4月24日に行われたツール・ド・ロマンディ第1ステージは、終盤の山岳で人数の絞られた集団によるスプリントへ。ジャンニ・メールスマン(ベルギー、オメガファーマ・クイックステップ)がジャコモ・ニッツォロ(イタリア、レディオシャック・レオパード)の追撃を振り切り、ガッツポーズを上げた。

ツール・ド・ロマンディ2013 第1ステージコースプロフィールツール・ド・ロマンディ2013 第1ステージコースプロフィール (c)Tour de Romandieクリス・フルーム(イギリス、スカイプロサイクリング)が圧倒的な力で制したプロローグから一夜明けた4月24日、ツール・ド・ロマンディ(UCIワールドツアー)第1ステージが開催された。その舞台となったのは、ロマンディ地方南部のサン・モーリスを出発し、レマン湖畔のローザンヌの中心地・ルナンへと至る176.8km。

ロマンディ地方南部のサン・モーリスをスタートしていくロマンディ地方南部のサン・モーリスをスタートしていく photo:Tour de Romandieコースには中級山岳が計3つ登場し、最後に控えるカテゴリー2級のコル・ド・モランドリュ(標高1174m)はゴールのおよそ50km手前に位置する。しかし、ゴールにかけては緩い下りと平坦路がおよそ35kmほど続くため、最後は集団によるスプリントになるものと予想された。

ロマンディ地方の山間を走るメイン集団ロマンディ地方の山間を走るメイン集団 photo:Tour de Romandieこの日スプリントが期待されたマイケル・マシューズ(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)は、病気によりスタートせず。またセルゲイ・ラグティン(ウズベキスタン、ヴァカンソレイユ・DCM)もDNSとなった。

ガブリエル・ラッシュ(ノルウェー)らスカイプロサイクリングがコントロールするメイン集団ガブリエル・ラッシュ(ノルウェー)らスカイプロサイクリングがコントロールするメイン集団 photo:Tour de Romandieスタート直後にアーリーブレークを決めたのは、ジュリアン・ベラール(フランス、アージェードゥーゼル)、ガリコイツ・ブラーボ(スペイン、エウスカルテル・エウスカディ)、ダヴィド・ヴェイユ(フランス、ユーロップカー)の3名。

1つめの3級山岳、シャトル・サン・ドニを終える頃には5分ほどのタイム差を稼ぎ出したものの、リーダージャージ擁するスカイプロサイクリングや、スプリントを目論むオメガファーマ・クイックステップがコントロールを開始したことで、タイム差は残り80kmで2分半、残り50kmで1分半と徐々に縮まっていった。

そして筋書き通り、ゴール勝負に向けスプリンターチームが体制を整えつつあった矢先、2級山岳コル・ド・モランドリュで集団に動きが発生。アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)やホセ・ルハノ(ベネズエラ、ヴァカンソレイユ・DCM)、アドリアーノ・マローリ(イタリア、ランプレ・メリダ)ら強力な10名が飛び出し、集団に揺さぶりを掛けた。

しかし危険を感じたスカイプロサイクリングがこの動きを吸収すると、続いてピエール・ローラン(フランス、ユーロップカー)とウベール・デュポン(フランス、アージェードゥーゼル)、さらにマティアス・ブランドル(オーストリア、IAMサイクリング)らが飛び出すも、決定的なアドバンテージを奪うことは叶わず。


接戦のスプリントを制したジャンニ・メールスマン(ベルギー、オメガファーマ・クイックステップ)接戦のスプリントを制したジャンニ・メールスマン(ベルギー、オメガファーマ・クイックステップ) photo:Tour de Romandie

リーダージャージを守ったクリス・フルーム(イギリス、スカイプロサイクリング)リーダージャージを守ったクリス・フルーム(イギリス、スカイプロサイクリング) photo:Tour de Romandieブランドルにブリッジを掛けたジェレミー・ロワ(フランス、FDJ)の動きも、キャノンデールプロサイクリングやランプレ・メリダの動きによってゴール手前で吸収。

メカトラでマーク・カヴェンディッシュ(イギリス)を失ったオメガファーマ・クイックステップは、ジャンニ・メールスマン(ベルギー)でスプリントを狙う作戦に切り替えた。

