また新たなスプリンターが、ランカウイで才能を開花させた。圧倒的なスプリントを披露したブライアン・コカールがステージ2連勝を飾り、存在を大きくアピールした。総合首位のジュリアン・アレドンドは大会制覇に王手を掛けた。

リラックスした表情を見せるジュリアン・アレドンド(コロンビア、チームNIPPO・デローザ)リラックスした表情を見せるジュリアン・アレドンド(コロンビア、チームNIPPO・デローザ) photo:Sonoko.Tanaka今年のツール・ド・ランカウイもこの日を入れて残り2日。3月1日に開催された第9ステージは、マレーシア最北部の街コタバルから近いパシルプティーをスタートし、クアラ・ベランへとゴールする距離123.6 kmのショートステージ。これはイスラム教の礼拝のある金曜日にあたるためで、主催者のゴール予測時間は12時前後。

愛三工業レーシングのキャプテンを務める綾部勇成は体調不良のためスタートせず。ルーク・ダーブリッジやウェズリー・サルツバージャー(共にオーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)も出走を取りやめた。
沿岸部に沿って南下するコースは、81.3km地点にカテゴリー4級の山岳ポイントが設定されているものの、全体的に平坦基調。クアラ・ベランの街に設けられたゴール地点では、3日連続となる大集団スプリントが繰り広げられた。

高速で進むメイン集団。2番目は中島康晴 (愛三工業レーシング)高速で進むメイン集団。2番目は中島康晴 (愛三工業レーシング) photo:Sonoko.Tanaka

途中落車した福田真平 (愛三工業レーシング)途中落車した福田真平 (愛三工業レーシング) photo:Sonoko.Tanaka集団のペースをコントロールする佐野淳哉 (ヴィーニファンティーニ)集団のペースをコントロールする佐野淳哉 (ヴィーニファンティーニ) photo:Sonoko.Tanakaこの日も激しいアタック合戦でレースは開幕。MTNキュベカ・サムスンのスタートアタックに始まり、第5ステージに逃げたトラヴィス・マイヤー(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)や昨ステージで勝利したブライアン・コカール(フランス、ユーロップカー)も積極的な動きを見せる。

終盤、一人逃げ続けるリュー・イリン(中国、ハンシャンサイクリングチーム)終盤、一人逃げ続けるリュー・イリン(中国、ハンシャンサイクリングチーム) photo:Sonoko.Tanaka激しい展開の中で迎えた第1スプリントポイントは、チームメイトにアシストされたフランチェスコ・キッキ(イタリア、ヴィーニファンティーニ)が先頭通過。ポイント賞争いで2位に付けるキッキは、続く第2スプリントを3位通過したことで、ポイントリーダー・グアルディーニとの差を詰める。

集団を牽くガーミン・シャープやヴィーニファンティーニはペースを緩めること無く、逃げを試みる動きはスタートから30kmを過ぎてなお決まらない。そして40km地点手前、リュー・イリン(中国、ハンシャンサイクリングチーム)とエンドラ・ウィジャヤ(インドネシア、インドネシアナショナルチーム)の2名が僅かなタイミングを突き、アタックを成功させた。

ハイペースを保って逃げる2名だが、距離が短いこと、エスケープの成立が遅かったことが重なったため、タイム差は2分台止まり。50kmを消化するのに掛かった時間は、わずか1時間2分。

ゴールが近づくに連れタイム差は定石通りに削り取られ、先頭からはウィジャヤが脱落。単独粘りを見せたリューもその後、スプリントに向けて勢いを増す集団に吸収。プロトンはペースの上がりきった状態でゴール地点のクアラ・ベランへと到達した。

そして迎えた集団スプリント。ケヴィン・レザ(フランス、ユーロップカー)のアシストを受けたコカールが残り300mからスプリントを開始すると、勢いは最後まで途切れない。キッキやアラン・デーヴィス(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)らが一線に競り合うその1車身前で、コカールが勢い良く両手を上げた。

圧倒的なスピードで先頭を行くブライアン・コカール(フランス、ユーロップカー)圧倒的なスピードで先頭を行くブライアン・コカール(フランス、ユーロップカー) photo:Sonoko.Tanaka

序盤のアタック合戦に乗りながらも、圧倒的なスプリントでステージ2連勝を飾ったコカールは、「(マークされるから)2度めの勝利は難しいものだけど、その分とても幸せだよ。レザがデーヴィスの後ろまで僕を引き上げてくれたんだ。」と語る。今年もまた一人、若きスプリントスターがランカウイで才能を開花させた。

