3月9日に行われたパリ~ニース第6ステージで、シルヴァン・シャヴァネルが60名による集団スプリントで勝利。総合首位のリッチー・ポルトは集団内でゴールし、翌日のエズ峠での上り個人TTに向けて集中を高めている。

マイヨジョーヌを着て登場したリッチー・ポルト(オーストラリア、スカイプロサイクリング)マイヨジョーヌを着て登場したリッチー・ポルト(オーストラリア、スカイプロサイクリング) photo:Kei.Tsuji出走サインを済ませ、オリーブの枝を受け取った別府史之(オリカ・グリーンエッジ)出走サインを済ませ、オリーブの枝を受け取った別府史之(オリカ・グリーンエッジ) photo:Kei.Tsuji


山岳賞ジャージのヨハン・チョップ(スイス、IAMサイクリング)を含む11名が抜け出す山岳賞ジャージのヨハン・チョップ(スイス、IAMサイクリング)を含む11名が抜け出す photo:Kei.Tsujiパリ郊外のウイユをスタートしてから7日目、パリ~ニース(UCIワールドツアー)は遂に南仏・ニースへと到達した。3月9日に開催された第6ステージは、マノスクから220kmを走破してニースへと至る、中難易度のロングコースだ。

スタートから3級、2級、3級と連続してカテゴリー山岳をクリアすると、アルプ・マリティーム県に入ってからは138km地点に標高684mのコート・ド・カブリ、続く148km地点には標高1040mのコル・ドゥ・フェリエと2つの1級山岳を通過。連続するコート・ド・カブリとコル・ドゥ・フェリエを合わせると登坂距離11.9km、平均勾配6.3%と難易度は高いものの、頂上からゴールまでは70kmほどだ。

午前11時30分、全163名の選手たちがマノスクの街からスタートしていく。アキレス腱を痛めたフランシス・デグレーフ(ベルギー、ロット・ベリソル)はDNS。

スカイプロサイクリングが率いるメイン集団がオートプロヴァンスの山岳地帯を行くスカイプロサイクリングが率いるメイン集団がオートプロヴァンスの山岳地帯を行く photo:Kei.Tsuji

1級山岳カブリ峠を目指すヨハン・チョップ(スイス、IAMサイクリング)ら1級山岳カブリ峠を目指すヨハン・チョップ(スイス、IAMサイクリング)ら photo:Kei.Tsujiこの日はスタートしてすぐに現れる3級山岳、コート・ド・ボワの上りを利用し、エゴール・シリン(ロシア、アスタナ)と、アドヴァルド・ヴォルガノフ(ロシア、カチューシャ)の2名がアタック。

山岳賞ジャージのヨハン・チョップ(スイス、IAMサイクリング)が山岳ポイントを加算する山岳賞ジャージのヨハン・チョップ(スイス、IAMサイクリング)が山岳ポイントを加算する photo:Kei.Tsujiマイヨ・アポワ(山岳賞ジャージ)を着るヨハン・チョップ(スイス、BMCレーシング)や総合20位のアルノー・ジャヌソン(フランス、FDJ)、サイモン・クラーク(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)、ジェローム・ピノー(フランス、オメガファーマ・クイックステップ)らが加わり、計11名による強力なエスケープグループが形成された。

快調にローテーションを回す先頭11名が築き上げた最大リードはおよそ3分半。スカイプロサイクリングがコントロールする集団は大きなタイム差を与えず、レース中盤はおよそ3分前後のタイム差を持ってレースは推移していく。

先頭グループ内で積極的に走るのは、山岳ポイントランキング首位に立つチョップ。最終的なジャージ獲得を決定づけるため、着実にカテゴリー山岳でポイントを稼いでいく。ピノーらが脱落した後もペースを緩めること無く走り、2つの1級山岳コート・ド・カブリとコル・ドゥ・フェリエを1位通過。総合山岳賞の獲得に成功した。

