コースの近くに住む別府史之(オリカ・グリーンエッジ)がレース序盤から逃げグループを形成。フミは約150kmにわたって4名で逃げ続けたが、スプリンター擁するチームによって動きを封じられてしまう。大集団のスプリントでエドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー、スカイプロサイクリング)が勝利した。

クリテリウム・ドゥ・ドーフィネ2013第3ステージ・コース高低図クリテリウム・ドゥ・ドーフィネ2013第3ステージ・コース高低図 image:A.S.O.重要な個人タイムトライアルを翌日に控えた6月4日、クリテリウム・ドゥ・ドーフィネ第3ステージはアンベリュー・アン・ビュジェイからタラールまでの167kmを駆ける。3級山岳が2つ設定されただけのコースは今大会最も難易度が低いと言っていい。

マイヨジョーヌを着るダヴィ・ヴェイユー(カナダ、ユーロップカー)マイヨジョーヌを着るダヴィ・ヴェイユー(カナダ、ユーロップカー) photo:Riccardo Scanferlaスタート地点はフミの自宅から僅か10kmの距離。リヨン近郊に住むフミにとってこの日のコースはまさに地元だ。スタート直後にアタックを仕掛けたフミにはフアンアントニオ・フレチャ(スペイン、ヴァカンソレイユ・DCM)、ジェイコブ・レイズ(アメリカ、ガーミン・シャープ)、サンダー・コーデル(ベルギー、ロット・ベリソル)が合流する。こうして4名の逃げが決まった。

逃げグループを形成する別府史之(オリカ・グリーンエッジ)ら逃げグループを形成する別府史之(オリカ・グリーンエッジ)ら photo:Cor Vos「フミは逃げに乗りたいという意志を見せていた。家から10kmの距離なので、土地勘がアドバンテージになったはず。今日は決して逃げ向きのステージではなかったけど、レースでは何が起こるか分からない。大きな賭けだったが、挑戦しない理由は無い」。オリカ・グリーンエッジのマシュー・ウィルソン監督はフミの逃げについてそう説明する。

3級山岳ソヴァージュでアタックするローラン・ディディエ(ルクセンブルク、レディオシャック・レオパード)3級山岳ソヴァージュでアタックするローラン・ディディエ(ルクセンブルク、レディオシャック・レオパード) photo:Cor Vos先頭4名のリードは6分50秒まで拡大。しかし総合32位・1分57秒遅れのフレチャが逃げに乗ったため、ユーロップカーは慎重にタイム差を調整する。レース後半に入ると、集団コントロールはユーロップカーからオメガファーマ・クイックステップに引き継がれた。

フミは中間スプリントポイントと3級山岳エシャルモーを2番手通過。集団ペースアップに合わせて逃げグループもペースを上げたが、やがてメイン集団とのタイム差が1分を割り込む。最後まで抵抗したコーデルもゴールまで13kmを残して吸収された。

ゴール10km手前の3級山岳ソヴァージュで、ローラン・ディディエ(ルクセンブルク、レディオシャック・レオパード)やバルト・デクレルク(ベルギー、ロット・ベリソル)がアタック。10秒リードを築いて単独で頂上を通過したデクレルクには、下りでミカル・クヴィアトコウスキー(ポーランド、オメガファーマ・クイックステップ)が合流したが、スプリンターチームを振り切ることは出来ない。

テクニカルなコーナーを抜け、ゲラント・トーマス(イギリス)らにリードアウトされたノルウェーチャンピオンのボアッソンハーゲンが好位置からスプリントを開始する。

下り区間でのポジション取りに力を使ったフランスチャンピオンのナセル・ブアニ(フランス、FDJ)は伸びず、マイケル・マシューズ(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)らを振り切ったボアッソンハーゲンが勝利した。

ゴールスプリントを制したエドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー、スカイプロサイクリング)ゴールスプリントを制したエドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー、スカイプロサイクリング) photo:Riccardo Scanferla
ボアッソンハーゲンは春のクラシックレースで精彩を欠いたものの、5月に地元ノルウェーで開催されたツアー・オブ・ノルウェーで総合優勝。ドーフィネでは2010年と2012年にもステージ優勝を飾っている。

キャリア3度目のステージ優勝を飾ったエドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー、スカイプロサイクリング)キャリア3度目のステージ優勝を飾ったエドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー、スカイプロサイクリング) photo:Riccardo Scanferla「最後の登り(3級山岳)からゴールにかけてはチームの力が活きた。ケノーにサポートされ、トーマスにリードアウトされた。信じられないような働きをしてくれたチームに感謝している。ドーフィネで再び勝つことが出来て嬉しいよ。調子が上がって来ているので、この先のステージではクリス・フルームをアシストしたい。チームスカイの最大の目標は彼のマイヨジョーヌ獲得だ」。ボアッソンハーゲンは7月のツール・ド・フランスに向けて調子を上げている。山岳ステージでアシストとして働き、スプリントで勝利を狙えるボアッソンハーゲンはチームスカイにとって欠かせない存在だ。

150kmにわたって逃げたフミは4分遅れでフィニッシュ。レース後、フミは以下のようにツイートしている。「今日は地元を走るステージで逃げに乗った。知っている道で沢山応援してもらって、とっても楽しむことが出来た。終盤タイム差が一気に詰まって逃げ切るには十分ではなくなり残り15km地点で捕まってしまったけど、チームメイトのマシューズがスプリントで2位に食い込んで良い一日になった」。

選手コメントはレース公式サイトより。

クリテリウム・ドゥ・ドーフィネ2013第3ステージ結果
1位 エドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー、スカイプロサイクリング) 4h03'32"
2位 マイケル・マシューズ(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)
3位 ジャンニ・メールスマン(ベルギー、オメガファーマ・クイックステップ)
4位 トル・フースホフト(ノルウェー、BMCレーシングチーム)
5位 エリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、キャノンデールプロサイクリング)
6位 レイナード・ヤンセファンレンズバーグ(南アフリカ、アルゴス・シマノ)
7位 ナセル・ブアニ(フランス、FDJ)
8位 ポール・ヴォス(ドイツ、ネットアップ・エンドゥーラ)
9位 シルヴァン・シャヴァネル(フランス、オメガファーマ・クイックステップ)
10位 フランチェスコ・ガヴァッツィ(イタリア、アスタナ)
159位 別府史之(日本、オリカ・グリーンエッジ)                +4'09"

個人総合成績
1位 ダヴィ・ヴェイユー(カナダ、ユーロップカー)              12h00'22"
2位 ジャンニ・メールスマン(ベルギー、オメガファーマ・クイックステップ)    +1'56"
3位 トニー・ギャロパン(フランス、レディオシャック・レオパード)        +1'57"
4位 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)
5位 ワレン・バーギル(フランス、アルゴス・シマノ)
6位 ヤコブ・フグルサング(デンマーク、アスタナ)
7位 ゲラント・トーマス(イギリス、スカイプロサイクリング)
8位 アンヘル・マドラソルイス(スペイン、モビスター)
9位 リッチー・ポルト(オーストラリア、スカイプロサイクリング)
10位 アルベルト・コンタドール(スペイン、サクソ・ティンコフ)

ポイント賞
ジャンニ・メールスマン(ベルギー、オメガファーマ・クイックステップ)

山岳賞
トマ・ダムソー(フランス、アルゴス・シマノ)

新人賞
トニー・ギャロパン(フランス、レディオシャック・レオパード)

チーム総合成績
ユーロップカー

text:Kei Tsuji
photo:Riccardo Scanferla, Cor Vos

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