集団前方ではスプリントに加わった福田真平 (愛三工業レーシング)が12位に入り、連日20位以内のフィニッシュ。ゴール手前の落車に巻き込まれた西谷泰治(愛三工業レーシング)と新城幸也 (ユーロップカー)は2分49秒遅れでフィニッシュしたが、救済措置によりタイム差なしのゴールとなった。

明日2日は、今大会のカウイの最終ステージ。クアラ・トレンガヌの周回コースで10日間のレースが決着する。

各賞ジャージ表彰各賞ジャージ表彰 photo:Sonoko.Tanakaゴール手前で落車に巻き込まれた西谷泰治(愛三工業レーシング)。2分49秒遅れでフィニッシュゴール手前で落車に巻き込まれた西谷泰治(愛三工業レーシング)。2分49秒遅れでフィニッシュ photo:Sonoko.Tanaka


インタビューに答えるブライアン・コカール(フランス、ユーロップカー)インタビューに答えるブライアン・コカール(フランス、ユーロップカー) photo:Sonoko.Tanaka総合優勝者に渡されるトロフィー総合優勝者に渡されるトロフィー photo:Sonoko.Tanaka






ツール・ド・ランカウイ2013第9ステージ結果
1位 ブライアン・コカール(フランス、ユーロップカー)   2h42′11″
2位 フランチェスコ・キッキ(イタリア、ヴィーニファンティーニ)
3位 アラン・デーヴィス(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)
4位 レイモンド・クレダー(オランダ、ガーミン・シャープ)
5位 ファビアン・シュナイト(ドイツ、チャンピオンシステム)
6位 ジェイコブ・ケノー(アメリカ、ユナイテッドヘルスケア)
7位 アヌアル・マナン(マレーシア、シナジー・バク サイクリングプロジェクト)
8位 パク・サンバク(韓国、KSPO)
9位 リコ・ロジャース(ニュージーランド、シナジー・バク サイクリングプロジェクト)
10位 ホセイン・ナテギ(イラン、タブリスペトロケミカル)
12位 福田真平 (愛三工業レーシング)
74位 伊藤雅和 (愛三工業レーシング)
77位 石橋学 (チームNIPPO・デローザ)
87位 福島晋一 (チームNIPPO・デローザ)
90位 中島康晴 (愛三工業レーシング)
91位 盛一大 (愛三工業レーシング)
92位 佐野淳哉 (ヴィーニファンティーニ)
110位 新城幸也 (ユーロップカー)
111位 西谷泰治(愛三工業レーシング)
115位 徳田鍛造 (チームNIPPO・デローザ)+4′05″
DNS 綾部勇成 (愛三工業レーシング)

ゴール手前の落車に巻き込まれた西谷泰治と新城幸也 は2分49秒遅れでフィニッシュしたが、救済措置によりタイム差なしのゴールとなった。

個人総合成績
1位 ジュリアン・アレドンド(コロンビア、チームNIPPO・デローザ)32h14′03″
2位 ピーター・ウェーニング(オランダ、オリカ グリーンエッジ) +1′15″
3位 セルヒオ・バルディージャ(スペイン、MTNキュベカ) +2′10″
4位 ピーター・ステティーナ (アメリカ、ガーミン・シャープ) +2′32″
5位 ワン・メイエン(中国、ハンシャンサイクリングチーム) +2′40″
6位 ネイサン・ハース(オーストラリア、ガーミン・シャープ) +2′47″
7位 フォルッナート・バリアーニ (イタリア、チームNIPPO・デローザ)+2′49″
8位 ジョン・エブセン(デンマーク、シナジー・バク サイクリング) +2′55″
9位 ツガブ・グルメイ(エチオピア、MTNキュベカ・サムスン) +2′58″
10位 アミール・コラドザグ(イラン、タブリーズ・ペトロケミカル チーム)

ポイント賞
アンドレア・グアルディーニ (イタリア、アスタナ)

山岳賞
ワン・メイエン (中国、ハンシャンサイクリングチーム)

アジアンライダー総合成績
ワン・メイエン (中国、ハンシャンサイクリングチーム)

チーム総合成績
MTNキュベカ・サムスン


text:So.Isobe
photo:Sonoko.Tanaka

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