スカイプロサイクリングに加えてエウスカルテルが集団をコントロールスカイプロサイクリングに加えてエウスカルテルが集団をコントロール photo:Kei.Tsujiエウスカルテル・エウスカディとスカイプロサイクリングがペースを刻むメイン集団の後方では、補給地点で体調不良を訴えたロバート・ヘーシンク(オランダ、ブランコプロサイクリング)と、昨年のこのステージで優勝したトーマス・デヘント(オランダ、ヴァカンソレイユ・DCM)がリタイア。ヘーシンクは後に"次の目標、カタルーニャに向けて回復が必要だった"と自身のTwitterでコメントした。

チームメイトに守られて1級山岳カブリ峠を上るマイヨジョーヌのリッチー・ポルト(オーストラリア、スカイプロサイクリング)チームメイトに守られて1級山岳カブリ峠を上るマイヨジョーヌのリッチー・ポルト(オーストラリア、スカイプロサイクリング) photo:Kei.Tsujiコル・ドゥ・フェリエはゴールまで距離を残しているため、集団内で総合逆転を狙うアタックは起こらず。雨に濡れる下りでメイン集団のスピードが上がった結果、181km地点でグルッポコンバット(集団はひとつに)。全ての逃げを飲み込んだ集団は、ここからにわかに活性化していく。

散発的なアタックと吸収を繰り返しながら、ゴールまでの距離は減っていく。シルヴァン・シャヴァネル(オメガファーマ・クイックステップ)、ペーター・ベリトス(スロバキア、オメガファーマ・クイックステップ)、アンドレー・グリブコ(ウクライナ、アスタナ)の3名が飛び出したものの失敗に終わり、BMCレーシングとアージェードゥーゼルが主導権を争う形でラスト1km、フラム・ルージュをくぐった。

スプリントで競り合うフィリップ・ジルベール(ベルギー、BMCレーシングチーム)とシルヴァン・シャヴァネル(フランス、オメガファーマ・クイックステップ)スプリントで競り合うフィリップ・ジルベール(ベルギー、BMCレーシングチーム)とシルヴァン・シャヴァネル(フランス、オメガファーマ・クイックステップ) photo:Kei.Tsujiそしてアシストに導かれ、絶好のタイミングからアルカンシエルを着るフィリップ・ジルベール(ベルギー、BMCレーシング)がスプリントを開始。ジルベールの勢いに勝利が決まったかと思った瞬間、別ラインから加速したシャヴァネルがゴール寸前でジルベールを抜き去った。

ボーナスタイムによって総合3位の座も同時に得たシルヴァン・シャヴァネル(フランス、オメガファーマ・クイックステップ)ボーナスタイムによって総合3位の座も同時に得たシルヴァン・シャヴァネル(フランス、オメガファーマ・クイックステップ) photo:Kei.Tsuji「スーパーハッピーだよ!」と喜びを語るシャヴァネル。「ここニースで勝つのは2008に続いて2度目。この場所でガッツポーズを決めるのはいつだって感動的だ。今日スプリントをしようと思ったのは、ポイント賞ジャージ獲得のための得点が欲しかったから。」

「今日は最終局面で向かい風が吹いていたから、ケヴィン・デヴェールトに、側にいてくれるよう頼んだんだ。彼はパーフェクトな仕事をしてくれて、僕をジルベールとデュムランの所まで連れて行ってくれた。ボーナスタイムを獲得できて、総合も3位に上がった。明日(個人TT)は難しいけれど、総合10位以内に残れるように頑張るよ。今日はティレーノでクヴィアトコウスキーが総合を取ったし、チームにとって最良の日になったね」と加えた。

表彰台に向かうリッチー・ポルト(オーストラリア、スカイプロサイクリング)表彰台に向かうリッチー・ポルト(オーストラリア、スカイプロサイクリング) photo:Kei.Tsujiマイヨ・ジョーヌのリッチー・ポルト(スカイプロサイクリング)はチームメイトのアシストを受けつつ、ステージ21位で危なげなくゴール。「前にジロでリーダーに就いた時もそうだったけれど、リーダーとして走ることは、もの凄くストレスフル、でも(ヴァシル)キリエンカと(ダビ)ロペスが完璧な仕事をしてくれたから、リラックスして過ごすことができた。僕らのチームが最強だと証明できたと思う。」

