステージ、ピレネー山脈の難関ステージ、モンサンミッシェルでの個人タイムトライアルに至る前半戦のコースを紹介。

6月29日(土)第1ステージ
ポルトヴェッキオ~バスティア 213km
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ツール・ド・フランス2013第1ステージ・高低図ツール・ド・フランス2013第1ステージ・高低図 image:A.S.O.ツールの開幕地はコルシカ島南部のポルトヴェッキオ。標高2500m級の山々が連なる同島の東岸を200km以上にわたってひたすら北上する。レース序盤に登場する4級山岳は「大会最初のマイヨアポワルージュ着用者」を決めるためだけに置かれたハードルであり、勝負には全く影響しない。ほぼ100%大集団によるゴールスプリントに持ち込まれる。

大会初日にプロローグではなくラインレース(第1ステージ)が行なわれるのは近年の中では珍しいこと。2年前の2011年はラインレースで開幕したが、起伏に富んだコースが設定され、フィリップ・ジルベール(ベルギー)が勝利。平坦ステージが設定されるのは実に47年ぶりであり、マイヨジョーヌ獲得を狙うスプリンターたちがここぞとばかりにチャンスを狙ってくる。この日最も注意したいのは、海から吹き付ける風だ。




6月30日(日)第2ステージ
バスティア~アジャクシオ 156km
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ツール・ド・フランス2013第2ステージ・高低図ツール・ド・フランス2013第2ステージ・高低図 image:A.S.O.コルシカ島北東部のバスティアから、同島南西部に位置する最大の都市アジャクシオまで、全長156kmを駆け抜ける。コルシカ島を横断するためには、必然的に同島中央部の山岳地帯を通らなければならない。レース中盤に登場する3級山岳ベッラグラナホと2級山岳セッラ峠、2級山岳ヴィッツァヴォーナ峠がそれだ。この日の最高地点である標高1163mヴィッツァヴォーナ峠は、3月のクリテリウム・アンテルナシオナルで通過している。

登場する山岳はいずれも登坂距離が5kmほどで平均勾配は5〜7%。まだまだ総合を動かす難易度とは言えず、登れているスプリンターによるゴールスプリント勝負、もしくは少人数による逃げ切りが考えられる。いずれの展開でも、ラスト12km地点に位置する平均勾配8.9%の3級山岳サラリオ峠が勝負の鍵を握ることは間違いないだろう。




7月1日(月)第3ステージ
アジャクシオ~カルヴィ 145.5km
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ツール・ド・フランス2013第3ステージ・高低図ツール・ド・フランス2013第3ステージ・高低図 image:A.S.O.単調な東海岸とは打って変わって、コルシカ島の西海岸は入り組んでいる。コルシカ最終日の第3ステージは、断崖絶壁を含む海岸線に沿って、クネクネと北上する。「ピアナのカランケ、ジロラータ湾、スカンドーラ自然保護区を含むポルト湾」としてユネスコ世界遺産に指定されている一帯を通過するのだ。

登場するカテゴリー山岳は4つで、ゴールの13km手前には2級山岳マルソリーノ峠(登坂距離3.3km・平均勾配8.1%)が設定されている。コースを設計したジャンフランソワ・ペシュー氏曰く「平坦区間が1mも無いコース」。一日中ずっとアップダウンとコーナリングの繰り返しであり、ピュアスプリンターが勝負に絡むのは難しい。ステージ優勝を狙うパンチャーたちが勇んで飛び出すはず。オールラウンダーたちにとってはナーバスな一日になるだろう。レース主催者も「コルシカでツールは勝てないが、ツールを失うことは起こり得る」と警鐘を鳴らしている。




7月2日(火)第4ステージ
ニース〜ニース 25km(チームTT)
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ツール・ド・フランス2013第4ステージ・高低図ツール・ド・フランス2013第4ステージ・高低図 image:A.S.O.コルシカ島から休息日を挟まずにツールはフランス本土に移動。ツール1週目はピレネー山脈に向かって西進する日々が続く。選手たちは第3ステージ終了後すぐに空路で移動し、コートダジュールの中心都市ニースを舞台にした25kmのチームタイムトライアルに備える。第1走のチームは15時15分スタート予定で、その後4分間隔で全22チームがスタート。9名のうち、5番目にフィニッシュラインを駆け抜けた選手のタイムが成績に反映される。

