ナポリ近郊に設けられた周回コースを巡る130kmのコースで争われた第1ステージ。ハイスピードの展開のまま勝負は最終周回まで持ち込まれた。しかしゴールまで残り2kmで落車が発生。前方での落車だったため、これを回避できたわずか10名ほどの勝負に。

マリアローザのライダー・ヘジダル(カナダ、ガーミン・シャープ)を先頭にプレビシート広場をスタートマリアローザのライダー・ヘジダル(カナダ、ガーミン・シャープ)を先頭にプレビシート広場をスタート photo:Kei Tsuji

ヴェスヴィオ火山とプロトンヴェスヴィオ火山とプロトン photo:Kei Tsujiジロ・デ・イタリア2013、第96回大会はカンパニア州のナポリでグランデ・パルテンツァを迎えた。
前日にオープニングセレモニーとチームプレゼンテーションを行なったプレビシート広場から、207名(23チーム x 9名)の選手たちが3週間の「コルサローザ」(バラ色ののレース)の旅をスタートさせる。
コースはナポリ近郊を周回する、近年のグランツールでは珍しい設定。標高161mの4級山岳を含む16.3kmの周回コースを4周してから、海沿いの平坦路に作られた8.1km周回を7周。最後はナポリの美しき海岸通で決着が付けられる。
レース序盤に7名の逃げグループが形成されるレース序盤に7名の逃げグループが形成される photo:Kei Tsuji南イタリアを代表するナポリの街に観戦に来た人たちの前を何度もハイスピードの集団が通る。プロローグの顔見世の意味合いとマスドスタートレースの醍醐味を両立した粋なレースだ。
初日にタイムトライアルではなく平坦ステージが用意され、さらにボーナスタイム(ステージ優勝者は20秒)が復活したことはスプリンターたちにとって朗報。とにかく第1ステージで優勝すればマリアローザを着る栄誉が与えられる。コースプロフィールからは集団スプリントで勝負が決することはほぼ間違いない。

スタート直後に始まったアタック合戦の後、次の7人の逃げが決まる。
ギヨーム・ボナフォン(フランス、アージェードゥーゼル)
マルコ・カノーラ(イタリア、バルディアーニヴァルヴォーレ・CSFイノックス)
リカルド・メストレ(ポルトガル、エウスカルテル)
ブリアン・ブルギャク(オランダ、ロット・ベリソル)
ジョヴァンニ・ヴィスコンティ(イタリア、モビスター)
キャメロン・ウルフ(キャノンデール・プロサイクリング)
マルティン・ケイゼル(オランダ、ヴァカンソレイユ・DCM)
ジョヴァンニ・ヴィスコンティ(イタリア、モビスター )

ナポリの海側に作られた市街地サーキットナポリの海側に作られた市街地サーキット photo:Kei Tsuji7人の逃げはすぐに容認されたものの、スプリント勝負に持ち込みたいオメガファーマ・クイックステップとアルゴス・シマノのコントロールにより差は2分ほどに保たれる。
アルゴス・シマノとオメガファーマ・クイックステップが終始メイン集団を率いるアルゴス・シマノとオメガファーマ・クイックステップが終始メイン集団を率いる photo:Kei Tsujiナポリの路面の悪さは周知の通り。継ぎ接ぎだらけの舗装、穴、石畳、そして滑りやすい箇所が選手たちのタイヤをすくう。パンクや落車で多くの選手がダメージを受けて走っている。
コースに2つあるカテゴリー4級の上りではヴィスコンティとウルフが先頭通過。ヴィスコンティの山岳賞が確定した。
その後、抜けだしたウルフが独走状態に入る。他の6人は72kmで集団に飲み込まれたが、ウルフは2分弱の差を持って逃げ続ける。キャノンデール勢が後方で先頭牽引責任を回避できることにあつながるこの逃げはラスト19kmまで続いた。

集団はウィギンズを守る動きのスカイ、そしてオメガファーマ・クイックステップ、そしてオリカ・グリーンエッジらが支配し、ゴールスプリントに向けてスピードを上げていく。ウルフが捕まってからはキャノンデールが先頭リードに加わり、ハイスピードでフィナーレへと向かう。
しかしラスト2kmで先頭付近で落車が発生。これをまぬがれたのはカヴェンディッシュとマシュー・ゴスらを含む12人ほどのみ。
ゴスがゴールに向けて早めにしかけるも、カヴェンディッシュが急加速で追い抜き、ジロ開幕ステージを制した。ゴスはゴール前数十メートルで足が止まり、2位にはエリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、キャノンデールプロサイクリング)、3位にナセル・ブアニ(フランス、FDJ)が入った。

ブアニとヴィヴィアーニを振り切ったマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、オメガファーマ・クイックステップ)ブアニとヴィヴィアーニを振り切ったマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、オメガファーマ・クイックステップ) photo:Kei Tsuji

少人数ながら精鋭揃いのゴールスプリントを制したカヴェンディッシュは、マリアローザに袖を通した。
落車の影響を受け遅れた選手たちはゴール前3km圏内だったためタイム差なしの集団ゴールの扱いとなった。

ジロ・デ・イタリア2013第1ステージ
1位 マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、オメガファーマ・クイックステップ) 2h58'38"
2位 エリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、キャノンデールプロサイクリング)
3位 ナセル・ブアニ(フランス、FDJ)
4位 ジャコモ・ニッツォロ(イタリア、レディオシャック・レオパード)
5位 マシュー・ゴス(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)
6位 フランシスコホセ・ベントソ(スペイン、モビスター)
7位 アダム・ブライス(オーストラリア、BMCレーシングチーム)
8位 リー・ハワード(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)
9位 ダニーロ・ホンド(ドイツ、レディオシャック・レオパード)
10位 ブレット・ランカスター(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)

個人総合(マリアローザ)
マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、オメガファーマ・クイックステップ)

ポイント賞(マリアロッサ)
マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、オメガファーマ・クイックステップ)

山岳賞(マリアアッズーラ)
ジョヴァンニ・ヴィスコンティ(イタリア、モビスター)

新人賞(マリアビアンカ)
エリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、キャノンデールプロサイクリング)


text:Makoto.AYANO
photo:Kei.TSUJI