翌最終日、エズ峠での個人タイムトライアルについて、ポルトは「僕はモナコに住んでいるからエズ峠について良く知っている。昨日のステージで、僕が最高の"上れる脚"を持っていることは証明済みで、明日は登りのTTなんだ。僕より優れたクロノマンもいるけれど、32秒のリードがある。悪くないよ」と自信のコメント。

個人TTの舞台となるエズ峠。距離9.6km、平均勾配4.7%の峠道は、昨年ブラドレー・ウィギンズ(イギリス、スカイプロサイクリング)とリエーヴェ・ヴェストラ(オランダ、ヴァカンソレイユ・DCM)が秒差の戦いを繰り広げた地。ポルトが32秒のリードを守りきれるか、タランスキー他ライバルたちの逆転勝利はあるのか。注目のスタートは現地時間の13時40分だ。

マイヨジョーヌを守ったリッチー・ポルト(オーストラリア、スカイプロサイクリング)マイヨジョーヌを守ったリッチー・ポルト(オーストラリア、スカイプロサイクリング) photo:Kei.Tsujiステージ優勝を果たしたシルヴァン・シャヴァネル(フランス、オメガファーマ・クイックステップ)ステージ優勝を果たしたシルヴァン・シャヴァネル(フランス、オメガファーマ・クイックステップ) photo:Kei.Tsuji


ゴールした別府史之(オリカ・グリーンエッジ)が笑顔を浮かべるゴールした別府史之(オリカ・グリーンエッジ)が笑顔を浮かべる photo:Kei.Tsuji狙い通りの走りで山岳賞トップをキープしたヨハン・チョップ(スイス、IAMサイクリング)狙い通りの走りで山岳賞トップをキープしたヨハン・チョップ(スイス、IAMサイクリング) photo:Kei.Tsuji



パリ~ニース2013第6ステージ結果
1位 シルヴァン・シャヴァネル(フランス、オメガファーマ・クイックステップ) 5h14′23″
2位 フィリップ・ジルベール(ベルギー、BMCレーシング)
3位 ホセホアキン・ロハス(スペイン、モビスター)
4位 サミュエル・ドゥムラン(フランス、アージェードゥーゼル)
5位 トニー・ガロパン(フランス、レディオシャック・レオパード)
6位 ジュリアン・シモン(フランス、ソジャサン)
7位 ボルト・ボジッチ(スロベニア、アスタナ)
8位 ハインリッヒ・ハウッスラー(オーストラリア、IAMサイクリング)
9位 ジョナタン・イヴェール(フランス、ソジャサン)
10位 アルベルト・ロサダ(スペイン、カチューシャ)
112位 別府史之(オリカ・グリーンエッジ) +21′31″


個人総合成績
1位 リッチー・ポルト(オーストラリア、スカイプロサイクリング) 29h40′31″
2位 アンドリュー・タランスキー(アメリカ、ガーミン・シャープ) +32″
3位 シルヴァン・シャヴァネル(フランス、オメガファーマ・クイックステップ) +42″
4位 リエーヴェ・ヴェストラ(オランダ、ヴァカンソレイユ・DCM) 
5位 ジャンクリストフ・ペロー(フランス、アージェードゥーゼル)+49″
6位 タジェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、BMCレーシング) +52″
7位 ペーター・ベリトス(スロバキア、オメガファーマ・クイックステップ) +53″
8位 サイモン・スピラック(スロベニア、カチューシャ) 
9位 ディエゴ・ウリッシ(イタリア、ランプレ・メリダ) +54″
10位 アンドレー・グリブコ(ウクライナ、アスタナ) +1′06″

ポイント賞
シルヴァン・シャヴァネル(フランス、オメガファーマ・クイックステップ)

山岳賞
ヨハン・チョップ(スイス、IAMサイクリング)

新人賞
アンドリュー・タランスキー(アメリカ、ガーミン・シャープ)


text:So.Isobe
photo:Kei Tsuji

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