悪天候によってコース変更を強いられたジロ・デ・イタリア第14ステージ。1級山岳ジャフローの頂上ゴールで総合上位陣によるバトルが繰り広げられ、マウロ・サンタンブロジオ(イタリア、ヴィーニファンティーニ)が勝利した。同タイムでゴールしたヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ)は総合リードを広げている。

逃げるルーカ・パオリーニ(イタリア、カチューシャ)やダニエーレ・ピエトロポッリ(イタリア、ランプレ・メリダ)逃げるルーカ・パオリーニ(イタリア、カチューシャ)やダニエーレ・ピエトロポッリ(イタリア、ランプレ・メリダ) photo:Kei Tsuji第14ステージは本来チェルヴェレからバルドネッキアまでの168kmで行なわれる予定だったが、中盤に登場する標高2035mのスキーリゾート地セストリエーレの登りが積雪によって通行不可に。急遽コースは渓谷沿いに沿ってバルドネッキアに向かう180kmに変更された。

スカイプロサイクリングがメイン集団の先頭でペースを上げるスカイプロサイクリングがメイン集団の先頭でペースを上げる photo:Riccardo Scanferlaスタート時間に合わせるように降り出した雨の中、ピーター・ステティーナ(アメリカ、ガーミン・シャープ)、ソニー・コルブレッリ(イタリア、バルディアーニヴァルヴォーレ・CSFイノックス)、エゴイ・マルティネス(スペイン、エウスカルテル)、ピーター・ウェーニング(オランダ、オリカ・グリーンエッジ)、ルーカ・パオリーニ(イタリア、カチューシャ)、ダニエーレ・ピエトロポッリ(イタリア、ランプレ・メリダ)、マッテーオ・トレンティン(イタリア、オメガファーマ・クイックステップ)の逃げが14km地点で決まる。

マリアローザを先頭に1級山岳ジャフロー峠を登るメイン集団マリアローザを先頭に1級山岳ジャフロー峠を登るメイン集団 photo:Riccardo Scanferlaメイン集団に対して7名は徐々にタイム差を広げたが、ここでステティーナ、マルティネス、ウェーニングが落車してしまう。落車した3名はメイン集団に吸収され、イタリア人4名が先行する展開となった。

ゴールまで2kmを残してアタックするヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ)ゴールまで2kmを残してアタックするヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ) photo:Riccardo Scanferlaタイム差は最大で9分50秒まで拡大する。雨に濡れた路面によってメイン集団内ではアレッサンドロ・ヴァノッティ(イタリア、アスタナ)やエンリーコ・バッタリーン(イタリア、バルディアーニヴァルヴォーレ・CSFイノックス)が落車。両者はともにリタイアを強いられた。

マリアローザから遅れをとるカデル・エヴァンス(オーストラリア、BMCレーシングチーム)らマリアローザから遅れをとるカデル・エヴァンス(オーストラリア、BMCレーシングチーム)ら photo:Kei Tsujiヴィーニファンティーニやキャノンデールプロサイクリング、アンドローニジョカトリ、スカイプロサイクリングがメイン集団のコントロールを開始すると、先頭4名のリードは縮小傾向に。ゴールまで50kmを残して9分あったタイム差は、ラスト25km地点で5分に。メカトラで後退したトレンティンを除くコルブレッリ、パオリーニ、ピエトロポッリの3名は4分リードで1級山岳ジャフローの登りに差し掛かった。

ゴール地点はバルドネッキアのスキー場ジャフロー。平均勾配が9%に達するこの登りでスカイプロサイクリングがペースアップを試みると、メイン集団の人数は縮小。ゴールまで5kmを残してディエゴ・ローザとフランコ・ペッリツォッティ(イタリア、アンドローニジョカトリ)、セルジオルイス・エナオモントーヤ(コロンビア、スカイプロサイクリング)がアタックを仕掛けたが決まらない。

するとゴールまで2kmを残してマリアローザがアタック。勾配10%オーバーの登りで飛び出したヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ)に反応出来たのは、マウロ・サンタンブロジオ(イタリア、ヴィーニファンティーニ)とカルロスアルベルト・ベタンクール(コロンビア、アージェードゥーゼル)のみ。

コルブレッリら、逃げていた選手を全員をパスしながら、ニーバリグループはリゴベルト・ウラン(コロンビア、スカイプロサイクリング)やカデル・エヴァンス(オーストラリア、BMCレーシングチーム)との距離を広げていく。

