灼熱の気温の下で繰り広げられた山岳バトル。アメリカのコンチネンタルチームに所属するアレクシス・アセヴェド(コロンビア、ジェーミス・ハーゲン)がティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、BMCレーシングチーム)との真っ向勝負を制し、リーダージャージを獲得した。

マリエータの街をスタートしていくマリエータの街をスタートしていく photo:Tour Of California/Brian Hodes5月14日に開催されたツアー・オブ・カリフォルニア(UCI2.HC)第2ステージ。その舞台となったのは、カリフォルニア州の南部の街マリエータから内陸に向かい、カテゴリー1級の頂上ゴール・パームスプリングスにかけての199.7kmだ。

翻る星条旗の下走るメイン集団翻る星条旗の下走るメイン集団 photo:Tour Of California/Brian Hodes序盤こそ平坦基調で難易度も低いが、コース中盤からは標高1500mクラスの本格的な山岳コースを通過。1級の山岳ポイントを通過した後は一旦海抜0m付近まで降下し、最後は標高およそ760mの頂上ゴールまで一気に駆け上がる。

1級山岳マウンテンポイントを上るメイン集団1級山岳マウンテンポイントを上るメイン集団 photo:Tour Of California/Brian Hodesゴールが設けられたパームスプリングスは、距離5.9kmと短いながらも平均勾配12%以上を誇る難関山岳で、この日の総獲得標高は2984m。この日も気温は40℃を軽くオーバーし、脱水症状を訴える選手を続出させる厳しい展開となった。

レースはリアルスタート直後からアタックと吸収を繰り返すスピーディーな展開へと持ち込まれ、13km地点で逃げグループが発生する。ここにはジェイソン・マッカートニー(ビッセルプロサイクリング)やスコット・ズウィザンスキー(オプタムp/b)、ベンジャック・メイネス(ジェーミス・ハーゲン)らアメリカ人選手3名に加え、シルヴァン・シャヴァネル(フランス、オメガファーマ・クイックステップ)が加わった。

4名は均等にローテーションを回し、最大で12分15秒のタイム差を稼ぎだすことに成功する。中盤に設定された1級山岳を先頭通過したのはメイネス。10ポイントを獲得してカーター・ジョーンズ(ビッセルプロサイクリング)が着る山岳賞ジャージを狙う姿勢を見せる。

この日集団のコントロールを担ったのは、リーダージャージのリエーベ・ヴェストラ(オランダ)擁するヴァカンソレイユ・DCM。中盤からはマイケル・ロジャース(オーストラリア)の総合ジャンプアップを狙うサクソ・ティンコフがここに加わり、徐々に先頭のリードを奪い取っていく。タイム差は残り16kmで3分までに縮まった。

カリフォルニア州南部の山岳地帯を走るカリフォルニア州南部の山岳地帯を走る photo:Tour Of California/Brian Hodes

独走でゴールに飛び込んだアレクシス・アセヴェド(コロンビア、ジェーミス・ハーゲン)独走でゴールに飛び込んだアレクシス・アセヴェド(コロンビア、ジェーミス・ハーゲン) photo:Tour Of California/Brian Hodesすると本格的な山岳を前に先手を打ったのは地元コンチネンタルチームのオプタムp/b。2名がアタックし数十秒のリードを得たものの、徐々にスピードを上げる集団にはあがなえずに吸収。ネットアップ・エンデューラが牽く集団は協調体制を崩していた先頭4名も吸収し、ハイペースのまま山岳路へと突入していった。

新人賞ジャージのローソン・クラドック(アメリカ、ボントレガー)新人賞ジャージのローソン・クラドック(アメリカ、ボントレガー) photo:Tour Of California/Brian Hodesスタート時点から上昇を止めない気温はこの時点で遂に43℃に到達する。勾配、そして暑さに苦しむ選手が続々と脱落していく集団からは、残り4kmからフィリップ・ダイグナン(アイルランド、ユナイテッドヘルスケア)がアタックを敢行する。

ステージ表彰台ステージ表彰台 photo:Tour Of California/Brian Hodes続いてアレクシス・アセヴェド(コロンビア、ジェーミス・ハーゲン)とティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、BMCレーシングチーム)が飛び出したことで集団は崩壊し、マイケル・ロジャース(オーストラリア、サクソ・ティンコフ)ら有力勢も脱落。この日の勝負はダイグナンを抜き去った2名に絞られた。

そして残り1kmからアセヴェドが飛び出すと、ヴァンガーデレンはこれを追うことができない。最終的に12秒のリードを得たアセヴェドが、渾身のガッツポーズでゴールをくぐった。

「ティージェイは打ち負かすべきライバルだとよく理解していたよ。アタックした時、彼を上回る力があると感じていたんだ。ずっとリーダージャージのことを考えていた。勝つことができてとてもハッピーな気分だ。」と語るアセヴェド。並み居る強豪選手を真っ向勝負で下し、リーダージャージの獲得という大金星をあげることに成功した。

一方で「彼(アセヴェド)は強すぎた。超高温だったから、アタックに反応するのが怖かった。一度限界を越えてしまうと回復が不可能なんだ。」というヴァンガーデレンの言葉を象徴するように、この日は高温によってDNFを喫した選手も。翌日も40℃程の最高気温が予報されるため、選手やチーム関係者からはコース短縮の声が上がっている。


ツアー・オブ・カリフォルニア2013第2ステージ結果
1位 アレクシス・アセヴェド(コロンビア、ジェーミス・ハーゲン)   5h07′40″
2位 ティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、BMCレーシングチーム)  +12″
3位 フィリップ・ダイグナン(アイルランド、ユナイテッドヘルスケア)   +27″
4位 マティアス・フランク(スイス、BMCレーシングチーム)    +45″
5位 マイケル・ロジャース(オーストラリア、サクソ・ティンコフ)   +55″
6位 チャド・ハーガ(アメリカ、オプタムp/b) +1′13″
7位 マシュー・ブッシュ(アメリカ、レディオシャック・レオパード)+1′15″
8位 フランシスコ・マンセボ(スペイン、5アワーエナジー) 
9位 ローソン・クラドック(アメリカ、ボントレガー)+1′32″
10位 キャメロン・メイヤー(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ) +1′40″

個人総合成績
1位 アレクシス・アセヴェド(コロンビア、ジェーミス・ハーゲン)   9h39′19″
2位 ティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、BMCレーシングチーム) +12″
3位 フィリップ・ダイグナン(アイルランド、ユナイテッドヘルスケア) +27″
4位 マティアス・フランク(スイス、BMCレーシングチーム)   +45″
5位 マイケル・ロジャース(オーストラリア、サクソ・ティンコフ) +55″
6位 フランシスコ・マンセボ(スペイン、5アワーエナジー) +1′03″
7位 チャド・ハーガ(アメリカ、オプタムp/b)             +1′13″
8位 マシュー・ブッシュ(アメリカ、レディオシャック・レオパード) +1′15″
9位 ローソン・クラドック(アメリカ、ボントレガー)   +1′32″
10位 キャメロン・メイヤー(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)+1′40″

ポイント賞
リエーベ・ヴェストラ(オランダ、ヴァカンソレイユ・DCM)

山岳賞
カーター・ジョーンズ(アメリカ、ビッセルプロサイクリング)

新人賞
ローソン・クラドック(アメリカ、ボントレガー)

チーム総合成績
ユナイテッドヘルスケア


text:So.Isobe
photo:Tour Of California/Brian Hodes