1級山岳リスルにゴールするクリテリウム・ドゥ・ドーフィネ(UCIワールドツアー)最終ステージでアレッサンドロ・デマルキ(イタリア、キャノンデールプロサイクリング)が逃げ切り勝利。抜群の安定感を見せるスカイプロサイクリングがワンツー体制で大会を制した。

クリテリウム・ドゥ・ドーフィネ2013第8ステージ・コース高低図クリテリウム・ドゥ・ドーフィネ2013第8ステージ・コース高低図 image:A.S.O.胸元に青いラインが入ったイエロージャージの持ち主を決めるのが、終盤にかけて2つの1級山岳が連続するこの第8ステージ。ラスト36km地点で1級山岳ヴァル峠を越え、最後は1級山岳リスルを駆け上がってゴールを迎える。

曇り空のアルプス山岳を走るプロトン曇り空のアルプス山岳を走るプロトン photo:Cor Vosドーフィネの勝者を決めるこの日、レース序盤に24名の巨大な逃げグループが形成される。もちろんこの中には山岳賞ジャージを着るトマ・ダムソー(フランス、アルゴス・シマノ)の姿も。中間スプリントでポイントを稼ぎたいポイント賞ジャージを着るジャンニ・メールスマン(ベルギー、オメガファーマ・クイックステップ)の姿もあった。

常に集団先頭で走るクリス・フルーム(イギリス、スカイプロサイクリング)常に集団先頭で走るクリス・フルーム(イギリス、スカイプロサイクリング) photo:Cor Vosピエール・ロラン(フランス、ユーロップカー)をはじめ多くの選手がリタイアして行く中、メイン集団が淡々とタイム差を調整しながらレース後半へ。登坂距離10.4km・平均勾配6.9%の1級山岳ヴァル峠で逃げグループは5名に絞られ、これをサクソ・ティンコフ率いるメイン集団が追う。

ヴァル峠の下りでアルベルト・コンタドール(スペイン、サクソ・ティンコフ)が落車したが、問題なくレースに復帰。やがて登坂距離13.9km・平均勾配6.7%の1級山岳リスルの登りが始まると、先頭ではティム・ウェレンス(ベルギー、ロット・ベリソル)が独走を開始する。3分遅れで登りに入ったメイン集団からはステージ優勝狙いのコンタドールが飛び出した。

スカイプロサイクリングがコントロールするメイン集団から、トニー・ギャロパン(フランス、レディオシャック・レオパード)とともに飛び出したコンタドール。しかし総合3位のマイケル・ロジャース(オーストラリア、サクソ・ティンコフ)が集団から脱落したため、アシスト役のコンタドールは減速を強いられる。ロジャースの集団復帰を目指してコンタドールは献身的にアシストし続けたが、結果的に1分55秒遅れでゴール。ロジャースは総合3位から総合6位にダウンした。

霧が立ち込める登りでデマルキがウィレンスを抜いて先頭に立つ。デマルキはメイン集団から1分リードを得てラスト3km。後続を24秒差で振り切ったデマルキが独走で勝利した。

先頭で1級山岳リソルを登るアレッサンドロ・デマルキ(イタリア、キャノンデールプロサイクリング)先頭で1級山岳リソルを登るアレッサンドロ・デマルキ(イタリア、キャノンデールプロサイクリング) photo:Cor Vosライバルたちを振り切るクリス・フルーム(イギリス、スカイプロサイクリング)ライバルたちを振り切るクリス・フルーム(イギリス、スカイプロサイクリング) photo:Cor Vos
霧に包まれたゴールに先頭で飛び込むアレッサンドロ・デマルキ(イタリア、キャノンデールプロサイクリング)霧に包まれたゴールに先頭で飛び込むアレッサンドロ・デマルキ(イタリア、キャノンデールプロサイクリング) photo:Riccardo Scanferla
ビッグネームひしめくUCIワールドツアーの山頂フィニッシュでプロ初勝利を、デマルキは「人生最高の夢のような体験」と表現する。「プロ入りから何度も何度も逃げに挑戦し続けて来た。ラスト1kmまで勝利を確信出来なかったよ。こんなビッグレースで逃げ切りを達成することが出来て本当に嬉しい」。

