リエージュ近郊のバヌーを発着点とする175.6kmで争われたツアー・オブ・ベルギー最終ステージ。総合首位のトニ・マルティン(ドイツ、オメガファーマ・クイックステップ)がフィリップ・ジルベール(ベルギー、BMCレーシングチーム)らの追撃を振り切り2年連続の総合優勝を達成した。

積極的な動きを見せたシクロクロス世界王者スヴェン・ネイス(ベルギー、クレラン・ユーフォニー)積極的な動きを見せたシクロクロス世界王者スヴェン・ネイス(ベルギー、クレラン・ユーフォニー) (c)CorVos前日に続き、アルデンヌらしい細かなアップダウンが多く含まれるコースで争われたツアー・オブ・ベルギー第5ステージ。雨の降る悪条件のレース序盤、まず逃げに入ったのは総合3位のトム・ボーネン(ベルギー、オメガファーマ・クイックステップ)、ジョニー・フーガーランド(オランダ、ヴァカンソレイユ・DCM)、ラース・ボーム(オランダ、ブランコプロサイクリング)ら4人。しかし、メイン集団はこの危険な逃げを35.6km地点で吸収する。

単独で逃げるルイスレオン・サンチェス(スペイン、ブランコプロサイクリング)単独で逃げるルイスレオン・サンチェス(スペイン、ブランコプロサイクリング) (c)CorVosその後、再び超強力な先頭集団が形成される。この逃げ集団に入ったのは、昨日も逃げたビョルン・ルークマンス(ベルギー、ヴァカンソレイユ・DCM)、シクロクロス世界王者スヴェン・ネイス(ベルギー、クレラン・ユーフォニー)、フレフ・ファンアフェルマート(ベルギー、BMCレーシングチーム)、アレクサンドル・コロブネフ(ロシア、カチューシャ)、フーガーランドら12人。

総合逆転をかけアタックするフィリップ・ジルベール(ベルギー、BMCレーシングチーム)総合逆転をかけアタックするフィリップ・ジルベール(ベルギー、BMCレーシングチーム) (c)CorVosメイン集団は逃げ集団との差を2分弱に保ちながらレースを進める。一方、逃げ集団は活性化する。ネイス、フーガーランド、ローラン・デヴリーゼ(ベルギー、トップスポート・フラーンデレン)が抜け出し、最大17秒を稼ぐも吸収される。続いてダイス・アル(オランダ、テレネット・フィデア)、トムイェルテ・スラグテル(オランダ、ブランコプロサイクリング)がそれぞれ単独でアタックするも、逃げ集団から抜け出す事は出来ない。この間に逃げ集団とメイン集団のタイム差は26秒に減少。逃げに入った選手が続々と吸収されていく。

強力な追走から逃げきったルイスレオン・サンチェス(スペイン、ブランコプロサイクリング)強力な追走から逃げきったルイスレオン・サンチェス(スペイン、ブランコプロサイクリング) (c)CorVos残り39km地点でメイン集団から飛び出したルイスレオン・サンチェス(スペイン、ブランコプロサイクリング)、トム・ドゥムラン(オランダ、アルゴス・シマノ)、逃げ集団に入っていたコロブネフとフーガーランドが先頭集団を形成し、メイン集団に1分23秒のリードを稼ぐ。
そしてサンチェスがアタックし、残り27km地点で逃げ集団に50秒、メイン集団に1分4秒のタイム差で独走を始める。そしてメイン集団からは総合逆転を狙うフィリップ・ジルベール(ベルギー、BMCレーシングチーム)がアタック。しかし、マルティンはこの動きに対し冷静に対処、ジルベールをマークして自ら追いつく。

トニ・マルティン(ドイツ、オメガファーマ・クイックステップ)がツアー・オブ・ベルギー2連覇を達成トニ・マルティン(ドイツ、オメガファーマ・クイックステップ)がツアー・オブ・ベルギー2連覇を達成 (c)CorVosジルベールのアタックをきっかけに、マルティン、フランシスコ・ガヴァッツィ(イタリア、アスタナ)アンドレアス・クレーデン(ドイツ、レディオシャック・レオパード)を含む4人のグループが形成され、サンチェスを追走。しかし、サンチェスの勢いは止まらず、強力な追走を振り切ってゴール。今シーズン初戦となったベルギーで復活の勝利を挙げた。次いで、ジルベールやマルティンら4人の集団はガヴァッツィを先頭にゴール。

結果、マルティンが総合首位を守りきり、昨年に続き大会2連覇を達した。サンチェス、ジルベール、クレーデンは総合順位を上げることに成功した。ポイント賞はアンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ベリソル)、山岳賞はミカエル・イグナチエフ(ロシア、カチューシャ)、新人賞はトム・ドゥムラン(オランダ、アルゴス・シマノ)がそれぞれ守りきっている。また、新城幸也(日本、ユーロップカー) はこの日もシングルリザルトの9位でゴール。総合順位を大きく上げ、12位で大会を終えている。


ツアー・オブ・ベルギー2013第4ステージ結果
1位 ルイスレオン・サンチェス(スペイン、ブランコプロサイクリング) 4h42'18"
2位 フランシスコ・ガヴァッツィ(イタリア、アスタナ)         +0′27″
3位 フィリップ・ジルベール(ベルギー、BMCレーシングチーム)
4位 アンドレアス・クレーデン(ドイツ、レディオシャック・レオパード)
5位 トニ・マルティン(ドイツ、オメガファーマ・クイックステップ)
6位 ユルゲン・ルーランズ(ベルギー、ロット・ベリソル)        +0′47″
7位 ジェローム・ブニ―(ベルギー、トゥーウィン・ジョーサン)     +1′13″
8位 マルセル・メイセン(ドイツ、BKCPパワープラス)          +1′16″
9位 新城幸也(日本、ユーロップカー)                  +1′17″
10位 セルゲイ・ラグティン(ウズベキスタン、ヴァカンソレイユ・DCM)

個人総合成績
1位 トニ・マルティン(ドイツ、オメガファーマ・クイックステップ)   17h28'32"
2位 ルイスレオン・サンチェス(スペイン、ブランコプロサイクリング)   +0′36″
3位 フィリップ・ジルベール(ベルギー、BMCレーシングチーム)      +0′51″
4位 アンドレアス・クレーデン(ドイツ、レディオシャック・レオパード)  +1′18″
5位 トム・ドゥムラン(オランダ、アルゴス・シマノ)           +1′30″
6位 フランシスコ・ガヴァッツィ(イタリア、アスタナ)          +1′36″
7位 クリストフ・ヴァンデワール(ベルギー、オメガファーマ・クイックステップ)+1′43″
8位 ユルゲン・ルーランズ(ベルギー、ロット・ベリソル)         +1′44″
9位 ニキ・テルプストラ(オランダ、オメガファーマ・クイックステップ)  +1′49″
10位 アレクセイ・ツァテヴィッチ(ロシア、カチューシャ)         +2′04″
12位 新城幸也(日本、ユーロップカー)                  +2′44″

ポイント賞
アンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ベリソル)

山岳賞
ミカエル・イグナチエフ(ロシア、カチューシャ)

新人賞
トム・ドゥムラン(オランダ、アルゴス・シマノ)


text:Yuya.YAMAMOTO
photo:CorVos