昨年山岳賞2位のカルロス・サストレ(スペイン、サーヴェロ)昨年山岳賞2位のカルロス・サストレ(スペイン、サーヴェロ) photo:Kei Tsuji昨年のマイヨアポワ争いは、山岳で躍進したベルンハート・コール(オーストリア、ゲロルシュタイナー)が圧倒的なポイント差で制した。

しかしドーピング違反が発覚したコールは、その後ドーピング使用を自白。現役引退を発表した。2007年に同賞を獲得したマウリシオ・ソレール(コロンビア、バルロワールド)も出場しないため、今年のツールはマイヨアポワ受賞経験者ゼロだ。

若手クライマーとして期待されるロバート・ヘーシンク(オランダ、ラボバンク)若手クライマーとして期待されるロバート・ヘーシンク(オランダ、ラボバンク) photo:Cor Vos山岳賞争いの舞台はもちろん山岳ステージ。総合争いも必然的に山岳ステージで繰り広げられるため、総合狙いの選手がランキング上位に絡むことが多い。地道にコツコツとポイントを重ねても、総合狙いの選手が超級の頂上ゴールを一つ穫っただけで順位が逆転してしまうこともある。

山岳賞争いの鍵を握るのは、1級山岳が4つと2級山岳が1つ設定された第17ステージ。このステージのカテゴリー山岳を全て先頭で通過すると、一気に85ポイントを荒稼ぎできる。ここで決着がつかない場合は、最終日前日のモンヴァントゥーまで持ち越し。超級山岳モンヴァントゥーに先頭でゴールすれば40ポイント獲得だ。

昨年ブエルタで山岳賞に輝いたダヴィ・モンクティエ (フランス、コフィディス)昨年ブエルタで山岳賞に輝いたダヴィ・モンクティエ (フランス、コフィディス) 総合狙いの選手の中でも、山岳力に長けたカルロス・サストレ(スペイン、サーヴェロ)やロバート・ヘーシンク(オランダ、ラボバンク)、フランク・シュレク(ルクセンブルク、サクソバンク)は自然とマイヨアポワ争いに加わるだろう。

ジロ・デ・イタリアでサストレは難関頂上ゴールを2つ制し、ずば抜けたクライミング能力を見せつけた。タイムトライアルでタイムを失い、総合成績で遅れた場合、これらの選手がマイヨアポワ狙いにスイッチする可能は充分ある。

ジロで山岳ステージを制したフランコ・ペッリツォッティ(イタリア、リクイガス)ジロで山岳ステージを制したフランコ・ペッリツォッティ(イタリア、リクイガス) photo:Kei.Tsujiレース序盤から山岳賞を狙って動くと思われるのがダヴィ・モンクティエ(フランス、コフィディス)やトマ・ヴォクレール(フランス、Bboxブイグテレコム)、シルヴァン・シャヴァネル(フランス、クイックステップ)。

昨年ブエルタ・ア・エスパーニャで山岳賞を受賞したモンクティエは、フランスを代表するクライマーとして赤玉ジャージを狙ってくるだろう。ヴォクレールは毎年序盤のステージで積極的にポイントを狙って飛び出す。昨年はマイヨアポワを5日間着用するとともに、最終的に山岳賞4位に入っている。

ジロを総合3位で終えたフランコ・ペッリツォッティ(イタリア、リクイガス)はダークホース的な存在だ。ジロで2年連続頂上ゴールを制したペッリツォッティは、若手エース2人をアシストしながら、自ら山岳ポイントを狙ってくるかもしれない。

パリ〜ニースに続いてツール・ド・スイスでも山岳賞に輝いたトニ・マルティン(ドイツ、チームコロンビア)は、TTスペシャリストからオールラウンダー、そしてクライマーへと成長しつつある。山岳ステージで大逃げを決め、その持久力のある粘り強い走りでポイントを量産できれば、山岳賞獲得も現実的になる。

2008年ツールの山岳賞ランキング(チーム名は当時の所属チーム)
1位 ベルンハート・コール(オーストリア、ゲロルシュタイナー)128pts※ドーピング違反発覚
2位 カルロス・サストレ(スペイン、チームCSC・サクソバンク)80pts
3位 フランク・シュレク(ルクセンブルク、チームCSC・サクソバンク)80pts
4位 トマ・ヴォクレール(フランス、Bboxブイグテレコム)65pts
5位 セバスティアン・ラング(ドイツ、ゲロルシュタイナー)62pts
6位 ステファン・シューマッハー(ドイツ、ゲロルシュタイナー)61pts
7位 ジョンリー・オーガスティン(南アフリカ、バルロワールド)61pts
8位 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、ケースデパーニュ)58pts
9位 レミ・ディグレゴリオ(フランス、フランセーズデジュー)52pts
10位 エゴイ・マルティネス(スペイン、エウスカルテル)51pts

歴代のマイヨアポワ受賞者
2007年 マウリシオ・ソレール(コロンビア)
2006年 ミカエル・ラスムッセン(デンマーク)
2005年 ミカエル・ラスムッセン(デンマーク)
2004年 リシャール・ヴィランク(フランス)
2003年 リシャール・ヴィランク(フランス)
2002年 ローラン・ジャラベール(フランス)
2001年 ローラン・ジャラベール(フランス)
2000年 サンティアゴ・ボテーロ(コロンビア)
1999年 リシャール・ヴィランク(フランス)
1998年 クリストフ・リネロ(フランス)
1997年 リシャール・ヴィランク(フランス)
1996年 リシャール・ヴィランク(フランス)
1995年 リシャール・ヴィランク(フランス)
1994年 リシャール・ヴィランク(フランス)
1993年 トニー・ロミンガー(スイス)
1992年 クラウディオ・キャプッチ(イタリア)
1991年 クラウディオ・キャプッチ(イタリア)
1990年 ティエリー・クラヴェロラ(フランス)