クリテリウム・ドゥ・ドーフィネ2013総合トップスリークリテリウム・ドゥ・ドーフィネ2013総合トップスリー photo:Riccardo Scanferla一方、メイン集団ではイエロージャージのクリス・フルーム(イギリス、スカイプロサイクリング)がアタックを仕掛け、チームメイトで総合2位のリッチー・ポルト(オーストラリア)がこれに合流。ドーフィネをリードするスカイの2人がライバルたちを引き離す。

フルームとポルトは、ゴール手前で追いついたアンドリュー・タランスキー(アメリカ、ガーミン・シャープ)とともにゴール。総合ワンツー勝利を決めた。

「ツールの前哨戦とされるドーフィネで、ベストフレンドの1人であるリッチー・ポルトとともにワンツー勝利を飾るなんて最高のシナリオだ。これ以上の結果は望めない。ツールでも全力で勝利を目指す。自分たちには追い風が吹いている」。ツールを前に自信と確信を得たフルームとポルト。ツール開幕まで残り20日だ。

連日積極的に動いたトマ・ダムソー(フランス、アルゴス・シマノ)が山岳賞ジャージを獲得連日積極的に動いたトマ・ダムソー(フランス、アルゴス・シマノ)が山岳賞ジャージを獲得 photo:Cor Vos逃げに乗り、制限時間内にゴールしたジャンニ・メールスマン(ベルギー、オメガファーマ・クイックステップ)がポイント賞ジャージを獲得逃げに乗り、制限時間内にゴールしたジャンニ・メールスマン(ベルギー、オメガファーマ・クイックステップ)がポイント賞ジャージを獲得 photo:Cor Vos

選手コメントはレース公式サイトより。

クリテリウム・ドゥ・ドーフィネ2013第8ステージ結果
1位 アレッサンドロ・デマルキ(イタリア、キャノンデールプロサイクリング)  4h28'09"
2位 クリス・フルーム(イギリス、スカイプロサイクリング)             +24"
3位 アンドリュー・タランスキー(アメリカ、ガーミン・シャープ)
4位 リッチー・ポルト(オーストラリア、スカイプロサイクリング)          +31"
5位 ヤコブ・フグルサング(デンマーク、アスタナ)                 +38"
6位 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)               +49"
7位 ホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ)
8位 ダニエル・モレーノ(スペイン、カチューシャ)
9位 ダニエル・ナバーロ(スペイン、コフィディス)                 +55"
10位 ローハン・デニス(オーストラリア、ガーミン・シャープ)          +1'00"

個人総合成績
1位 クリス・フルーム(イギリス、スカイプロサイクリング)          29h28'46"
2位 リッチー・ポルト(オーストラリア、スカイプロサイクリング)          +58"
3位 ダニエル・モレーノ(スペイン、カチューシャ)                +2'12"
4位 ヤコブ・フグルサング(デンマーク、アスタナ)                +2'20"
5位 ダニエル・ナバーロ(スペイン、コフィディス)                +3'08"
6位 マイケル・ロジャース(オーストラリア、サクソ・ティンコフ)         +3'08"
7位 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)              +3'12"
8位 ローハン・デニス(オーストラリア、ガーミン・シャープ)           +3'24"
9位 サムエル・サンチェス(スペイン、エウスカルテル)              +4'25"
10位 アルベルト・コンタドール(スペイン、サクソ・ティンコフ)         +4'27"

ポイント賞
ジャンニ・メールスマン(ベルギー、オメガファーマ・クイックステップ)

山岳賞
トマ・ダムソー(フランス、アルゴス・シマノ)

新人賞
ローハン・デニス(オーストラリア、ガーミン・シャープ)

チーム総合成績
スカイプロサイクリング

text:Kei Tsuji
photo:Riccardo Scanferla, Cor Vos

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