ニース空港の脇をかすめて内陸部で折り返し、ニースの海岸通プロムナード・デ・ザングレにゴールするコースはほぼフラットで直線基調。トップチームは55km/h近いスピードで駆け抜けるだろう。荒れた路面や横断歩道のバンプには注意したい。ここで大きなリードは奪えないが、ライバルに対してタイムを失う可能性は充分にある。




7月3日(水)第5ステージ
カニュ・シュル・メール~マルセイユ 228.5km
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ツール・ド・フランス2013第5ステージ・高低図ツール・ド・フランス2013第5ステージ・高低図 image:A.S.O.プロヴァンスの丘陵地帯を西に向かって走る一日。ゴール地点は、別府史之がアマチュア時代に所属していたラ・ポム・マルセイユの本拠地、フランス第二の都市マルセイユだ。228.5kmの長いコースには標高400m級の難易度の低いカテゴリー山岳が合計4つ設定されている。集団スプリントに持ち込まれる可能性が高いが、季節風「ミストラル」が吹き付ける地域だけに、選手たちにとってはコースプロフィール以上に厳しいステージになるかも知れない。

この日最も注目したいのはレース序盤から登場する4つのカテゴリー山岳ではなく、ラスト12km地点にポツンと置かれたカテゴリー無しのジネスト峠だ。地中海を望むこの標高326mの峠(登坂距離8km・平均勾配3.1%)が、スプリンターの前に立ちはだかる。スプリンターの隙を突いて少人数が逃げ切るシナリオも充分に考えられる。




7月4日(木)第6ステージ
エクサン・プロバンス~モンペリエ 176.5km
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ツール・ド・フランス2013第6ステージ・高低図ツール・ド・フランス2013第6ステージ・高低図 image:A.S.O.ボー・ド・プロヴァンスの平野を東から西へ。68km地点に登場するアルピーユ山塊の4級山岳ヴェード峠を除けば、176.5kmのコースはほぼ真っ平ら。モンペリエのフィニッシュラインは、マーク・カヴェンディッシュ(イギリス)が2011年にステージ優勝した時と全く同じ場所だ。スプリンターチームがトレインを組んで高速でゴールに突っ込む。ラスト300mからは緩やかな登りだ。

この日のキーワードは「風による集団分裂に注意」。北西からコンスタントに吹く風「ミストラル(トラモンターヌ)」が波乱を巻き起こすことも考えられる。2009年の第3ステージでは、アルベルト・コンタドール(スペイン)がこの強風によって集団から脱落し、29名の先行が決まっている。あとはこの地域特有の暑さに苦しむ選手も出てくるだろう。




7月5日(金)第7ステージ
モンペリエ~アルビ 205.5km
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ツール・ド・フランス2013第7ステージ・高低図ツール・ド・フランス2013第7ステージ・高低図 image:A.S.O.コートダジュールからピレネーを結ぶ「中継ぎステージ」の最終日。中盤にかけて3級、2級、3級、4級のカテゴリー山岳が組み込まれている。翌日から本格的なピレネー山脈に突入するため、ピュアクライマーではない選手がマイヨアポワ(山岳賞ジャージ)を着る最後のチャンス。スタート後しばらく続く平坦区間では、激しいアタック合戦が繰り広げられるだろう。逆にマイヨジョーヌ狙いの選手たちは集団の中で静かに一日を過ごす。

コース設計者ペシュー氏によると「セオリー的には、スプリンターにチャンスがあるステージ」。171km地点の4級山岳通過後、ユネスコ世界遺産の街アルビに向けて、スプリンターチームが総力を挙げて逃げを捕まえにかかる。ツール開幕から1週間が経ち、ポイント賞ランキングにも落ち着きが見られる頃だ。




7月6日(土)第8ステージ
カストル~アクス・トロワ・ドメーヌ 195km
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ツール・ド・フランス2013第8ステージ・高低図ツール・ド・フランス2013第8ステージ・高低図 image:A.S.O.第100回ツールは最初の山岳決戦地ピレネーに差し掛かる。第8ステージは今大会最初の難関山岳ステージであり、今大会最初の頂上ゴールだ。新城幸也がエキップアサダ時代に住んでいた地域をスタート後、およそ120kmにわたって平坦路が続く。

