2級山岳ヴァイオントにゴールする中級山岳コースで、20名におよぶ大きな逃げグループが形成。登りでライバルたちを振り切ったラムナス・ナヴァルダスカス(リトアニア、ガーミン・シャープ)がステージ初優勝を飾った。

逃げを見送ったメイン集団をアスタナがコントロール逃げを見送ったメイン集団をアスタナがコントロール photo:Riccardo Scanferlaジロ・デ・イタリア第11ステージはイタリア北部の山岳地帯を駆け抜ける。いわゆるドロミテ山塊を走るが、コース的にはそこまで厳しくない。

マリアアッズーラ堅守のためにこの日も動いたステファノ・ピラッツィ(イタリア、バルディアーニヴァルヴォーレ・CSFイノックス)マリアアッズーラ堅守のためにこの日も動いたステファノ・ピラッツィ(イタリア、バルディアーニヴァルヴォーレ・CSFイノックス) photo:Riccardo Scanferlaレース前半は渓谷に沿って走り、悪名高きゾンコランの横を通り過ぎ、ゴールまで62kmを残して標高1790mの2級山岳チャンピゴット峠をクリア。そこから一旦下り、同じく2級山岳に指定されたヴァイオントにゴールする。頂上ゴールではあるが、平均勾配は5%ほどしかない。

2級山岳チャンピゴット峠の下りで逃げグループから飛び出したパトリック・グレッチュ(ドイツ、アルゴス・シマノ)2級山岳チャンピゴット峠の下りで逃げグループから飛び出したパトリック・グレッチュ(ドイツ、アルゴス・シマノ) photo:Riccardo Scanferla完全に逃げ切り向きのステージだけに、この日は1時間以上にわたって激しいアタック合戦が繰り広げられた。最初の1時間の平均スピードが53.5km/hという猛烈なスピードの中、アタックを成功させたのは総合に影響しない20名。

ヴァイオントダムを横目にゴールを目指すヴァイオントダムを横目にゴールを目指す photo:Kei Tsuji逃げたのはブエルタ・ア・エスパーニャの覇者コーボや、ジロ・デ・イタリアの覇者ディルーカら。逃げメンバーはマルティネス、ドゥケ、コーボ、ボナフォン、ロドリゲス、ピラッツィ、マルテンス、オス、サルミエント、レボン、グセフ、パウエルス、ケウケレール、ポポヴィチ、プッチォ、グレッチュ、ペオロフ、フェヘレン。メイン集団をコントロールするアスタナがタイム差を容認したため、実質的にステージ優勝の行方は先頭20名に絞られた。

2級山岳チャンピゴット峠はロドリゲスが先頭通過。2番手通過したピラッツィはマリアアッズーラのリードを広げることに成功している。続いて、このチャンピゴット峠の下りでパトリック・グレッチュ(ドイツ、アルゴス・シマノ)が逃げグループの中からアタックした。

2008年から2年連続でロード世界選手権U23タイムトライアルの表彰台に登っているグレッチュは、他の逃げメンバーに対して1分のリードを得る。しかし、単独で19名を敵に回すのは酷。ゴールまで25kmを切ると、ダニーロ・ディルーカ(イタリア、ヴィーニファンティーニ)らがペースの上がらない逃げグループから抜け出しにかかる。すると、ダニエル・オス(イタリア、BMCレーシングチーム)とラムナス・ナヴァルダスカス(リトアニア、ガーミン・シャープ)の2人がカウンターアタックで飛び出した。

オスとナヴァルダスカスの2人は、最後の2級山岳ヴァイオントの登りで先頭グレッチュをパス。平均勾配5%の緩い登りでナヴァルダスカスの独走が始まる。いくつもの暗いトンネルを抜け、駆けつけた多くの観客の声援を受けたナヴァルダスカスが先頭でゴールした。

オスやピラッツィの追撃を振り切ったナヴァルダスカスが、念願のステージ初優勝。「昨年マリアローザを着た時とはまた違った喜びがある。ジロで勝つなんて本当に光栄だ」。昨年ナヴァルダスカスはチームタイムトライアルで優勝したあと、リトアニア人として史上初めてマリアローザに袖を通している。

独走でゴールするラムナス・ナヴァルダスカス(リトアニア、ガーミン・シャープ)独走でゴールするラムナス・ナヴァルダスカス(リトアニア、ガーミン・シャープ) photo:Riccardo Scanferla

総合上位陣には大きなトラブルもアタックもなく、まとまって5分41秒遅れでゴールした。総合、山岳、ポイント、新人賞に変動は無し。ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ)がマリアローザを持ったままジロは後半戦に突入する。
1年ぶりにスプマンテを開けるラムナス・ナヴァルダスカス(リトアニア、ガーミン・シャープ)1年ぶりにスプマンテを開けるラムナス・ナヴァルダスカス(リトアニア、ガーミン・シャープ) photo:Riccardo Scanferlaマリアローザはヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ)が守るマリアローザはヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ)が守る photo:Riccardo Scanferla


ジロ・デ・イタリア2013第11ステージ結果
1位 ラムナス・ナヴァルダスカス(リトアニア、ガーミン・シャープ)           4h23'14"
2位 ダニエル・オス(イタリア、BMCレーシングチーム)                   +1'08"
3位 ステファノ・ピラッツィ(イタリア、バルディアーニヴァルヴォーレ・CSFイノックス)  +2'59"
4位 サルヴァトーレ・プッチォ(イタリア、スカイプロサイクリング)            +3'07"
5位 ポール・マルテンス(ドイツ、ブランコプロサイクリング)
6位 ダニーロ・ディルーカ(イタリア、ヴィーニファンティーニ)
7位 エゴイ・マルティネス(スペイン、エウスカルテル)
8位 セルジュ・パウエルス(ベルギー、オメガファーマ・クイックステップ)         +3'10"
9位 エフゲニー・ペトロフ(ロシア、サクソ・ティンコフ)                 +3'11"
10位 ジャクソン・ロドリゲス(ベネズエラ、アンドローニジョカトリ)           +3'25"

個人総合成績
1位 ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ)                43h26'27"
2位 カデル・エヴァンス(オーストラリア、BMCレーシングチーム)             +41"
3位 リゴベルト・ウラン(コロンビア、スカイプロサイクリング)             +2'04"
4位 ブラドレー・ウィギンズ(イギリス、スカイプロサイクリング)            +2'05"
5位 ロバート・ヘーシンク(オランダ、ブランコプロサイクリング)            +2'12"
6位 ミケーレ・スカルポーニ(イタリア、ランプレ・メリダ)               +2'13"
7位 マウロ・サンタンブロジオ(イタリア、ヴィーニファンティーニ)           +2'55"
8位 プリジミスラウ・ニエミエツ(ポーランド、ランプレ・メリダ)            +3'35"
9位 ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、アージェードゥーゼル)          +4'17"
10位 ラファル・マイカ(ポーランド、サクソ・ティンコフ)               +4'21"

ポイント賞
カデル・エヴァンス(オーストラリア、BMCレーシングチーム)

山岳賞
ステファノ・ピラッツィ(イタリア、バルディアーニヴァルヴォーレ・CSFイノックス)

新人賞
ラファル・マイカ(ポーランド、サクソ・ティンコフ)

チーム総合成績
スカイプロサイクリング

text&photo:Kei Tsuji in Vajont, Italy

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