山岳賞のガリコイツ・ブラーボ(スペイン、エウスカルテル・エウスカディ)山岳賞のガリコイツ・ブラーボ(スペイン、エウスカルテル・エウスカディ) photo:Tour de Romandieゴール2km手前でアタックしたマヌエーレ・ボアーロ(イタリア、サクソ・ティンコフ)を飲み込んだ集団は、連続したコーナーの影響で主導権を握るチームが現れないまま、混沌とした状態でスプリントへ体制へと突入していった。

アシストを一枚残し、良い形でスプリントを開始したのはルーカ・メスゲツ(スロベニア、アルゴス・シマノ)。しかしその2つ後ろに付けていたメールスマンのスプリント力がそれを上回る。最後はスリップから抜けだしたジャコモ・ニッツォロ(イタリア、レディオシャック・レオパード)が並びかけたものの、メールスマンが半車身のリードを守りきってガッツポーズ。3位にはロベルト・フェラーリ(イタリア、ランプレ・メリダ)が入った。

ポイント賞のジュリアン・ベラール(フランス、アージェードゥーゼル)ポイント賞のジュリアン・ベラール(フランス、アージェードゥーゼル) photo:Tour de Romandie「難しいステージだった。チームはパーフェクトな仕事をしてくれたけれど、残り500mでブレーキを掛けざるを得なかった。でもその時に”勝てる脚”があると分かって、勝利へのラインが見えたんだ」と語るメールスマン。「ピーター(ベリトス)がゴスの後ろに連れて行ってくれたけど、カオスな展開だったから、誰かがスプリントを始めるのを待つべきでは無いと思った。明日以降もゴールを狙って走るつもりさ」と加えた。

総合有力勢は、9分41秒遅れでゴールしたクリスティアン・ヴァンデヴェルデ(アメリカ、ガーミン・シャープ)を除き全員が集団内でゴール。フルームがリーダージャージを、ティボー・ピノ(フランス、FDJ)が新人賞ジャージを守ることに成功している。新城幸也(ユーロップカー)は1分13秒遅れのステージ152位でゴールしている。


ツール・ド・ロマンディ2013第1ステージ結果
1位 ジャンニ・メールスマン(ベルギー、オメガファーマ・クイックステップ) 4h29′09″
2位 ジャコモ・ニッツォロ(イタリア、レディオシャック・レオパード)
3位 ロベルト・フェラーリ(イタリア、ランプレ・メリダ)
4位 ルーカ・メスゲツ(スロベニア、アルゴス・シマノ)
5位 ケヴィン・レーザ(フランス、ユーロップカー)
6位 フランシスコ・ガヴァッツィ(イタリア、アスタナ)
7位 マシュー・ゴス(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)
8位 ルイ・コスタ(ポルトガル、モビスター)
9位 ガエタン・ビール(ベルギー、ロット・ベリソル)
10位 マルコ・マルカート(イタリア、ヴァカンソレイユ・DCM)
152位 新城幸也(ユーロップカー)                   +1′13″

個人総合成績
1位 クリス・フルーム(イギリス、スカイプロサイクリング)         4h42′24″
2位 アンドリュー・タランスキー(アメリカ、ガーミン・シャープ)      +06″
3位 ロバート・キセロフスキー(クロアチア、レディオシャック・レオパード) +13″
4位 リッチー・ポルト(オーストラリア、スカイプロサイクリング) +15″
5位 ルイ・コスタ(ポルトガル、モビスター) +16″
6位 ティボー・ピノ(フランス、FDJ) +17″
7位 スタフ・クレメント(オランダ、ブランコプロサイクリング)
8位 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)
9位 トム・ダニエルソン(アメリカ、ガーミン・シャープ)
10位 ウィルコ・ケルデマン(オランダ、ブランコプロサイクリング)+18″

ポイント賞
ジュリアン・ベラール(フランス、アージェードゥーゼル)

山岳賞
ガリコイツ・ブラーボ(スペイン、エウスカルテル・エウスカディ)

新人賞
ティボー・ピノ(フランス、FDJ)

チーム総合成績
スカイプロサイクリング


text:So.Isobe
photo:Tour de Romandie