やがて先頭からはベタンクールが脱落。ニーバリとサンタンブロジオの一騎打ちとなり、サンタンブロジオが先着した。

ニーバリを抑えてステージ優勝したマウロ・サンタンブロジオ(イタリア、ヴィーニファンティーニ)ニーバリを抑えてステージ優勝したマウロ・サンタンブロジオ(イタリア、ヴィーニファンティーニ) photo:Riccardo Scanferla
「ステージ優勝のことだけを考えてジロに挑んでいた」というサンタンブロジオが、ジロのステージ初勝利。昨年までBMCレーシングチームに所属し、エヴァンスをサポートしていたロンバルディア生まれの28歳が、難関山岳ステージで大きな勝利を手にした。

ステージ優勝を飾ったマウロ・サンタンブロジオ(イタリア、ヴィーニファンティーニ)ステージ優勝を飾ったマウロ・サンタンブロジオ(イタリア、ヴィーニファンティーニ) photo:Riccardo Scanferla総合3位のウランが30秒遅れ、総合2位のエヴァンスが33秒遅れでゴール。それぞれ総合2位と3位の座はキープしたが、総合首位ニーバリとのタイム差は広がった。ステージ優勝&ボーナスタイム20秒獲得のサンタンブロジオはウランと僅か1秒差の総合4位に浮上している。

マリアビアンカはラファル・マイカ(ポーランド、サクソ・ティンコフ)がキープ。しかしステージ3位のカルロスアルベルト・ベタンクール(コロンビア、アージェードゥーゼル)が追い上げを見せており、現在マイカと7秒差の新人賞2位。総合争いと新人賞争いが並行して繰り広げられている。

この日、雪が降るほどの寒さに震えながらゴールしたのは180名の選手たち。翌日の第15ステージは、ほぼ予定通り開催されることが決まっている。ゴール地点はガリビエ峠の頂上ではなく、頂上4.2km手前の標高2301m地点に置かれる予定だ。

総合リードを広げることに成功したヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ)総合リードを広げることに成功したヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ) photo:Kei Tsuji20分以上遅れてゴールを目指すグルペット20分以上遅れてゴールを目指すグルペット photo:Kei Tsuji


ジロ・デ・イタリア2013第14ステージ結果
1位 マウロ・サンタンブロジオ(イタリア、ヴィーニファンティーニ)          4h42'55"
2位 ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ)
3位 カルロスアルベルト・ベタンクール(コロンビア、アージェードゥーゼル)        +09"
4位 サムエル・サンチェス(スペイン、エウスカルテル)                  +26"
5位 リゴベルト・ウラン(コロンビア、スカイプロサイクリング)              +30"
6位 カデル・エヴァンス(オーストラリア、BMCレーシングチーム)             +33"
7位 ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、バルディアーニヴァルヴォーレ・CSFイノックス)
8位 ロベルト・キセロフスキー(クロアチア、レディオシャック・レオパード)
9位 ソニー・コルブレッリ(イタリア、バルディアーニヴァルヴォーレ・CSFイノックス)   +55"
10位 ダミアーノ・カルーゾ(イタリア、キャノンデールプロサイクリング)         +58"

個人総合成績
1位 ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ)               57h20'52"
2位 カデル・エヴァンス(オーストラリア、BMCレーシングチーム)            +1'26"
3位 リゴベルト・ウラン(コロンビア、スカイプロサイクリング)             +2'46"
4位 マウロ・サンタンブロジオ(イタリア、ヴィーニファンティーニ)           +2'47"
5位 ミケーレ・スカルポーニ(イタリア、ランプレ・メリダ)               +3'53"
6位 プリジミスラウ・ニエミエツ(ポーランド、ランプレ・メリダ)            +4'55"
7位 ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、アージェードゥーゼル)          +5'12"
8位 ラファル・マイカ(ポーランド、サクソ・ティンコフ)                +5'32"
9位 カルロスアルベルト・ベタンクール(コロンビア、アージェードゥーゼル)       +5'39"
10位 ベナト・インチャウスティ(スペイン、モビスター)                +5'51"

ポイント賞
マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、オメガファーマ・クイックステップ)

山岳賞
ステファノ・ピラッツィ(イタリア、バルディアーニヴァルヴォーレ・CSFイノックス)

新人賞
ラファル・マイカ(ポーランド、サクソ・ティンコフ)

チーム総合成績
スカイプロサイクリング

text&photo:Kei Tsuji in Bardonecchia, Italy