まず最初に登場するのは超級山岳パイエール峠(登坂距離15.3km・平均勾配8%)。標高2001mの頂きに向かう登りはヘアピンの連続で、傾斜もキツく、終盤にかけて勾配が10%を超える。18.5kmの長いダウンヒルをこなした後、最後は1級山岳アクス・トロワ・ドメーヌ(登坂距離7.8%・平均勾配8.2%)にアタック。このアクス・トロワ・ドメーヌの頂上はゴールの1500m手前に位置しており、頂上通過後平坦区間を経てようやくフィニッシュを迎える。2010年に登場した際にはクリストフ・リブロン(フランス)が逃げ切り勝利を飾っている。




7月7日(日)第9ステージ
サン・ジロン~バニェール・ド・ビゴール 168.5km
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ツール・ド・フランス2013第9ステージ・高低図ツール・ド・フランス2013第9ステージ・高低図 image:A.S.O.2級山岳ポルテ・ダスペ峠、1級山岳マンテ峠、1級山岳ペイルスルード峠、1級山岳ヴァル・ルロン峠、1級山岳ウルケット・ダンシザン…。標高1500m級の峠をつなぐジェットコースターのようなコースが休息日前に用意された。マイヨアポワ奪取&逃げ切りを狙う選手たちがモチベーション高くこの難関ステージに挑むはずだ。

後半に連続して登場する3つの1級山岳は選手に休む間を与えない。最後の1級山岳ウルケット・ダンシザンを越えると、ゴール地点バニェール・ド・ビゴールまで約30kmのダウンヒル。この長い下り区間で抜け出すことが出来れば、ライバルたちからリードを奪うことだって可能だ。ペシュー氏はこの下りについて「戦略を複雑化させ、サスペンスを演出するため」だとコメントしている。なお、選手たちはゴール後すぐに空路でフランス北部まで移動。スタッフや関係者は陸路で700kmを移動する。




7月8日(月)休息日




7月9日(火)第10ステージ
サン・ジルダ・デボワ~サン・マロ 197km
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ツール・ド・フランス2013第10ステージ・高低図ツール・ド・フランス2013第10ステージ・高低図 image:A.S.O.休息日を挟んで、ツールはブルターニュ地方に舞台を移す。第10ステージは、ツール・ド・フランスで3度総合優勝に輝いたルイゾン・ボベの生誕地サンメーン・ルグラン(103km地点)と、ツールで5度総合優勝したベルナール・イノーが住むカロルゲン(132km地点)を通過する。また、ツール開催100回を記念して、フランス最大の軍学校の一つであるサンシール陸軍士官学校(64km地点)を史上初めて通過予定。制服に身を包んだサン・シーリャンたちがツールのプロトンを迎える。

142km地点で4級山岳ディナンを通るが、勝負には何ら影響しない。疑いの無い100%スプリンター向きの平坦ステージだ。ラスト20kmからは大西洋沿いのオーシャンロード。サンマロの街に向けてスプリンターチームがトレインを組む。




7月10日(水)第11ステージ
アブランシュ~モンサンミッシェル 33km(個人TT)
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ツール・ド・フランス2013第11ステージ・高低図ツール・ド・フランス2013第11ステージ・高低図 image:A.S.O.第100回ツールの目玉の一つが、エッフェル塔に次いで国内2番目の観光地モンサンミッシェル。第11ステージは、このユネスコ世界遺産の小島にゴールする個人タイムトライアルだ。距離は平坦個人TTにしては短めの33kmで、優勝予想タイムは40分前後。一帯には遮るものがないため、選手たちは海から吹く風に苦しめられることになるだろう。トニ・マルティン(ドイツ)をはじめとするTTスペシャリストたちが優勝候補に挙げられる。

モンサンミッシェルがツールに登場するのは2回目で、1990年に登場した際にはヨハン・ムセーウがスプリント勝利を飾っている。なお、砂州化によって実質的に小島は本土と陸続きになっている。現在、堤防を取り除いて桟橋を建築し、モンサンミッシェルを小島に戻す国家プロジェクトが進行中だ。




text:Kei Tsuji
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